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てんぐさ入札会報告
毎年6月から10月にわたって行われるてんぐさ入札会の報告です。
てんぐさ入札会報告 令和5年(2023)
00 2023/03/14 2022年(令和4年)テングサ概況について 
01 2023/03/09 静岡県第1回入札会 

00 2022年(令和4年)テングサ概況について

《国産テングサ(2022.1.1〜2022.12.31)》

 2022年の国内テングサ入札会は、3月10日の静岡県第1回入札会から始まり、11月17日の東京都第2回入札会をもって終了した。
 全国の主な入札会の合計出品量は143.7トンで、2021年の出品量と比較して111%と増産した(2021年全国入札量:129.5トン;下記表)。しかし、2016年・2017年は300トン以上出品、2018年・2019年・2020年は200トン以上出品されていることから、減産傾向であるといえる。
 他入札会出品量と入札外数量を合計した全国生産量は330.9トン(推定)で、2021年と比較して106%と増産した(2021年全国生産量:313トン)。しかし2020年迄は400トン前後で推移していることから、やはり全国的に見ても減産傾向であるといえる。
 ここ数年の減産傾向は入札会での落札価格に大きく影響を与えている。特に徳島県第1回入札会は全漁連主催の入札会では年内最初となる為、入札会の落札価格の基本となる。本入札会(徳島県第1回入札会)の出品量が昨年に続いて大減産した為(例年の20%程度)、購入競争が激化して落札価格が高騰した。続く入札会も影響を受け、結果として全国的な落札価格の高騰に繋がった。ブランド銘柄である伊豆テングサ(静岡県産テングサ)も減産となった為、落札価格は入札会後半になるにつれ高騰した。
 生産量の多い千葉県産テングサは140トン前後と推定され、ほぼ例年並みと考えられた。しかし、他産地のテングサが減産したことにより、需要の一部が千葉県産テングサに移行し、千葉県産テングサの取引価格も上昇している。
 全国的な減産の原因として、@黒潮の大蛇行、A西日本地域〜東海地域での梅雨長期化による収穫日数の減少(※1)等が考えられる。
 特に黒潮の大蛇行は、近年のテングサ生産量に多大な影響を与えていると考えられる。この影響をより明確にしていけば各地区・各地域の減産の原因解明に繋がっていくのではないか。例えば、黒潮の大蛇行が各地区・各地域の栄養塩・海水温にどのように影響を与えるか、更に栄養塩・海水温の変化がテングサ生産量にどのように影響を与えるか、一つ一つ検討していけば、減産の一因が把握できるのではないか。
 昨年、生産量が特徴的な海域があった。高知県東海岸・徳島県東海岸〜和歌山県西海岸に渡る海域である。この海域の南部(高知県室戸岬〜徳島県南部、和歌山県南部(潮岬付近))では減産している一方、北部(紀伊水道;徳島県北部・和歌山県北部)では増産していた。また、水深10メートル程度の深い箇所にはテングサが生えているとの報告もある。黒潮が関係しているとは予想できるが、栄養塩や海水温が実際にどのように関連しているのであろうか。愛媛県と大分県に挟まれた豊後水道では生産量があまり変化していないことも興味深い。
一方で一都七県の漁協による意見交換会が開催されたり、テングサの生態研究や種苗生産も検討が進められたりしている。磯の掃除が実施されている地域もある。これらの取り組みが結実し、将来的に増産されることを期待したい。
 昨年も記載したが、テングサの生長には下記事項が必要であり、2023年の海洋環境に期待したい。

@ 胞子着床時期(1月〜3月)に海水温が13℃(〜15℃)以下となること。
A 海水の栄養塩が豊富であること。
B テングサ生長期(4月〜6月)に海水温が上昇すること。
C テングサ採取時期(4月〜8月)に天候が良いこと。

