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天然糸寒天製造報告
毎年12月から3月にわたって行われる糸寒天の製造報告です。
天然糸寒天製造報告 平成21年度(2009)
01 2009/11/27 寒天製造準備
02 2009/12/05 釜祝
03 2009/12/11 
04 2009/12/17 冷え込み?
05 2009/12/25 棚詰まり?
06 2010/01/05 明けましておめでとう御座います。
07 2010/01/13 寒波到来。
08 2010/01/20 大寒
09 2010/01/28 
10 2010/02/05 またもや
11 2010/02/12 炊き込み終了間近
12 2010/02/18 三寒四温
13 2010/02/25 春爛漫

01 2009/11/27 寒天製造準備

 例年であれば昼間でもこの時期は冷え込むが、まだ暖かい。夏の涼しい年の冬は暖かい傾向があるが、今年もその可能性があると思われた。11月最終日に初釜を予定している工場も、現在は気温の様子を見ながら検討している。冷凍庫を保有している工場は完全に冷え切ると予想される時期まで、天然冷凍は見合わせるとのこと。弊社工場も天候次第で初釜予定日を流動的にする予定である。
 一方で工場の準備は順調に進んでいる。天草を炊き込む為の水は原料の天草と共に寒天の命であり、重要な要因であるが、この水は順調に谷川より流れ込み、質・量ともに問題ない。釜と台フネは設置済みで、現在台フネに水を流して洗浄中である。桐で出来ている台フネは近づくと良い香りがして気持ちがよい。棚場での杭打ちは、3日分程度は打ってある為、3回程度は天草を炊き込んで生天を干すことができる。炊込みに使用する天草も本日工場の方へ運び込んだ。

(報告/研究室長 森田尚宏)

初釜に向けて棚場を作る

良質の水から良質の寒天

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02 2009/12/05 釜祝

 12月4日、初釜。今年は冷え込みが弱いので、昨年より一日遅い初釜となった。本日(12月5日)は雨であるが、気温は7.5℃と低く、明日は晴れとの予報である。このまま冷え込んでいけば、初釜の天出・凍てとりにはちょうど良い。棚場の方も、フネを移動させる為のレールを設置し、準備万端だ。明日が気にかかるところだ。今後も気温を確認しながら、棚詰まりとならないよう、様子見ながら炊き込んで行く予定である。
 初釜の絞り・フナ数は今年度の炊き方を考慮する上で重要である。初釜の絞りは重かったので、今回は強めに炊くことにした。その結果、絞りは良好となり、一安心である。天草にも個性があるので、炊き方には慎重にならなければならないのだ。
 本日は釜祝いである。

(報告/研究室長 森田尚宏)

棚場は準備完了

天草を投入して炊き込む

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03 2009/12/11 雨

 その昔「泣く子と地頭には勝てぬ」と言われ、そして昔も今も変わらないのは「お天道様とけんかしても勝てぬ」。この時期ブルブル震える寒さがきていいはずなのだが、ここ数年の暖冬で今年も暖かい日が続いている。そして今日は一日雨。今朝の最低気温は6℃。凍ては抜けきっておらず一部生天のまま。棚場はブルーシートがかけられたままである。恵那山をみればうっすらと白く見える。恵那山が3回白くならないと山岡には冬が来ないとも言われ、今年は2回。次回の降雪が待ち遠しいところである。
 12月4日の初釜から微調整をして、徐々に炊き込みは安定してきた。まだ最終的な寒天ゼリー強度、粘度はわからないものの、日々の釜の絞り具合、生天のゼリー強度、融点を参考に今年の炊き込み具合が徐々に決まっていく。長年の経験をふまえての頭領の腕の見せ所でもある。とは言え「自然相手ではなんともならんわ」どこかの球団前監督のようなボヤキが聞こえてきそうである。あとは来週からの寒波到来に期待するのみ。

(報告/専務 森田智治)

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04 2009/12/17 冷え込み?

