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てんぐさ詳細

てんぐさの品質、産地

 てんぐさはほぼ全国で採れるが、一般的には太平洋岸の方が量が多く品質も良いとされ、更に、磯に近く波が常に荒いところのものが良いとされる。沖の、あまり流れのない深いところのものは草丈は高いが細く、ところてんにすると粘りが少なく物足りない。 また、波にもまれてちぎれて流れてくるものより、直接潜って採ったもののほうが上質である。
 採取時期は、5月から6月の春ものの方が、夏に入って採るものよりも、ところてんにしたときに粘りがあってよいとされている。
 近年テングサは、韓国、北朝鮮、中国、チリ、モロッコ、ポルトガル方面から年間約1000トンほど輸入されている。品質は国内産の方が良く、輸入物は主に寒天製造用に使われる。

伝統的漁法(素潜り漁法)

 このパネル絵は静岡県稲取漁協のてんぐさ展示会で使用されたものである。昔からの素潜り漁法で今では稲取では1人、おこなっている。
 通常は船から酸素をチューブで供給してもらい操業している。
 なお、愛知県の知多半島では酸素ボンベを背負い潜水、採取する。
 ただ乱獲防止、資源保護の為、1日にボンベ 本数の取り決めがある。

天草の種類 テングサ目テングサ科

テングサ属 マクサ  一般的にはこれをテングサといっている。
オオブサ  一般的にはこれを“あらめ”といっている。
オニクサ  ところてん用として一部使う。
ヒラクサ  ところてん用としてはあまり使われません。
オバクサ属 オバクサ  ところてん用としてはあまり使われません。
 オバクサ 、ドラクサ 、ワタクサ、サルクサ等があります。
ユイキリ属 トリアシ  ところてん用としてはあまり使われません。

天草の産地および特徴

 東京都伊豆諸島 約72t   品質最高でろ渦も容易です。
 トコロテンの腰が強くなります。
 静岡県伊豆半島 約106t   品質最高でろ渦も容易でトコロテンの腰も
 粘りもあります。
 徳島県 約36t   粘りがあります。
 愛媛県 約99t   粘りがあります。
 和歌山県 約27t   糊分が多い
 高知県 約6t   粘りがあります。
 三重県志摩半島 約 65t   粘りがある。
 他 神奈川県 千葉県 大分県 長崎県 始め全国に産します。

近年、全国生産量は約800t弱程度です。
(各産地別の数量は平成15年度の概算数で、合計約537tです。)

ところてん用天草について

おいしいところてんを作るには3〜4種類の天草をあわせ、その性質をとりだして使っていきます。

種類による区別

マクサ(てんぐさ)赤 ところてんに粘りを出し、色は濃い赤色になります。  
オオブサ(あらめ)赤 ところてんの腰を強くし色は濃い赤色になります。   
あらめ混 まくさにあらめが混じっているもの、伊豆大島産が多い。

てんぐさの色による区別

赤草 赤草(汐赤)  水揚げしたものを選別した後、そのまま干し上げたもの。
赤草(汐抜)  水揚げしたものを一度水につけ干し上げたもの。伊豆産。
晒草   赤草を水で洗浄したのち、天日により晒上げたもの。
  晒草を使うと色は薄くなりますが、ところてんにつやが出ます。
黄晒草    採取後すぐさらしたもの。
青晒草    採取後3ヶ月以上経過後さらしたもの。
とら晒    赤草を一部晒したもの、40%ほどの晒草(青晒)が
 入っている。ねばりが出る。

てんぐさに付着するカキ

 サンゴモ類が活動することにより起きる現象(サンゴモ類が細胞壁および細胞間隙に炭酸カルシウムを沈着することにより、石灰化した体を作っていく現象)。サンゴモ類は紅藻綱サンゴモ目に属する海藻の総称。カキが付着していることは炭酸カルシウムが沈着していることである為、アルカリ性に傾き易く、煮熟しにくくなる。もちろん微量である為、人体には影響がないが、カキの付着が少ない方が炊きやすくなる。

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