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天然糸寒天製造報告 平成17年度(2005)
01 2005/12/03 寒天製造開始
02 2005/12/10 早くも棚に生天がたまる。
03 2005/12/14 テレビ撮影1月22日(日)東海テレビ
            「テレビ博物館、それってホント!?」。
04 2005/12/25 棚詰まり
05 2006/01/05 新寒天
06 2006/01/12 寒天物性試験 ゼリー強度試験と融点。
07 2006/01/19 寒天物性試験2 寒天粘度数値
08 2006/02/02 野上げ寒天
09 2006/02/10 生協企画部の見学
10 2006/02/17 春近し
11 2006/02/25 急遽、切り上げ終了。

01 2005/12/3 寒天製造開始

 寒さが順調に来ているので予定の12月2日の開始を早めて11月30日に寒天製造を開始した。今年はテレビ、新聞、本と寒天が頻繁に話題となり天然寒天の売れ行きが好調で今まで不足気味であった。
 早く製造を開始したいところへタイミングよく冬らしい天候状態になり、外のくい打ち作業もそこそこに火入れとなった。
 30日に仕込んだものは12月1日に釜からくみ出し、2日に外の乾し場へ運びだされる。今日3日は、はやくも2日分のものが出ている。
 12月3日午後撮影の写真、区切りの竹棒が1日分の目印である。
 夕方5時すぎには気温は0℃近くに下がってきて突き出された生天が凍り始めている。
 山岡町の他の工場も早いところでは27日、遅いところでも2日には開始された。操業釜数は昨年と同じ14工場である。天候に左右されるがこの分では年内に新寒天ができあがりそうである。昨年量の10%から20%ほどの増産を見込んでいる。
 一方、新寒天価格は原料のてんぐさが今年は2倍ほど高騰したのと新天の引き合いが強いので高値の声が聞かれる。

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02 2005/12/10 早くも棚に生天がたまる。

 12月10日の写真である。近年になく早く11月30日から釜をスタートさせたものの、ここのところ、天気は雪混じりの天気が続いて晴れの時間が少なく、早くも生天が乾し場にたまり始めている。
 記録をみると昨年の初霜が12月の18日、極端な暖冬で始まっていて凍らない天が棚を占めていたのと正反対で、今年は凍り始めた天が乾かずに棚を占め始めている。
 おおよそ15日分程度の日数分の乾し場面積を確保しているだけなので、この雪空気味の天気があと1週間も続けば乾し場がいっぱいになってしまい、一時、釜休みをせざるをえない。
 ただ、品質は良いものが揃ってくるのが救いである。
 天然寒天は、夜間から明け方にかけて気温が零下5℃くらいにさがって凍らなくてはいけない、日中は日射がよくて乾かなくてはいけない、風が強く吹いてはいけない、となかなか自然条件の制約が多い。
 今後の天気の回復が望まれる。
 なお、14日に東海テレビが寒天番組制作のため、当マルナカ寒天工場を1日がかりで撮影する予定である。その様子を次回報告する。

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03 2005/12/14 テレビ撮影1月22日(日)東海テレビ
             「テレビ博物館、それってホント!?」。

 名古屋の東海テレビ局が、マルナカ寒天工場で天然寒天の製造過程の撮影に入った。
 あいにく今週から雪降りが続き、今日も朝からひっきりなしに雪が降ってくる。
 昨日からテレビ撮影の一団は山岡に入って、いろいろな場面を撮るが為に満を持しているが、これだけ雪にふられると一部場面はカットせざるをえないと電話でいってくる。
 森田商店からは専務と社長夫人が応援に駆けつけた。10時すぎには森田商店からの2人は到着、すでにいろいろと打ち合わせして、絵を撮り始めている。
 タレントの森脇健児さんもいて、作業に加わっているところもある。
 TVカメラは、朝の釜からくみ出したところてんを、小舟に移し替える作業を丹念に撮っている(写真上)。
 一方、寒天を使った簡単な料理も打ち合わせしている(写真中)。中央は森脇健児さん。
 外は今時期珍しく雪が降り続いて、青シートがかけられた寒天が段積みされている(写真下)。本来なら一面にひろげた寒天がみられるのに、残念である。
 どんなふうにTV番組がまとまっていくかは放映日までのおあずけである。
 1月22日(日)東海テレビ 朝9:30〜「テレビ博物館、それってホント!?」。
 来年のお楽しみである。

2006/01/18 お詫び;放送日の変更

 以前お知らせした、東海テレビ「テレビ博物館、それってホント!?」テレビ放送日が変更で終了してしまいました。
 1月22日予定が急遽1月15日で放送になり今の時点では終了しています。
 テレビ局から事前連絡がなかったので結果報告になり、大変申し訳ありませんでした。