 12月になってから恵那山に3回ほど雪が積もった。昨年は恵那山にあまり雪が積もらなかった為、いい傾向だ。一方で夜半から雲が出始めることが多く、放射冷却状態になりきらないで、明け方0℃以下にならない日も多い。昨日も日中晴れたが、夜半より雲が出始めた為、明け方は冷え切らなかった。本日、12時の時点で気温は5℃。これから晴れの予報なので今晩は冷え込みが期待できる。
 棚場に出て生天の状態を確認する。各々状態が異なっており、1号はほぼ凍てが抜けていた。しかし、乾燥するには後1週間ほどくらいのようだ。2号は生天の中層辺りまで凍てが通っており、3号から8号までは生天の上層のみ凍てが通っていた。9号、10号はまだ凍てが入ったばかりで凍ったばかりだ。静かに耳を傾けると凍った生天が日中の日差しで溶け出し、ポタポタという音が聞こえた。
 釜場の方といえば、ここ二日間の天草の絞りは軽かった。絞りが軽すぎるのも良くないので炊き方を若干調整する必要がある。天然の製造期間は年々短くなっているので、炊き方に手間取ってはならない。早急に炊き方を調整していく。
 16時になると気温は2℃まで下がり、凍てとりを始める。カリンカリンという音が棚場に響いた。釜場からは湯煙が立ち上がっており、炊き込む準備もできたようだ。

(報告/研究室長 森田尚宏)

晴れた午後の棚場

凍てとり

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05 2009/12/25 棚詰まり?

 恵那山に雪が積もり、棚場からみても真っ白姿がよく分かる。昨晩は晴れていた為、今朝7時の時点で−4℃。なかなかの冷え込みだ。夕方までは晴れとの予報だから、今日は生天の乾燥が進むと期待できる。しかし12月は全体的に曇りが多く、あまり乾燥が進まなかった。この為、棚場がなかなか空かず、棚詰まりの状態となりそうだが、29日まで炊いて31日出しを検討している。
 棚場の生天は13号までカガミとなっている。このうち、1号〜8号までは晴れていれば1週間程度で野上げが期待できそうだ。9号〜13号はカガミとなってはいるが、冷え込みによる氷が目立つ程、水分が残っている。14号、15号はイテがカガミにはなっていないが、ほぼ抜けている。16号、17号はまだイテは抜けきっていない。
 今年の傾向として、晴れがなかなか続く日がなく、また冷え込みが弱い日も多い。乾燥が遅くなり、減産の原因ともなるので一刻も早く冷え込み、また晴れとなることを期待するのみである。

(報告/研究室長 森田尚宏)

天出し(巨大トコロテン!)

絞り(大凡の出来上がりが分かる)

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06 2010/01/05 明けましておめでとう御座います。

 10:30、5℃。雪は残っており、風はあるが涼しい程度。明け方に雨が少し降ったが、現在は晴れ時々曇り。最近は晴天が少なく、棚詰まりになりつつあるから、簀を広げて少しでも乾燥させていく。
 棚場にでると凍った生天が溶け、ポタポタと水が滴る音が聞こえてくる。各々の乾燥具合を確認してみると9号〜14号は50%乾いており、後4日〜5日くらいで乾燥と思われる。15号〜18号は20%〜40%程度の乾燥具合であり、19号〜22号は凍てが完全にヌケていない。23号〜24号はまだ凍ったばかりで25号は本日天突きをしたばかりである。
 最初に述べたように、最近は棚詰まりである為、本日の炊き込みは実施しなかった。今後、晴天と冷え込みが続くことを祈るばかりである。
本年も宜しくお願いいたします。

(報告/研究室長 森田尚宏)

凍ての入った生天

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07 2010/01/13 寒波到来

「強い冬型の気圧配置になり各地で雪が降るでしょう」
 天気予報どおり強い寒気団が日本列島を襲い雪が降った。比較的積雪が少なく、寒天製造に適した山岡地区でも今日は一日雪景色。日中の気温も上がらず−5度、棚場をぐるっと回ってみればつま先がすぐにしびれてくる。棚場は開かれることなく積まれたままでブルーシートが掛けられている。
 ここ数日の冷え込みで凍ては順調に入りまずは一安心。とはいうものの今度は日中の晴れ間が少なくなかなか乾燥が進ない。寒天のあがりが遅れ棚詰まりになってきた。例年棚詰まりで数日は釜休みの日もあるのだが今年はそれ以上の釜休みになりそうな気配。こればっかりはどうすることもできず困ったものである。しばらくは天気図とにらめっこしながら野上げ、炊き込み、釜休みを繰り返すことになりそうである。せっかく寒の内で良質な寒天ができる時期なのに残念至極。「来週は少し寒波もゆるみ晴れの日が多そうなのでそれに期待するしかないか」祈りともボヤキともとれる独り言、ぶつぶつ。

