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山岡寒天の旅
毎年12月から3月にわたって行われる糸寒天の製造報告です。(概要)
山岡寒天見聞録 令和4年度(2022)
01 2022/12/13 山岡寒天見聞録@ これからか。
02 2022/12/21 山岡寒天見聞録A 巻雲
03 2023/01/05 山岡寒天見聞録B 快晴
04 2023/01/13 山岡寒天見聞録C 備え
05 2023/01/18 山岡寒天見聞録D 融雪
06 2023/02/02 山岡寒天見聞録E 寒天製造も大詰め
07 2023/02/09 山岡寒天見聞録F 東風

01 2022/12/13 山岡寒天見聞録@ これからか。

今年は12月に入っても暖かい。
例年であれば
外に出した生天も凍てが入る(※1)ところだが、
今年はどうであろうか。

暖かいと気持ちがいいが
寒天製造に関してのみいえば少々考えてしまう。
減産することになるが
今年は12月中旬から天然糸寒天を製造する方が良いかもしれない。

しかしこれも今週は天気が安定しないので
棚場での乾燥がしにくくなる。
なかなか難しいものである。
まだ冷蔵庫(※2)を持っている寒天工場は
冷蔵庫で凍らして製造していく方が良いかもしれない。

恵那山には雪が積もっておらず、
まだまだ天然寒天シーズン到来とは言えそうもない

※1:寒天製造は下記工程をたどる。このうち、生天とは
   「C細突きされた巨大なトコロテン」を指す。
   「生天に凍てが入る」とは「巨大なトコロテンが凍り始める」ことを指す。
  @テングサを煮熟
  A寒天成分が抽出された液を濾過
  B一晩凝固
  C細突きして巨大なトコロテンを棚場に広げる
  D冷凍乾燥を繰り返す
  E寒天の完成

※2:冷蔵庫:実際は生天を凍らす冷凍庫。山岡町の寒天工場では慣例的に冷蔵庫と呼ぶ。

(作成者/社長 森田尚宏)


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02 2022/12/21 山岡寒天見聞録A 巻雲

恵那山に雪が降り積もった。
一昨日の最低気温は-9℃、昨日の最低気温は‐7℃と
ここにきて急激に冷え込んでいる。
今日(12月21日)も11時で6℃と割合、気温は低かった。
このところ凍てが通り始めている。

しかし、今日はなんだか暖かく感じる。
空を見ると
秋空によく見かける巻雲(絹雲)があった。

青空に巻雲は気持ちが良いが、
実は数日後に天気が崩れる兆候の雲だ。
更に西の空には羊雲も出始めていて
午後から夕方にかけて天気が崩れそうだ。
体感気温が暖かく感じるのは
暖かく湿った低気圧が近づいている為であろう。
予報通りといったところか。

山岡の寒天工場を回ってみるが
棟梁はみな口をそろえて
天気が悪くなることを懸念していた。
更に今週末は大寒波がくる予報。
寒すぎる日が続くと、
たとえ晴れて凍ては通っても
今度は乾燥が進まない。

このところ、
寒天の需要は割合上昇している兆しが見えているのに
この天気はどうしたものか。

夕方になると
やはり灰色の羊雲が空を覆いだした。
今晩から雨であろうか。
パリッと乾燥した寒い日が来ることを待ち焦がれてしまう一日であった。

(作成者/社長 森田尚宏)

降雪した恵那山と巻雲

棚場に広がった生天。
乾燥して糸寒天となっていく。

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03 2023/01/05 山岡寒天見聞録B 快晴

年から好天続き。
本日も10時時点で1℃、快晴。
最低気温は-7℃と冷え込んではいるが
冷えすぎることもなく、まさに寒天日和。
遠くの恵那山が青空に映えて綺麗だ。

クリスマスの大寒波ではかなり降雪した。
年末もかなり冷え込む予報だったので
気を揉んでいたが、
天候が安定して良かった。

12月中旬に天突きされた生天は
この陽気で一気に寒天となった。
棚場にたまった寒天も
ぞくぞくと野上げされている(※1)。
この天気が続いてくれると有り難い。

完成した寒天は
すぐにゼリー強度や粘度を測定して最終確認。
テングサの計量から寒天になる迄には2週間〜3週間かかるので
油断していると
いつの間にか寒天シーズンが終了してしまう。
気が抜けない。

もちろん
ロット毎にテングサの絞り状態、搾汁残渣、搾汁量は確認して
配合や炊き具合の状態を推測し、調整していく(※2)。
同じ配合・同じ炊き方でも
できあがる寒天の性状は異なってくるからだ。

新年から1月下旬迄が天然製造の寒天には一番良い季候。
今日のような、つきぬける快晴を期待して
この時期にどんどん生産していきたい。

※1:野上げ:簀に広げられた生天は
  冷凍乾燥を繰り返しながら糸寒天となっていく。
  野上げとは簀の上で完成した糸寒天を纏める作業をさす。

※2:煮熟されたテングサの絞り具合が良すぎる場合、
  寒天溶液に粘りが無く、強度の強い寒天にはならない。
  搾汁残渣にも粘りが無く、テングサの形状が残ったままとなる。
  逆に絞り具合が悪い場合、
  搾汁時間が掛かりすぎるのみでなく、歩留まりも低くなる。

