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天然糸寒天製造報告
毎年12月から3月にわたって行われる糸寒天の製造報告です。
天然糸寒天製造報告 平成20年度(2008)
01 2008/12/04 天然寒天初釜
02 2008/12/10 ポカポカ陽気
03 2008/12/19 イテ初め
04 2008/12/25 曇り時々雨後晴れそして…雪?
05 2009/01/05 新年おめでとうございます。
06 2009/01/09 
07 2009/01/15 寒中お見舞い申し上げます
08 2009/01/28 陽気
09 2009/02/03 曇り。
10 2009/02/06 野上げ
11 2009/02/13 春一番
12 2009/02/19 明日で...

01 2008/12/04 天然寒天初釜

 いつもより暖かいと思っていても早や12月、天然寒天製造の時期がやってきた。
 1週間ほど前の稲刈りの終わった田んぼにはまだ杭打ちが始まったばかり(写真上)だったのが、もう今ではすっかり棚場ができあがり(写真下)生天の出番を待つばかりとなっている。
 今年の冬場だけの天然寒天の製造工場は5工場。早い工場は11月29日初釜、当工場は去年の12月1日に比べ2日遅れの3日の初釜となった。当初は12月1日スタートを予定していたが気圧配置を考えての判断。ちなみに3日の最低気温は−2.5度、4日は−1.5度。もう少し冷え込んで欲しいところである。 ここ数年暖冬傾向で12月は比較的暖かい日が多いためしばらく天気予報とにらめっことなる。
 ともあれ初釜の生天サンプルを手に取ってみるとしっかりしたできばえ。まずまずのスタートである。これからは釜の調子をみながら微調整をしていくことになる。
 あとは6日からの寒波到来に期待するのみ。

(報告/専務 森田智治)

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02 2008/12/10 ポカポカ陽気

 「今日は11月上旬の陽気です」の天気予報どおり暖かい1日となった。棚場の温度計では最低気温5度、昼前には早くも13度近くまであがっている。凍てが抜けた後の日中の気温上昇はありがたいが、抜けていない状態ではなんともならない。先日の寒波で一部凍る事は凍ったが、抜けるまでにはなっていない。早くも6日分の生天がたまったことになる。「早く次の寒波よ来い」といったところである。
 ところで、午後から読売新聞社の取材があった。一つ取材した後の山岡での寒天取材だそうで、メモを片手にカメラを提げ、脚立を持ち、長靴を履き、忙しく取材をする新聞記者さんを見て、どんな職業も大変なんだと実感。原料の天草の計量、洗い、釜への投入、棚場の生天へと現場を見学。一連の流れを説明し、その都度質問を受けた。現場では見慣れた風景でも新鮮、驚きに映るようでカメラのシャッター音がたびたび響いた。年明け正月の特集記事として掲載されるようで、どのように紹介されるか楽しみである。

(報告/専務 森田智治)

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03 2008/12/19 イテ初め

 まだ恵那山には雪が積もっていない。なかなか冷え込まない陽気が続いたが、今朝は−4.5℃まで冷え込んだ。この冷え込みで、前日までに煮熟して天場に並べた生天はどれも凍った。真っ白な寒天が一面に広がる景観はやはり気持ちがよい。これが幾日も続けば凍てが抜けて、カガミの状態となって乾燥されていく。
 現在、凍てが抜けてカガミの状態となっていたものは1号〜6号で、後幾日か天日乾燥されれば、野上げされて寒天となっていく。一方で7号〜14号はまだ完全に凍てが抜けておらず、更なる冷え込みが必要と思われた(凍ってはいる)。
 全体的に言えばシビの入った生天は無く、ヤケも少ない。ゼリー強度や粘度もなかなか良好な値が得られている為、今後も冷え込みが続いていけば、良好な寒天が製造されていくと思われた。
 本日の釜のカエリは良好で、火を止めて8分後に大きな湯気が釜から出てきた。今後もこの調子で製造されれば良いと思った。

(報告/研究室長 森田尚宏)

凍て前の生天

棚場の様子

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04 2008/12/25 曇り時々雨後晴れそして…雪?

 12月も下旬になって、ようやく冷え込みも安定してきた。生天がいくつもたまって心配だったのが、ちょっとひと安心といったところ。凍ての心配は去ったが、今度は棚づまりの心配が出てきた。寒天の製造は夜間に凍結、日中の気温の上昇で解凍乾燥となる天候が望ましいのだが、自然相手ではなかなか思うようにはいかない。というわけでこれからの天候と棚場の状況を考え今日は釜休みとなった。あと3、4日晴天が続けば一気に乾燥が進み、野上げ間近な寒天が多いだけに残念である。
 今日の天気は朝、曇り、昼過ぎからポツポツと雨模様、時折やんだと思ったら晴れ間がのぞくといったきまぐれな一日。雨降りを想定して生天を積んでブルーシートを掛け、濡れないようにするのだが(写真)夕方からは雲が切れ、晴れ始めた。そのため凍ての入っていない生天をまた広げるといった作業になった。北西の風が吹き始め、冬型の気圧配置が強まっていく気配である。天気予報によれば未明から雨または雪が降るかもしれないらしい。
 「雨は夜更けすぎに雪へと変わるだろう…」今日は25日。クリスマス。