 ところでまた最近、寒天を使っての健康法がテレビなどで取り上げられているようです。弊社のホームページをご覧頂いて寒天の良さをより一層知っていただければ幸いです。

(報告/専務 森田智治)

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08 2010/01/20 大寒

 今日は一年で一番寒いといわれる二十四節季のひとつ、大寒。朝方は−6℃と冷え込んだのはさすがに大寒の名の通り。しかし日が昇るとともに気温も急上昇。3月下旬の陽気となった。今日に限らずここ数日朝は冷え込み、日中は晴れるという天候が続いたおかげで一気に寒天の乾燥が進んだ。朝から棚場は広げられ野上げを待つ寒天でいっぱい。見事なほど白く綺麗な景色が広がっている(写真上)。昼からは日の光を浴びて乾燥した寒天がどんどん野上げされていく(写真下)。晴れ間が全然なかった先週の天気との違いに驚くばかりである。先週の棚詰まりの心配は取り越し苦労にすぎなかったかもと感じるほど。自然の力は偉大ですね。
 明日からは一旦天気がくずれその後また冬型になるとの予報が出ている。朝晩は冷え込み日中は晴れる天候になってくれればいいのだがどうなることやら。

(報告/専務 森田智治)

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09 2010/01/28 雨

 霧雨。12:30の時点で6℃。気温はそこまで高くなっていないが、寒さはさほど感じない。風がなく、湿気があるためだろうか。今週初めはかなり冷え込んだが、本日は暖かく、今年度は一週間以上冷え込みが続く日がなかなかない。
 先にも述べたが、本日は湿気があり、乾燥がすすんだものは吸湿しないようにビニールシートを被せている。一方で凍ったものは溶けやすいように簀を広げた。棚場からはポタポタと凍った生天が溶けて水が滴る音が聞こえる。31号〜34号は80%程度乾燥しており、後1日か2日であがりそうである。35号から39号は50%から80%程度乾燥しているので1週間から2週間程度かかりそうだ。40号41号は凍てが入ったばかりで、もう少し凍る必要がある。42号43号はまだ凍てが入っていない状況だった。
 来週ははや2月である。2月にもなると日照時間が長くなり、乾燥が早く進む。これから良質の寒天を製造するラストスパートとなる。

(報告/研究室長 森田尚宏)

輝く生天

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10 2010/02/05 またもや

 曇り時々雪。13:30の時点で2.5℃。2月になってから気温は低い日々が続くが日中に快晴になることが少ない。本日も雪が時々降っている為、簀を広げて乾燥を進ませることができない。来週からは冷え込み、晴天も続く予報なのでそれを期待するのみである。
 35号〜49号は凍ても大凡入っているのでビニールシートをかけて降雪による水分を吸収しないようにしている。35号〜38号はほぼ乾燥しており、野上げ間近だ。39号は90%程度乾燥しており、1日か2日で野上げできそうである。40号〜41号は20%〜50%程度乾燥しており、乾燥には1週間〜2週間程度からかかりそうだ。42号〜49号は凍ては入っているが、下層部までは入っていない。まだ冷え込みが必要だ。50号は凍てが入ったばかりで、51号は今朝着きだしたばかりの生天だ。
 2月もまだ冷え込む予報である。凍てが入りやすく、日照時間は長いので、晴天が続けば良質の寒天が早くできあがる。これからがラストスパートだ。

(報告/研究室長 森田尚宏)