(作成者/社長 森田尚宏)

快晴の空に恵那山が映える

一面に広がった寒天

カガミとなった寒天(野上げ間近)

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04 2023/01/13 山岡寒天見聞録C 備え

10時時点で6℃
本日も快晴だ。
新年から好天が続き、
真っ白な糸寒天ができあがっている。
野上げをどんどん進めていく。

一方で
夕方から明日にかけては雨予報。
夕方から、といっても早めに降り出す可能性もある。
途中まで乾燥した糸寒天が濡れてしまっては元も子もない。
いつ降り出しても良いよう、
午前中から簀を重ね、ビニルシートを被せていく。

乾燥した糸寒天は野上げ、
これから乾燥していく糸寒天は雨対策。
更に合間には
テングサ搾汁状態やフナ数、寒天溶液の融点を確認して
テングサ配合や煮熟条件を検討する。
なかなか忙しいものだ。

午後になると雲が出てきた。
体感気温も上がっている
暖かで湿気のある低気圧圏内に入ってきたのであろう。
もう何時降り出してもおかしくはない。
作業する手も次第と早くなっていった。

(作成者/社長 森田尚宏)

糸寒天乾燥中

真っ白な糸寒天が野上げされる

午後からの天気の崩れに備える

夕方になって雲が多くなってきた。
何時降り出してもおかしくない。

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05 2023/01/18 山岡寒天見聞録D 融雪

本日、快晴。
14時時点で9℃。
暖かく過ごしやすい。
棚場に広がった生天や寒天も壮観で
見ていて気持ちがいい。
真っ白な寒天の野上げが進む。

今は寒天製造の最盛期。
連日、テレビの取材が入り、放映されている。
皆様により知って頂ける良い機会。
青空に真っ白な寒天はやはり冬の風物詩だ。

完成した寒天のゼリー強度は問題なかった。
ほっと一安心。
これまで通りの条件で良さそう。
製造中の生天の融点やフナ数、絞りも問題なさそうだ。
良い寒天が完成していくな。

暖かな陽気は微妙でもある。
野上げは進むが、日焼けもしやすくなる。
更に夕方まで冷え込みが少ないと
今度は生天に凍てが入り難くなる。
天然製造を実施する工場では悩ましいところだ。

先週の金曜日夜から3日間、雨は降り続いた。
恵那山はすっかり雪が無くなり、
寒天製造の進捗も若干遅れてしまったか。
本日の最低気温は-3℃。
程よい冷え込みだが、更なる冷え込みを期待したい。

(作成者/社長 森田尚宏)

広がる糸寒天。

天突きされたばかりの生天。

14時時点で9℃と暖かな陽気。

恵那山に融雪が進む。

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06 2023/02/02 山岡寒天見聞録E 寒天製造も大詰め

岐阜県恵那市の山岡町の道中、気温は3℃、場所によっては路面凍結を注意喚起する0℃を表示している所も見受けました。(9時頃)橋の上や路肩、日陰になっているところには雪が残っているところがありました。また恵那山には雪が積もっていました。

昨年12月中旬〜1月上旬は天気が良く、よく冷えた為寒天製造は順調に出来ました。中旬ごろから天気が落ち着かず、工場の方からは朝天気が良くても昼から雪が降ったり、雨となったりで判断が難しいと言う声も聞きました。

昨日(2/1)の朝(5時頃)はマイナス12°まで冷え込んだそうです。去年よりよく冷えている為、凍てはしっかり取れていますが、冷え込み過ぎる事から、作業に使うホースが凍ってしまい、他のホースの準備をする事になったり、替えのホースが凍らないようホースに防寒用の布を巻いたりと普段より余計な作業も増えて苦労していると言う声も聞きました。またある工場で筒引きしたばかりの寒天を見せてもらいました。きしめんのように太く水分をよく含んでいました。

2月に入り比較的温かくなり始めている為、天然製造の寒天はいつ終了となるかといった状態でした。

質の良い寒天が沢山出来る事を期待します。

(作成者/森田祐貴)

雪の積もる恵那山

筒引きしたばかりの寒天

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07 2023/02/09 山岡寒天見聞録F 東風

風が柔らかい。
今朝は良く晴れて青空が広がったが
一月の痺れる寒さとは少し違うよう。
少しずつ春を感じ始める。
一面に広がった寒天も見ていて気持ちが良い。

暖かくなれば寒天が焼けてしまうが、
今日くらいであれば問題ない。
青空が広がっている内に
できる限り広げて乾燥させていく。

高気圧は周期的に移動するようになってきた。
春によく見られる天候で
今日も東に高気圧、西に低気圧が配置している。

明日からは下り坂の予報。
午後になると淡い雲が出始め、
西の空は少しずつ曇り空になってきた。

穏やかな東風の到来と共に
天然寒天は終盤を迎えていく。
まずは寒天が濡れてしまわぬよう、
簀を集めビニールシートを被せていった。

(作成者/社長 森田尚宏)

一面に広がる寒天

淡い雲が広がり始める。

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