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てんぐさ入札会報告
毎年6月から10月にわたって行われるてんぐさ入札会の報告です。
てんぐさ入札会報告 平成29年(2017)
00 2017/03/22 平成28年度てんぐさ概況
01 2017/06/08 静岡県第3回入札会
02 2017/06/15 徳島県第1回入札会
03 2017/06/22 東京都第1回入札会
04 2017/07/07 愛媛県第1回入札会
05 2017/07/13 静岡県第4回入札会
06 2017/07/14 三重県第1回入札会
07 2017/08/10 静岡県第5回入札会
08 2017/08/17 東京都第2回入札会
09 2017/08/18 城ヶ島第2回入札会
10 2017/08/23 和歌山県入札会
11 2017/09/06 徳島県第2回入札会
12 2017/09/07 高知県入札会
13 2017/09/08 愛媛県第2回入札会
14 2017/10/12 静岡県第7回入札会
15 2017/11/09 静岡県第8回入札会
16 2017/11/16 東京都第3回入札会
17 2017/11/26 平成29年度(平成29.4〜平成29.11)てんぐさ概況

00 平成28年度(平成28年4月〜平成29年11月)てんぐさ概況

 全国のてんぐさ入札(生産)量

以下の表は、平成28年までの年別てんぐさ生産数量(入札数量+入札外数量)です。

産地\年 平成28年 平成27年 平成26年 平成25年 平成24年 平成23年 平成22年
東京都 35 44 52 53 63 53 57
静岡県 110 111 106 117 115 101 155
三重県 11 8 8 16 15 11 18
和歌山県 12 9 12 14 14 21 13
徳島県 36 26 45 32 37 37 34
愛媛県 118 149 160 146 86 80 69
高知県 16 11 29 40 18 36 20
長崎県 13 20 13 23 21 26 15
上記産地計 351 378 425 441 369 365 381
全国生産量 563 486 510 559 481 489 442

(単位:トン)株式会社 森田商店 調べ h29(2017)/3/22

 昨年の天草入札会は平成28年11月17日の東京都第3回入札会で終了した。
全国の生産数量は入札数量と入札外数量で563トンになった。平成27年は486トンで、対前年115.8%となり昨年大きく減産したのを挽回した。
 平成26年に発生した強いエルニーニョは平成28年春に終息したが、海水温、台風の発生等に大きく影響を及ぼした。
 平成27年の不作状況から平成28年の生産量増大を期待して始まる各地の天草入札会は当初予定の東京都伊豆諸島産の生育が極端に悪く、予定の5月開催が中止、さらに6月も入札会開催目途が立たない状態になった。
 不作原因は1月の水温が適正温度といわれる13℃以下のところ平成28年1月は15℃以上で終始したことによる(主催者の東京都漁連担当者談)。
 そのような状態で始まった平成28年6月の徳島県入札会は平成27年9月徳島第2回の高値を引き継ぎ、平成27年同時期6月第1回の25%〜40%高となった。その後静岡県、愛媛県と回を重ねるごとに高値を更新していった。ようやく7月になって東京都伊豆諸島産入札会が開かれたものの前年7月までの累計16トンのところが8.5トン約50%の出品と少なく、伊豆大島岡田産天赤1等は前年比56%高までになった。
 夏の天候状況はエルニーニョ現象が春まで続いた名残と見られ平成28年6月末まで台風の発生が無かった。これは統計のある昭和26年(1951年)以降過去2回(平成10年、1998年と昭和48年、1973年)のみである。 以後8月に入り台風は次々と発生、東日本を針路としたが天草採取に悪影響を及ぼすほどではなかった。
 梅雨明けは九州南部が平年より4日遅いものの四国地区は平年並み、東海地区は3日早くなった。
 天草の主たる採取時期は例年5月から8月前半までである。 
 当初、作柄が悪いのが大きく影響して出品数が極端に少なく高値落札が続いた。この高値は漁業者の生産意欲を高め、伊豆神津島、神奈川県三浦半島など一部の地域では生産量が増えた。特に 千葉県房総半島では作柄状況は比較的良く、採取条件の海況の良さも相まって近年になく増産となり県別ではトップクラスの100トン台に乗った。
 結果、全国総生産量は昨年を上回った。
 また、海外動向では韓国から平成28年は412トン(平成27年435トン)、モロッコから平成28年で1,151トン(平成27年694トン)となっている。
 平成28年の総輸入量は2,207トンである。平成27年計では1,680トンであった。 平成28年輸入数量はモロッコが前年に比べ大幅増え、総輸入数量増につながっている。平成23年から続くモロッコの輸出規制が平成28年に好転していることに起因する。
 価格は為替が平成27年1ドル120円~125円(平成27年6月、月間終値平均1ドル=123.6円)が平成28年の1ドル105円前後(平成28年6月、月間終値平均1ドル=105.45円)で推移したことにより現地価格の上げはあるものの輸入価格は微増(5%~10%高)にとどまった。
 海外からの輸入状況、特に価格は為替如何によるが、こればかりは相当程度の幅(1ドル100円から120円)を考慮せざるを得ない。
 昨年の国内天草価格はひとえに作柄不良により異常高値となったが、平成29年春からの価格は平成29年の年明け1月から2月の海水温が生育に適正がどうかにかかっている。エルニーニョ現象は収まっているので大幅な不作にはならないと推測する。
 価格面では十分な水準まできているので浜の生産意欲は維持できると思われ、あとは採取時期の海況状況による。