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04 2005/12/25 棚詰まり

 今年の12月は異例の寒さと雪降りにみまわれている。今月の19日に続いて22日も大雪であった。名古屋気象台、22日の発表では、名古屋市の平均気温は12月上旬で5.8℃、平均より2.1度低く、また中旬では2.3℃と、これも平均より4.3度低かったと新聞は報じている。
 85年から86年にかけての冬以来、20年ぶりの寒い冬になると予想している。
 この天気の影響で、11月30日に寒天製造をスタートしたもののまだ製品は仕上がってこない。のみならず、既に4日間も釜を炊くのを休んでいるありさまである。乾し場には乾燥前の寒天がいっぱいならんでいて(写真:12月25日午前10時41分撮影)棚が詰まってしまっている。他の工場も似た状態で、年内の新寒天出荷はほんの一部に限られる様子である。
 24日の中日新聞岐阜県版記事では「寒天ブーム喜びつかの間、恵那の生産者、品薄で原料高騰」の文があるが、さらにこの天候の悪さにも泣かされ、欠品の問屋からやいのやいのの催促で困ったという声が聞こえる。新聞記事中では、原料のてんぐさ高騰により「製品価格は2割くらい値上げせざるを得ない。」という生産者団体、県寒天水産工業組合のN理事長の談話も載っている。
 今日の午後には久しぶりの晴れ間が見えたが、半日でいいから陽が出てほしいものである。

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05 2006/01/05 新寒天

 予報より良くなって、今日の天気は久しぶりに11時ごろから晴れ間がのぞいた。いっせいに乾し場の寒天をひろげ乾燥を進ませる。(写真上)
 棚詰まりに加え正月もあって、ここ2週間は釜を休める日が9日もできてしまった。この天気を生かして少しでも製品を仕上げ、乾し場を確保する。
 今日ようやく新寒天ができあがってきた。(写真下)
 雪が多かったおかげで色は白く、良く晒されて仕上がった。水分を含んだ状態で日光にさらすと紫外線のおかげで漂白がどんどん進む。
 手触りの感じもしっかりしていて上等である。
 例年は、12月ごろ仕込んだものは1月の寒中仕込み品に比べ見栄えが落ちるものであるが、今年の20年ぶりの寒さと雪で、仕事は大変苦労してきたものの、製品は特上品となり満足である。
 今日は寒の入りであるが、日の長さは長くなってくるので、それを期待して順調に凍結、融解、乾燥が進むことを願うばかりである。

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06 2006/01/12 寒天物性試験 ゼリー強度試験と融点。

 あいかわらず低温が続く毎日である。
 今日は、岐阜県恵那市山岡町にある岐阜県寒天研究室の物性試験の様子を報告する。
 ここでは、組合員の毎日の寒天製品の物性試験ほか、開発の為の依頼試験などおこなってくれる。
 寒天の物性としてゼリー強度と粘度、それに融点を重要視しているが、今回はゼリー強度と融点をとりあげてみる。
 ゼリー強度数値は日寒水式が多く用いられている。20℃、1.5%濃度の寒天ゲル1平方センチメートルあたりの20秒間耐えうるグラム数をgcで表している。通常、糸寒天は350gcから550gc程度であり、用途によっては高い500gc以上のものが必要とされたり、逆に400gc程度のものでよかったりする。
 写真上はその寒天を溶解しているところである。この過程でも、煮溶けの良否がチェックされる。
 また、融点試験(写真下)は1.5%濃度ゲルの試験管を逆さにして過熱し、何度で溶解し始めてそのゲルが離れるかをチェックする。ゼリー強度の高い方が融点も高くなるが、使用原料によっても差が生じる。糸寒天はてんぐさを原料としていて、450gcの強度で概ね91℃〜92℃程度である。一方、オゴノリ原料の粉寒天は、ゼリー強度700gcで88℃〜89℃である。
 融点が高いと、みつ豆寒天などの製品にしてから加熱殺菌しても角が丸くならないので有利である。また、糸寒天の製造途中で生天の融点を測定することによって、2週間後に仕上がる寒天のゼリー強度も推定できるので、その点でも融点測定の利用価値がある。
 また、粘度も重要である。センチポイズで表しているが、これも高い方が有用である。
 ゼリー強度、融点、粘度は、てんぐさ原料でも品種、産地による差が生じ、また、製造中の火の入れ加減でも差がでてくる。このあたりも製造のおもしろいところである。
 他にも透明度、残渣の有無など様々なチェック項目があり、それぞれの利用目的に適合した寒天を製造、提供していくのである。

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07 2006/01/19 寒天物性試験2 寒天粘度数値