(報告/専務 森田智治)

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05 2009/01/05 新年おめでとうございます。

 新年から気持ちの良い陽光が続き、良く冷え込んでいる。恵那山には若干の雪が積もっているのみだが、昨年末から最低気温は毎日氷点下である。今朝も−6℃まで冷え込み、おかげで前日までに煮熟して天場に並べた生天はどれも凍っている。天候も安定しており、昨年初めに煮熟した生天は乾燥して寒天となり少しずつ野上げされている。棚詰まりの問題も特になく安心だ。このままの天候が続いていけば良いが、今年は春が早いかもしれないとの声もある。天然製造は冬場のみであるので気は抜けない。
 現在、13号までが野上げされており、14号〜22号は野上げ間近と思われる。23号から26号も良く乾いているが後2日から5日程度は乾燥が必要そうである。このままの陽気で一気に仕上げていきたいところだ。全体的にはシビの入った生天は無く、ヤケも少ない。ゼリー強度や粘度もなかなか良好な値が得られている為、今後も冷え込みが続いていけば、引き続き良好な寒天が製造されていくと思われた。本日の釜のカエリも良好で、火を止めて7分後に大きな湯気が釜から出てきた。

(報告/研究室長 森田尚宏)

野上げ

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06 2009/01/09 雨

 久々の雨が降り、本日は天日干ししている寒天を積み上げて休養である。ただ、順次乾燥して野上げされているので棚詰まりにはなっていない。大凡19日分の生天を干すスペースが残っている。
 現在、32号までが天突きされており、25号26号は凍ても入っており、ほぼ乾いている。野上げ間近と見て良いであろう。一方、27号から30号は若干生天が残っており完全に凍てが入っていない。後、1日か2日冷え込めば完全に凍てが入るであろう。31号32号はまだ生天のままである。因みに1号、2号、18号はまだ完全に乾燥してはいない。時間が少しかかっているので若干汚れも入り始めているから、選別時に気をつける必要がある。
 本日のカエリも良好であったので、良質の生天が期待できた。

(報告/研究室長 森田尚宏)

釜が良く煮えて湯気が立ち上る

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07 2009/01/15 寒中お見舞い申し上げます

 ここにきてぐっと冷え込むようになり2日ばかり最低気温が−10度を記録した。日中、陽が差していても外気は冷たく風が吹くと震え上がってしまうほどの寒さである。これだけ冷え込むと一旦凍った寒天が日中の温度では融けない「鬼氷」状態になってしまう(写真上)。棚場はまだ余裕があるので棚詰まりにはならないがなかなか思うようにはいかないものである。この冷え込みで凍て取り作業も今日は早く、まだ明るい夕方4時前から始まった(写真下)。
 先日の読売新聞社の取材に続き、今日は日本農業新聞社の取材があった。寒天の歴史、製造方法および細寒天、角寒天、粉末寒天の違い、特徴などさまざまな質問を受けた。4年前のブームでずいぶん認知されたとはいえ一般消費者のかたにはまだ寒天の良さを知ってもらってないのかもしれない。山岡の寒天は地域ブランドにも認定され、安心安全な健康食品であるということをもっとアピールしなければいけないと痛感した次第。当工場でも国産原料の天草だけで寒天を製造するなど、よりよい寒天作りを目指している。
 ちなみに今回の取材記事は今月1月24日(土)掲載予定だそうです。

(報告/専務 森田智治)

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08 2009/1/28 陽気

 本日快晴。雪が積もった恵那山がよく見える。連日冷え込んだ証拠なのだが、今日の陽光は春のようで正午で12℃と暖かい。過ごしやすい気候だが寒天の製造には微妙なところである。
 棚場で耳を澄ませば、生天からポタポタおちる音やパリパリと乾いて寒天となっていく音が聞こえてくる。今年は春が早いかもしれないとの噂があるが、本当かもしれない。新天はどんどん野上げされてはいるが、ここにきて若干棚詰まり状態だ。
 現在は50までが天突きされており、34号〜39号は90%程度乾燥しており、野上げも間近だ。42号〜47号はカガミにはなっているが下層部は若干湿り気があり、生天に近い状態か。完全に乾燥して寒天となるにはまだ時間が少しかかりそうだ。48号〜50号はまだカガミにはなっていない。全体的にいえば寒天は焼けてはおらず、白くて綺麗であるが、若干シビが入った寒天もあり、よく把握しておく必要がある。(本日は諸事情で天草は炊いていない)。

(報告/研究室長 森田尚宏)