【主な入札会出品量(1月1日〜12月31日)】

産地\年 令和4年
2022年
令和3年
2021年
令和2年
2020年
令和元年
2019年
平成30年
2018年
平成29年
2017年
平成28年
2016年
東京都 14.5 17.0 35.8 30.3 28.1 30.8 24.5
静岡県 37.5 44.9 36.4 45.5 64.5 85.6 103.5
三重県 3.2 1.4 2.6 3.7 8.3 11.0 10.8
和歌山県 11.2 13.6 14.4 18.9 15.9 13.8 11.6
徳島県 10.4 11.8 34.2 34.3 36.0 30.5 36.1
愛媛県 65.7 39.2 83.9 103.5 114.3 134.0 118.4
高知県 0.1 0.6 1.9 7.6 11.0 9.0 10.7
長崎県 1.1 1.0 1.8 1.6 1.3 3.3 3.2
上記産地計 143.7 129.5 211.0 245.4 279.4 318.0 318.8
全国生産量※2 330.9 313 429 458 411 471 563

(株)森田商店・調査より

※1:当初、梅雨明けは6月下旬と発表されたが、7月中旬から前線が停滞、8月上旬も大雨が続き、
   気象庁は梅雨明け日時を大幅に訂正。
※2:全国生産量:他入札会出品量と入札会外数量(千葉県等)を合計した推定数量。

《外国産テングサ(2022.1.1〜2022.12.31)》

 2022年(1月〜12月)の総輸入量は1,513トンであり、2021年の総輸入量と比較して131%と増加した(2021年1,152トン)。2017年から確認すると平均的な輸入量であるといえる。
 韓国産テングサの2022年の輸入量は318トンであり、2021年の輸入量と比較して174%と増加した(2021年182トン)。2017年から確認すると過去2番目に多い量である。これは急激な円安による輸入価格の高騰に加え、2023年生産量が少ないと予想され、各業者が事前に輸入した可能性が考えられる。この為、輸入平均単価(※3)も前年比105%と高値となった。
 モロッコ産テングサの2022年の輸入量は877トンと、2021年の輸入量と比較して138%と増加した(2021年は637トン)。2017年から確認すると最も多い量である。韓国産テングサと同様、急激な円安による輸入価格の高騰を懸念して、各業者が事前に輸入した可能性が考えられる。輸入平均単価(※3)も同様に前年比117%と高値となった。
 今年の為替動向は不透明であるが、昨年の取引価格を参考にテングサの輸入価格が上昇する懸念がある。特に韓国産テングサは人件費の上昇と需要の集中が予想され、更なる高値の懸念がある。
※3:輸入平均単価:赤テングサ価格、水洗テングサ価格、晒テングサ価格を合計して算出。
一般的に晒テングサは赤テングサより高い為、
晒テングサの輸入量が増えると高値、赤テングサの輸入量が増えると安値となる。
この為、必ずしも輸入平均単価が各テングサ価格を反映しているとはいえない。

【輸入量(1月〜12月)】

令和4年
2022年
令和3年
2021年
令和2年
2020年
令和元年
2019年
平成30年
2018年
平成29年
2017年
輸入総量 1,513 1,152 1,433 1,730 1,627 1,630
韓国 318 182 260 181 271 535
モロッコ 877 637 569 802 680 519

財務省貿易統計より(単位:トン)

(報告/社長 森田尚宏)

01 2023/03/09 静岡県第1回入札会

 静岡県第1回入札会が昨年と同時期の3月上旬に開催された(3月9日)。出品量は4,890kgと、昨年の同時期の出品量と比較して80%であった(2022年第1回入札会6,075kg)。
 第1回入札会はテングサの相場を決める重要な入札会である。本入札会も伊豆産テングサの相場を決める重要な入札会であるが、今年は 当初から減産が予想され、高値傾向となる懸念があった(例年8回程度予定する入札会も、今年は5回のみの予定であった。更に本入札会でも昨対比80%の減産であった)。
 テングサはいつも通り各浜を回って確認した。各々の状態は良好で、例えばトラ晒は十分綺麗に晒されており、青トラ晒も十分青晒となっていた。別の浜のアオ銘柄も実際にはアオ含有量は少なく、十分良質と思われた。ただ、一部の青晒銘柄の中には、「綺麗な青晒」というよりも「薄い青晒」+「黄晒」+「赤草」といった様相のテングサもあった。もう少し一様に青晒にして頂ければ、お客様により紹介しやすいかと思う。
 入札業者は7社。内、FAX入札は2社であった。上記でもあるように当初から高値が予想されたが、実際開票されてみると予想以上の高値となった。今回の落札価格が需要に影響を与えてしまう可能性がある為、我々業者も適正価格で落札していくようにしたい。

(報告/社長 森田尚宏)

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宇久須では早咲きの桜が開花していた。

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