 前回、物性試験でゼリー強度試験と融点の測定方法を報告したが、今回は強度と同様重要なファクターである粘度数値について記す。
 粘度はcpセンチポイズで表しているが、該当のゾルの回転軸に対する抵抗値で表している。
 岐阜県寒天研究室の粘度計は、EMILA回転粘度計(Denmark)で寒天ゾルの60℃と50℃の抵抗数値で表す。写真上は、ゾルを一定温度に保つ保温バットと回転軸受け筒と表示を表す板を写している。写真下は部分を拡大したもの。
 今回、天草産地による寒天特性を調べるため、研究室へ依頼試験した。そのうち、外国産(A国)天草だけの寒天と外国産(B国)天草だけの寒天、それに現在製造中の当社天然糸寒天(原料は国内産天草が主)のそれぞれのゼリー強度試験と粘度試験の結果を比較してみる。
・外国産(A国)天草だけの寒天 430gc、 2.0cp
・外国産(B国)天草だけの寒天 450gc、 6.4cp
・国内産天草主体での寒天    460gc、14.0cp
(強度は日寒水式、粘度はEMILA粘度計使用、ゾル50℃)
 同じくらいのゼリー強度でも、粘度ではかなりの差が産地により違いが出ているのは興味深い。
 EMILA型のほか、B型回転粘度計も多く使用されている。使用する粘度計で数値は異なってくるので、どんな粘度計での数値かチェックが必要である。EMILA粘度計の数値はB型回転粘度計の約55%の値となっている。
 ちなみにB型回転粘度計数値(当社販売のトコロテン用粉末寒天1000gc)80cpのものはEMILA型では44cpのデータがある。

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08 2006/02/02 野上げ寒天

 立春を間近にひかえ日差しが長くなってきた。
 写真上は寒天が棚場で干しあがったのを束にして荷造り倉庫へ運ぶところである。
 おおよそ1束は20kg〜22kgで束ねている。束ね方も端のそろえ方がその後の荷造りの善し悪しにかかわってくるので、注意しながらおこなうことが大事である。
 朝の気温はまだまだよく冷えて−7℃あたりが出ているので凍るには心配ないが、日中の日差しが強くなってくるので突き出した生天が乾きやすくなってきている。その防止策として、寒冷紗を生天に覆いその上から水をかけ乾くのを防ぐ方策をとっている。(写真下)
 それでも見た目の白さがやや劣ってくるが、強度や粘度などスペックはOKである。以前と比較して外見より中味のスペックが重要視される傾向にある。原料配合から製造法がポイントになってきていて、本物志向がこういう面でもでてきている。

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09 2006/02/10 生協企画部の見学

 昨年来、見学希望の生協の人たちを案内する。
 2人とも生協連合会の企画開発部の人で、昔からの方法での天然寒天の製造を実地に知りたいということである。熱心にメモをとりながら消費者に安全な製品を供給していこうと態度が出ている。
 朝の10時ごろから、夕方の5時ごろまで乾し場の寒天、工場内の製造状況をみてもらう。棒寒天、糸寒天、粉寒天の違い、製品のスペックの違いによる使い道のいろいろを説明する。
 安全で健康に役立つ寒天を供給する使命感を、工場の人たちも再認識することになった。

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10 2006/02/17 春近し

 急に暖かい日が続くようになってきた。2月17日午後4時過ぎで乾し場にある温度計はプラス5.5℃をさしている。
 周辺の棚場も空きができて、雪も無くなってきているのがわかる。
 来週は天気が周期的に変わり雨降りの予報がでている。
 春が意外とはやくやってくる気配があり、寒天の終了時期を2月28日の最終込みと考えていたが早める必要がありそうである。
 ここ数日の天気で判断する。

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11 2006/02/25 急遽、切り上げ終了。

 思いのほか、寒天の製造には天候状態が良くない。また、これから先の見通しも晴れと雨が交互の予報で完全に春の天気に移ってきた。
 今日25日の12時で15℃まで気温があがっている。
 予定では28日までの製造期間であったが、急遽切り上げることにした。といっても既に水槽に2日分の草が洗うために水漬けしてあるので、その処理をしなければならない。
 本来なら寒天をならべる棚へ草を干すことにする。奥には寒天、手前には天草と、2種類のものが並んでいる。
 都合5日短縮となり、また、まだ凍っていない分が13日分くらいある。今期予定の製造日数79日はおろか74日、しかも最後の13日分は現在凍っていないため、良い寒天には仕上がらない可能性がある。
 このことを考えると昨年比10%程の減産になる見込みである。
 今年は12月、1月は冷えすぎ、雪降りの天気で休みが多く、最後の2月後半では雨が多く暖かくなって不調である。
 昨年の寒天ブームで原料の天草は2倍近く高騰、冬の製造では10%減産、販売市場は拡大傾向になっていて、コスト高と品物不足で価格は高くならざるを得ない状況である。

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