快晴の元、寒天が出来ていく。

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09 2009/02/03 曇り。

 今日は11時で6℃とそこそこ寒いが、2時頃になると気温も暖かくなった。凍っていた生天は溶け出してポタポタと水の滴る音が聞こえてくる。しかし夕方にもなるとまた冷え初め、凍っていく。生天から寒天に移っていく工程がよく分かる気候だ。棚場自体の空きは7日分程度であるが、乾燥状態がよい物が多いので、棚詰まりの心配はない。
 このような天然冷凍・天然乾燥は糸寒天特有であり、粉寒天とは異なる製法である。原料に天草を使用することはもちろん、製造方法の違いからも粉寒天とは違った、糸寒天独特のプリンとした触感がでてくると考える。
 現在は54号までが天突きされており、40号〜43号はほぼ乾燥しており、野上げ間近。44号〜50号は乾燥までに後3日〜7日ほどかかりそうだ。51号はカガミにはなっているが内部に凍りが残っており、まだまだ乾燥には時間がかかりそう。52号〜54号はまだ凍てが完全に入っておらず、カガミの状態とはなっていない。
 この時期から徐々に日も長くなり、暖かい日もでてくる。今までは白く、綺麗な寒天ができているが、これからヤケた寒天が出来ないように気をつけていきたいところだ。本日のカエリは弱く、炊き方に悩むところであった。

(報告/研究室長 森田尚宏)

野上げ

野上げされたばかりの新天

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10 2009/02/06 野上げ

 立春も過ぎ暦の上では春。寒天の里、山岡でもここ数日春めいた日が続いた。おかげで凍ての抜けた寒天は乾燥が進み、一気に野上げ作業にはいった(写真上)。棚場はがらがらの空き状態(写真下)、これで、もう棚詰まりの心配をしなくてすみそうである。
 通常12月から2月までが天然寒天の製造時期であるのだが、今シーズンは暖冬傾向なのか、雪の降る日もほとんどなく春が近そうな気配である。当初80日間ほどの製造を予定していたが、この天候では残り2週間ほどの炊き込みで終了。1割減産になりそうである。
 春の陽射しを感じ始めるこの時期。陽射しと強風による「ヤケ」に注意をはらいながらの作業がこれからは多くなる。まだまだ朝晩の冷え込みはあるので、凍ての心配はないが、欲をいえばもう少し冷えこんでくれたらなぁというのが本音。

(報告/専務 森田智治)

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11 2009/02/13 春一番

 今朝の最低気温−2度、昨日は−7度とまだ冷えてはいるものの、畳の目、ひと目ごとの温かさを感じる時期である。今日は最高気温12度を越し、夕方近くになっても雲がかかって下がる気配がない。春の陽射しと風による「ヤケ」防止のため、生天に水をかける作業も多くなってきた(写真上)。
 来週は冷え込むとの天気予報がでているが、天然寒天製造も終了の時が迫ってきた。他の工場は、早いところで2月17日、遅いところで2月23日をもって炊き込み終了とまちまち。当工場は2月20日を炊き込み最終日と考えているが、これも天気しだいでどうなるかわからないところ。
 倉庫を見れば、12月初旬は原料の天草でいっぱいだったのが今はほとんどなくなり、代わってどんどん野上げされた寒天が積み込まれ、荷造りされていく。ひと冬の時の流れを感じさせる風景である。
 今日は天気予報どおり昼から雨がぱらつき、夕方からは本降りになってきた。濡れないように、棚場の寒天は積まれてブルーシートが掛けられた(写真下)。ニュースでは東海地方でも春一番が吹いたとか。春はそこまで来ている。

(報告/専務 森田智治)

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12 2009/02/19 明日で...

 このところ日差しが柔らかく、春の到来を感じさせる天候が続いたが、今朝はぐんと冷え込んだ。11時で3℃と結構寒く、棚場を歩いても土は凍っており、歩きやすい。この天候が続けばもう少し天草を炊いていくところだが、これから暖かくなると予想して明日で炊込みは終了する。天然製造をしている他の工場でも炊込み終了の時期は同じくらいだ。
 現在は69号までが天突きされている。このうち、58号から60号はほぼ乾燥しており、野上げ間近である。61号から65号まではカガミとはなっているが乾燥までには1週間から2週間かかりそうだ。66号から69号はまだカガミとはなっていない。野上げ間近な寒天は白く綺麗な寒天であるが、乾燥にもう少し時間がかかりそうな寒天は今後ヤケに注意していかなければいけない。カガミになっていないのはなおのことだ。本日のカエリは勢いが良く、気持ちよかった。
 今年は総じて白く粘度やゼリー強度も高い寒天が多く製造でき、品質的には良好といえた。明日で炊込み終了とは少々寂しいところだ。

(報告/研究室長 森田尚宏)

谷川の水がを良質な寒天を作る

日中の乾燥を防ぐ水まき

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