02 2025/6/3 テングサ産地視察(東京都・伊豆大島)
6月3日
8時50分 東京竹芝。
雨は降っているが、それほど激しくない。
どうやら定刻通り出港できるようだ。
指定席について雨の東京を眺めて待つ。
そのうちにエンジンが起動する音が聞こえ、大島へ向けて出港した。
10時35分
伊豆大島岡田港では
既に岡田漁協の方々が迎えに来てくれていた。
日に焼けてがっちりしているけど
温厚でゆったりした、感じの良い方々。
まさに大島の漁師といったとこ。
まずは岡田地区へ。
ここは大島の中では穏やかな海域だけど、
大島灯台付近から北に向かう海流があるみたい。
海食によってできた地形も海中にあり、
なかなか複雑。
こういった環境が岡田特有の中アラメを育むのか。
次に隣の泉津地区へ。
前回は出港まで時間があったので歩いてみた。
深緑がきれいだったけど、めちゃくちゃ暑かった記憶がある。
その時、谷が深いなと思ったけど、
今もその感じのまま磯に続いていた。
南部からの海流が海岸を深く削っているのかな。
最南端の波浮地区へはサンセットパームラインで向かう。
海岸沿いの道で
開けた明るい雰囲気で気持ちが良い。
この地形が海まで続いているので
西海岸は遠浅でテングサが採取できるとのこと。
東海岸は断崖で波が強く、
テングサの採取はなかなか難しいらしい。
やはり海流が海岸を削っているのだろうか。
最南端の波浮地区に着く。
ここは海流の影響をもっとも受けるので
波も強く生育するテングサも太い。
今日は特に波が強く、
巻き込まれたらとんでもないことになる。
消波ブロックであるテトラポットは
なんだか大きく見えたけど
実際、愛知で設置されているものよりも大きいそうだ。
6月4日
今日は一転して気持ちの良い天気。
早朝に三原山に登った後、また産地巡りをした。
岡田地区では既にテングサが天日干しされていた。
青空の下、
丁寧に広げられていて、上質なテングサに仕上がっている。
出荷するなら良いテングサにしたいと、
誇りをもってやっておられ、有り難かった。
岩の多い海岸を歩いていると
波があたって、ざぶざぶと音を立てていた。
なかなか落ち着く感じだ。
ただ石灰藻が付着していた岩もあり
テングサの胞子が着床しにくくなっているかもと思った。
減産の一因となっているかもしれない。
泉津地区は岡田地区とは違って磯が多い。
海の水はとても透き通っていてダイビングスポットでもある。
そのまま飛び込みそうになったが、こらえる。
あまりにも透き通っていたので
栄養塩は十分だろうかとも思ってしまった。
こちらも石灰藻がちらほら岩に付着しており
胞子の着床が気になるところだった。
波浮地区に向かう途中で
地層大切断面が圧倒的なスケールで現れる。
大島はジオパークにも認定されており、
台地の隆起を肌で感じるところだ。
複雑な岩礁は城ヶ島にも似ているが、
火山岩から形成されているので全体的に黒い。
海岸の砂も火山岩からできているので粒子が大きく黒い。
大島産テングサは火山島特有の成長をするのかもしれない。
波浮地区で懐かしい方とお会いする。
相変わらず元気そうでなにより。
その後、急峻な東海岸を通って岡田漁港に戻り、
近くのカフェでシイラのフィッシュバーガーを頂いた。
さっぱりしていてなかなか美味しい。
オーナーはなかなかノリの良い感じの方で
クイーンのファンなのか
お洒落なレコードジャケットが飾ってあった。
今回のテングサ産地視察では漁協の方々に大変お世話になった。
現場をより把握でき、とても有り難かった。
現地の方々と交流できたことも
入札のみの繋がりとはならず、今後の励みになっていくと思う。
また、同業者とも交流したことで
競争のみでなく助け合いもできればと感じた。
テングサが減産している昨今だが、
前を向いていけば業界も盛り上がっていくだろう。
良い視察だったなと思いつつ岡田漁港を後にした。
(報告/社長 森田尚宏)
【参考】
6月3日:8:50東京竹芝→10:35伊豆大島岡田漁港 視察(レンタカー)・大島温泉ホテル(泊)
6月4日:視察(レンタカー) 15:30→伊豆大島岡田漁港→17:10東京竹芝
*アラメ(オオブサ)は浅瀬に生息、ケグサ(マクサ)は深層に生息しているとのこと。
深層の方が波は弱い為、ケグサ(マクサ)に適しているのであろう。
*漁師は200名登録しているが、実際に採取しているのは10名未満。
大島の波は強い為、40代〜60代と他の地域より若い傾向にある。
*まだ生えている量は少ないようで例年より遅く5月末から採取され始めた。
*石灰藻はどこにでも生息していると思うが、付着していたのが気になった。
磯焼けの一部を構成することもあり、減産の一因となっているかもしれない。
黒潮等の海流変化とともに研究が進んでいくことを望む。

これから大島へ(雨の東京竹芝)

岡田地区(海流が岸から岬へ、更に沖へと流れる)

火山岩からできた砂浜(野田浜;粒子が大きく黒い)

城ヶ島に似ているが、火山岩の為、黒い(野田浜)。

火山島であることがよく分かる(野田浜)

波浮地区(特に今日は波が強い)

テングサの天日干し(岡田地区)

磯というより岩が多い(岡田地区)

テングサの天日干し(泉津地区)

泉津地区の複雑な磯

透明度がすごい(泉津地区)

ちらほらと石灰藻が付着している(泉津地区)

やはり透明度がすごい(泉津地区)

ダイビングスポットでもある(泉津地区)

利島が遠くに見える

波浮地区へと続く海岸(波が強い)

台地の隆起を感じる(地層大切断面)

波浮地区のアラメ(オオブサ)。波浮地区は波が強い為、アラメ(オオブサ)も太い。

これから東京へ(岡田漁港)

戻ってきた(東京竹芝)
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03 2025/6/4 伊豆大島視察・三原山編
宿泊施設は三原山7合目の大島温泉ホテル。
二日目は一転して晴れ。
ホテルから三原山が見えたので
視察前に三原山に登ってみた。
月世界のような裏砂漠、
広々とした麓に点在する溶岩、
巨大な噴火口や頂上からみる海等、
火山ならではの不思議な光景が広がっていた。
短い工程ではあったけど、なかなか面白いトレッキングであった。
7:40大島温泉ホテル→8:20裏砂漠→9:10三原山山頂→10:00大島温泉ホテル
(報告/社長 森田尚宏)

木漏れ日トンネル(トトロの世界??)

突然視界が開ける

広大な道を歩いて三原山へ

火山岩でゴツゴツしている

まずは裏砂漠へ

裏砂漠。火山砂がひろがる不思議なところ

三原山へ。振り返れば広大な景色が広がる。

だいぶ登ってきた。眼下には海が。

噴火口に近づいてきた。

巨大な噴火口。今なお噴煙が上がる。

外輪山というものか。

外輪山を歩いて行く。

眼下に広がる裏砂漠。不思議なところだ。
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