(報告/社長 森田庄次)

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01 2017/06/08 静岡県第3回入札会

 梅雨入りに合わせるかのように開催される静岡県第3回入札会。今年の東海、関東地方の梅雨入りは7日。入札会当日は曇りから小雨の天気となった。
 例年のごとく前日から組合回りで品種銘柄とこれからの状況を確認。今回の出品本数は347本。前年の同時期437本と比べると約20%の減となった。主な出品組合は松崎町雲見と仁科。東海岸では須崎だけと少し寂しい出品である。並んだ見本の写真もいつもに比べ少ない。
 応札商社はファックス入札2社を含め8社。前回の入札結果からすれば落ち着きを取り戻しつつあるかと思われたが、結果は一部商社がとびぬけた価格で落札。これが次回の入札価格のベースとなるのかならないのかわからないところである。
 3月中旬から4月下旬にかけて静岡県水産技術研究所が調査した今年の天草状況は「下田から南伊豆地区では前年並〜減、松崎から土肥地区では前年並〜増、県全体では前年並」の予想だが昨日今日とそれぞれの組合支所を回ってみて、どうも現在の海の中の状況は変わってきている気がする。日々変化する作柄。他の地域の作柄状況と連動して落札価格も変動していく。なんとも難しいものである。

(報告/専務 森田智治)

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02 2017/06/15 徳島県第1回入札会

 徳島県第1回入札会が例年通り6月中旬に開催された(6月15日)。徳島県第1回入札会は、全漁連主催の入札会で初回の入札会である。この為、本入札会は今年1年の入札動向を決定する重要な入札会である。出品量は18,200kgと前年比で88%と減産である(H28#1:20,644kg)。
 テングサの様相は全体的にカキの付着具合は少なく、綺麗であったが、例年よりも小さく細い印象であった。テングサの生長が悪いのではと推測された。
 次に続く愛媛県入札会の出品量は70トンと昨年より減産(H28#1:93トン)するとの報告があった為、今回の徳島県入札会では競争が予想された。
 入札業者は8社。各社、本入札会には気合いが入っており、通常よりも早く会場に入り、テングサを見付けていた。ピリピリとした雰囲気の中、入札会が始められた。結果、落札値は昨年の第2回入札会を参考にした価格が中心となり、予想よりも大幅な高値となった。続く愛媛県入札会に強い影響を与える入札会となった。

(報告/常務 森田尚宏)

