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天然糸寒天製造報告 平成15年度(2003)
01 2003/12/05 寒天製造開始
02 2003/12/11 暖冬でスタート
03 2003/12/19 順調になる(凍結と融解、乾燥)
04 2003/12/25 乾燥、干し
05 2004/01/06 草込み
06 2004/02/02 寒明け前の雨(寒天の生産量)
07 2004/02/19 寒天終了近し(寒天の野上げ)
08 2004/02/26 終了、寒天釜の上げ

01 2003/12/05 寒天製造開始

 今年も天然細寒天の製造がはじまった。11月までは雨が多く、通常スタートから3日から5日ほど遅れての釜開始となった。
 今年も昨年同様山岡町では14工場の製造が見込まれるが、天候がいまいち暖冬傾向にあるので生産量は昨年よりやや減の見込みである。
 写真は寒天を突き出す前の干し場の状態である。冬場の田んぼに竹で台を組みその上に改良台をのせ葦をしゅろ縄で編んでつくった「ス」の上に寒天を突き出す。
 「ス」の大きさはおおよそ畳1枚分に相当する。「ス」は滋賀県の葦ズ製造業者からのものが多い。また、しゅろ縄に代わってpp縄で編んだものがあったが日光に弱く、結局しゅろ縄でのものが今では多い。

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02 2003/12/11 暖冬でスタート

 天然寒天製造が始まったものの天候に恵まれず苦労している。朝の最低気温は零下5度ほど欲しいところがよく冷えても今のところ−1度ほどである。
 朝の気温が零下5度くらい冷えれば突き出した生天が4日から5日で全部凍るのがこの状態ではなかなか凍らない。
 12日の中日新聞、夕刊でも寒天が一面で写真入りで掲載されたがこの暖冬の苦労話がコメントとして書いてある。今後の冬らしい天候が待たれる。


中日新聞夕刊(11月12日)

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03 2003/12/19 順調になる(凍結と融解、乾燥)

 ようやく寒波がくる。朝、ところてん状に突き出された生の寒天は夜間にかけて凍り始める。晴れていれば午後6時ごろには1度程に温度が下がり、凍りはじめる。
 夜の間、晴れていると放射冷却で朝まで零下でいき、日の出直前では零下5から8度までさがる。3日ほどで下まで凍ると次は融解、乾燥工程にはいる。
 日中は太陽の光線が充分あたるように、寒天の載ったスを傾斜させ、乾燥させる。この間、水分の除去は融解のみならず昇華にもよって水分が減っていく。この繰り返しで約2週間ほどで乾燥して製品となる。
 ポイントは夜間凍ること、昼間に天気がよく乾燥すること。雪が多いところは湿気があり、乾燥もあまり進まず適地とはいえない。この天候条件にあったところが天然寒天の製造条件である。
 岐阜県の東濃地区、山岡町はその最適地である。

夜間の凍結

昼の融解、乾燥

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04 2003/12/25 乾燥、干し

 天候に恵まれ、乾燥が進んできた。空きの棚ができてようやく順調な生産が続くようになった。このまま正月までいければ最高である。

乾燥進む

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05 2004/01/06 草込み

 正月休みも終わって再び寒天の製造が開始された。
 通常は外での作業を元旦から3日まで休むため前前日からの草込みの作業は12月30日から休みにはいる。年明けは2日から工場内の炊き込み開始する。
 今年はスタート時点が暖冬傾向であり遅れたのをこの正月休みを返上してやった工場もあった。当工場では例年とおりの正月休みを終え、新年の釜の炊き込みをスタートさせている。
 右の写真は夕方、沸騰してきた釜に草を投入しているところである。口径135cmの鉄釜(内容量1,740リットル)の上に檜製の胴をのせ釜全体の容積を確保している。この胴はコシキと呼んでいて、およそ上部の直径は210cmほどある。そこへ水で洗浄、タンクで3日間水漬けしてアク出しをした原藻のてんぐさを逐次投入していく。
 てんぐさの仕込み量は240kg前後が多い。その後、バーナーで一旦さがった釜温を沸騰するまで約40分ほど炊き込み、吹きこぼれる直前で火止めする。おおよそ午後5時ごろである。そのまま放置して翌朝6時ごろから釜から煮えて出たところてん液をくみ出し絞る工程に入る。
 ここまでの原藻の煮かたで寒天製品の品質のポイントゼリー強度と歩止まりが決まるので重要である。釜を炊く人を頭領といっているが長年やっていても気にいった炊き方ができるのは、常にというわけにはいかない。それほど勘と経験がいる作業である。

草の投入

炊き込み

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06 2004/02/02 寒明け前の雨(寒天の生産量)

 立春前である。1月は雨がほとんど無く、降水量としては寒中の1月23日、に降った雪くらいで寒天製造の天候としては良い状態で1月は終わった。
 立春前となり今日は本格的な雨降りとなった。突き出した寒天も雨よけのシートで覆いをされ天候の回復を待つ。
今年はスタートの12月こそ暖冬気味であったがそれ以後は比較的順調にきている。このまま2月の22日から26日くらいまで寒暖の差が大きく雨が少なくいくことを願うものである。
 ところで今年の寒天の生産量を推測してみる。平成16年1月28日の日本食糧新聞記事から抜粋する。それによると寒天総供給量が国内品1000トン、輸入品1500トン計2500トン。国内品の内訳は天然の角寒天(主産地、長野県茅野市)で150トン、岐阜県の糸寒天の冬期純天然品が70トン、冬期以外の冷蔵庫利用で冷凍、自然乾燥して製造する冷凍寒天が80トンの計、糸寒天150トン。残りの700トンが粉末寒天の生産量と推測される。
 今年の天然糸寒天製造工場数は14工場である。
 ちなみに今から36年前の昭和42年(1967年)では岐阜県の製造工場数93工場、113釜、糸寒天生産量が550トンであった。(岐阜県寒天協会発行、「岐阜寒天の50年史」による。)
 工場数で85%減、生産量で73%減である。

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07 2004/02/19 寒天終了近し(寒天の野上げ)

 今年の天然寒天の製造も終わりに近づいてきた。
 今日は朝の最低気温は零下7度であったが日中は15度ほどまで上昇した。この陽気で寒天の乾燥は順調に進み、干しあがった寒天の野上げ作業に追われている。棚場には空きがおおくなってきている。
 毎回、ゼリー強度試験の為サンプル取りをするが、今日時点でサンプルがとれずに残っている数は7日分と少なくなっている。
 最終込み日はこれからの天気次第であるが、早い工場で21日、普通のところで23日か24日くらいを考えている。操業日は77日から80日近くなるものと思われる。当初、12月には暖かくて1週間ほど遅れて製造開始されたが、その後は順調にきたほうである。
 写真の手前に積んであるのはローラーである。この上に糊の入った重さ50kg以上ある小舟を棚場へ滑らせ入れていく。

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08 2004/02/26 終了、寒天釜の上げ

 2月24日の炊き込みで今年の天然寒天も終了となった。都合、生産日数は79日であった。
 25日の朝に寒天液をくみ出しして、今日26日に外の天場へ突き出しをした。工場内ではこれで終了となり、26日の午後、この冬炊き続けた釜を上げる。
 鉄製もしくはステンレス製で、口径135cm、4尺5寸(内容量は1,740リットル)ある。通称尺5(シャクゴ)の釜と呼んでいる。この写真の釜は鉄製である。釜の内部は腐食を防ぐためにカシューを塗布して来年に備える。
 まだ、外の天場には10日分ほどの寒天がならべてある。これから4〜5日は朝の気温が零下5度くらいほしいところである。

天然寒天の釜

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