カエリを確認する頭領

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11 2010/02/12 炊き込み終了間近

 今朝の最低気温2度。午前10時過ぎで3度。気温はたいして上昇することなく空はどんより曇ったまま、時折小雨がぱらつく天気。曇りのち晴れの予報のわりには太陽は顔を出さない。棚場では濡れないようにシートがかかったままである(写真上)。ひとつひとつ見てみれば凍てはそれなりに入っていて寒天にはなっているもののまだ濡れたものが多く野上げにはほど遠い。これはいったいなにを意味するか、早い話が棚詰まりですね。例年2月は晴天が続いて乾燥が進み野上げで忙しくなるのに今年は晴れの日が続かない。その分陽射しと風による「ヤケ」の寒天が少ないのは救いではあるけど。ともかく棚場は1週間前とほとんど変わってない状況である。この時期夜間の冷え込みが弱くなりいつ炊き込み終了とするか思案するのだが今年はその前に棚場が詰まり、炊きたくても炊けなくなってしまう珍しい状況になってしまっている。他の工場も似たような状況で棚場に余裕がなくなってきている様子である。こうなると棚場に余裕がある分だけ炊いて今年の炊き込み終了とするか、今の時点で釜休みをとり、ある程度野上げができたらまた炊き込みをして終了とするか迷うところである。
 3時過ぎにようやく雲が切れ太陽が顔を見せ始めた。少しでも乾燥するように急いで棚場の寒天は広げられ(写真下)、また凍ての入ってない生天には凍て取りの準備が始まった。明日明後日と晴れの予報がでている。その天気次第で今年の炊き込み終了時期が決まることになりそうである。

(報告/専務 森田智治)

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12 2010/02/18 三寒四温

 この時期凍て付くような冬の寒い日とぽかぽかの春の陽気が交互にやってくる。今日は暖かく優しい春の陽射しがふりそそぐ一日となった。久しぶりの晴れの天気に棚場は大忙し。凍ての抜けた寒天はより乾燥すべく「カガミ」に一斉にかけられた(写真上)。棚詰まりを解消すべく乾燥した寒天は野上げされ倉庫に積まれていく(写真下)。この一週間で一日釜休みをしたがこれでなんとか最終日まで炊き込みできそうである。
 他の寒天工場の様子を聞けばすでに昨日17日で炊き込み終了というところもあれば22日まで、という工場もありまちまちである。当工場は20日または21日をもって終了と考えているが、これも夜間の冷え込みしだいでどうなるかわからないところ。明日からは冬型の気圧配置で雪が降り、週があければ春の陽気との予報。はてさてどうなるか、まさしく三寒四温の今日この頃。

(報告/専務 森田智治)

カガミ状態の干場

野上げされた寒天

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13 2010/02/25 春爛漫

 今日の日中の気温は18℃。2月だというのに少し身体を動かすだけで汗ばむ陽気。まだ啓蟄もきてないのに今は4月かと勘違いしそうな天候、今週は異常気象ではないかと思われるほどの暖かさである。
 当工場は21日で炊き込み終了。釜上げである。その名の通り工場の中は釜が上げられ冬の終わりを告げている(写真上)。棚場はというと連日の晴天で野上げが進みこちらもどんどん片付けられていく(写真下)。あっという間に春が来た感がある。野上げが進むのはけっこうなことなのだが、まだ凍ての抜けてない状態のものも残っていてこちらは少し頭が痛い。地球温暖化はこんなところにも影響をおよぼしている。
 去年は19日で炊き込み終了、今年は遅れること2日だが製造日数は前年比5日減。それだけ今年は棚詰まり釜休みが多かったということ。他の工場も同じようなもので前年と比べて減である。細寒天の里、ここ山岡の昨年年間生産量は約150トン、その内天然寒天は80トンと推測されるが、今年は一割近く減となりそうである。20年前はどこの工場も2月いっぱいは炊いていたことを比べると隔世の感がある。今年はそれだけ夜間の冷え込みが弱く、日中の晴れ間が少なかったということか。ちなみに信州角寒天の年間生産量は100トン弱と推測されている。

(報告/専務 森田智治)

釜上げされた工場内

野上げされ片付けが進む棚場

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