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03 2017/06/22 東京都第1回入札会

 東京都 第1回入札会が6月中旬に開催された(6月22日)。出品量は11,881kgと前年比で139%と増産である。しかし昨年(H28)は大幅な減産で(H27比で53%)、過去5年でみると然程の増産とはいえない。更に出品された内訳はケグサ赤が6,240kg、ケグサ晒が1,290kg、アラメ赤が2,761kgアラメ晒が1,562kgと、例年多数出品されるアラメは少なかった。
 黒潮の関係であろうか、全体的に生長が遅いように思われ、アラメは毛足が短く若干細めであった。しかし、カキやアオの付着は少なかった為、歩留まりは高いと思われた。
 入札業者は10社。アラメは東京都以外の産地で出品されないこと、アラメが減産していることから、かなりの競争が予想された。結果、落札値はかなりの高値となった。

(報告/常務 森田尚宏)

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04 2017/07/07 愛媛県第1回入札会

 愛媛県第1回入札会が昨年と略同時期の7月上旬に開催された(7月7日)。出品量は102,042kgと昨年度第1回入札会と比較して109%と増産である(H28年93,407kg)。当初は100トンにならないのではとの予想であったが、空梅雨で例年よりも多く採取できたと思われた。ただし、過去5年でみると若干の減産である。
 徳島県や東京都の報告でも述べたが、愛媛県でも全体的に藻長が短いと思われた。今年は全国的に藻長が短いのではと思われる。また同じ等級でも袋により状態が異なっているテングサがあった(フケの付具合や寄草の程度)。入札する場合はよく考慮する必要があった。
 入札業者は8社。これまでの流れから高騰すると思われたが、予想したほどではなかった。そうはいっても昨年並みの高値である。今回は後継者と一緒に来ている業者が2社あり、テングサ業界にも少しずつ新しい風が入り始めた。

(報告/常務 森田尚宏)

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05 2017/7/13 静岡県第4回入札会

 九州では局地的な豪雨で被害も出ているが、下田ではいかにも梅雨真っただ中と思わせる曇り空。日本中の湿気をこの街、下田市に集めたんじゃないかと思わせるかのような蒸し蒸しした天気。こんなことならいっそ雨降りのほうがあきらめもつくんだけどと嘆きたくなるそんな一日。
 早くも静岡県第4回入札会。天草入札会で8回開催予定なのは静岡県だけである。
 今回の出品は281本7,025kg。毎回のように出品される仁科浜がない分、前回第3回より2割減である。今回は東海岸の白浜、須崎からの出品もあり、前回より多少賑やかな入札会となった。応札商社はファックス入札2社を含め7社。先週の愛媛県入札会で相場も徐々に落ち着き始めたかに見えた後の入札会。さてさて結果はというと商社の欲しい銘柄については前回より高めの値が付いたものの確かに落ち着き始めた気がする。とは言え3、4年前に比べれば高値には違いない。
 明日14日は三重県入札会。応札商社も一部入れ替わり、この結果がどれだけ影響するのか読み切れないところである。

(報告/専務 森田智治)

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06 2017/07/14 三重県第1回入札会

 三重県第1回入札会が昨年と略同時期の7月上旬に開催された(7月14日)。出品量は10,519kgで、昨年度第1回入札会と比較して102%と増産である(H28年10,264kg)。2014年は5トン弱、2015年は4トン弱と近年は10トンを下回っていたが、2016年、2017年と10トン以上となり、平年並に戻った感がある。
 これまでの入札会(徳島県入札会、愛媛県入札会、東京都入札会)では、テングサの藻長が短い感があったが、三重県入札会では然程短くなかった。等級については産地毎に特徴があり、ある産地のテングサは上天/中天/下天ともに状態が良いテングサであった。一方である産地テングサの漂草は他海藻が割合多く混入していた。
 入札業者は9社。三重県入札会は1品ずつ入札され、落札されていく。前に入札された価格が次の商品の価格に影響を与える為、入札価格は即断即決が必要となっていく。愛媛県入札会、静岡県集札会の流れから、本入札会も然程高騰はしないと予想された。実際、極端に高騰はしなかったが、通常安値で取引されるテングサの価格が上がった感じはあった。

