一般的に糸寒天の原料と粉寒天の原料は異なることはご存じでしょうか?寒天の原料はテングサが有名ですが、テングサが原料として使用されるのは実は糸寒天なのです。一方で粉寒天は主にオゴノリから製造されています(※1)。製造方法も全く異なっていて、糸寒天や角寒天を粉末化させたものが粉寒天ではないのです。
この項ではそれについてお話をしましょう。
《寒天の歴史と原料について》(1)〜(2)
江戸時代の冬、徳川家綱公の頃、テングサを煮溶かして作った「ところてん料理」が夜間に凍結し、日中乾燥して干物のようなものができました。これが寒天の発祥とされています。この後、これを元として製造方法が確立され、糸寒天と角寒天が製造されるようになりました。
一方で戦後の輸出産業の一つとして、工業的に寒天を生産する方法が開発されました。これは農山村の家内工業的な企業を近代工業化し量産の年間操業を目的としていました。この製法を用いたのがオゴノリを主とした寒天です。
《原料の原産地について》
テングサに関しては一般的に国産のものが上質とされています。弊社糸寒天は主に関東から九州で採取されたテングサを使用しています。もちろん上質な外産テングサもあります。
オゴノリに関しては一般的に外国産が使用されています。チリやインドネシアが主ですが、チリ産のものが量・質ともに良いとされています。
《寒天の製造方法》
糸寒天の製造方法:テングサから抽出して固めた「ところてん」を巨大な「ところてん突き」で糸状にし、凍結乾燥して仕上げます。
→ http://tengusa.jp/infomation/itokanten2.html
粉寒天の製造方法:海藻から抽出して固めた「ところてん」に圧力をかけて強制的に水分を抜き、乾燥粉砕して仕上げます。
如何だったでしょうか?もちろんテングサとオゴノリについての優劣はなく、糸寒天と粉寒天の優劣ももちろんありません。食感や使用方法等、特徴が異なりますので、寒天を選ばれる時は、どのような料理を作りたいのかとか、どのような食感を求めているのかで検討されると良いかと思います。
粉寒天と糸寒天の違いをもっと知りたい方は「どう違う?糸寒天と粉寒天」へ。
《参考文献》
(1)林金雄,岡崎彰夫『寒天ハンドブック』光琳書院(1970)
(2)松橋鐵治郎「寒天と心太 その奇妙な性質と効用」『食品工業』12,71-78,2007
【寒天の種類と原料】
◎一般的な寒天についてです。弊社製品は脚注を参照してください。
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