(報告/常務 森田尚宏)

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07 2017/08/10 静岡県第5回入札会

 今年の立秋は8月7日。暦の上では秋の始まりのはずだが、そんなわけもなく夏の真っ盛り。日差しが痛い。
 今回の出品数量は514本12,850kg。去年の同時期623本に比べると2割弱の減産。今回の出品のうち仁科浜が8割以上を占め、その他は須崎、雲見、安良里が少々といった案配。応札商社はファックス入札2社を含め7社。
 「あなたが欲しいのは高くてもいいから採り草1等品? それとも寄り草で数量を揃えたい?」そんな天草の神様の問いかけに「どちらも安く落札できればそれが一番です」そんな心のやり取りをしながら応札。結果はすべてといっていいくらい前回より高値がついた。先月末に海外の天草に高値がついたことが今回の高値がついた一因にもなったことに加え、この時期に必要なものには高くても荷揃えをしなくては、という業者心理が働いたものと思われる。
 落ち着き始めた相場もここにきて一気に変わってきた感がある。来週は東京都入札会。その後和歌山県、三重県と入札会は後半戦を迎える。潮目が変わったようにも見える天草相場。神様にお願いするより、天草の識別と他の応札者の顔色を読め、ということですね。

(報告/専務 森田智治)

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08 2017/08/17 東京都第2回入札会

 東京都第2回入札会が8月中旬に開催された(8月17日)。出品量は8232.5kg(274本)、第2回迄の出品量の合計は20,114kgで、昨年(2016年)の第2回迄の出品量を比較すると125%と増産していた。しかし昨年(2016年)、一昨年(2015年)は減産であり、過去5年でみると今年も出品量は少ない方である(第2回迄の比較;2012年23,586kg、2013年29,562、2014年25,800kg、2015年16,151、2016年16,077kg)。
 テングサ自体を確認してみると今回は割合生長していて毛足が長かった(前回入札時(2017/6/22)は全体的に生長が遅いように思われ、アラメは毛足が短く若干細めであった)カキやアオの付着も少なく、綺麗なテングサが多かった。ただし湿気が高かった為か、赤草は若干湿った感触があった。
 入札業者は10社。アラメは東京都以外の産地で出品されないこと、アラメが減産していることから、第1回同様にかなりの競争が予想された。結果、落札値は相変わらずのかなりの高値であった。しかし、第1回と同程度または若干の高値のみであり、予想よりは落ち着いているのではと感じた。

(報告/常務 森田尚宏)

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09 2017/08/18 城ヶ島第2回入札会

 城ヶ島第2回入札会が8月中旬に開催された(8月18日)。出品量は1,550kg、第2回迄の出品量の合計は3,910kgで、昨年(2016年)の第2回迄の出品量を比較すると101%と僅かに増産した。ただ、昨年(2016年)も増産している為、過去5年でみると今年も出品量は多い方である(第2回迄の出品量;2012年2,568kg、2013年2,597、2014年255kg、2015年2,146、2016年3,882kg)。
 漁協までの歩いていると、海岸では年配の女性の方がテングサを改良していた。暑い中、大変な労力をさいて付着したカキを取って頂いていると感じた。大変有り難い光景を見させて頂いた。
城ヶ島の海岸を見に行ったところ、水は大変綺麗であったが、潮間帯には海藻類があまり生育していなかった。秋から冬に向けて胞子状態になっているのであろうか。テングサ自体は太い草と細い草が適度に混じった状態で、カキの付着具合も少なく、特に問題ないように感じた。
 入札業者は5社。前日の東京都の影響を受け、落札値は第1回入札値より若干の高値となった。

(報告/常務 森田尚宏)

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10 2017/08/23 和歌山県入札会

 和歌山県入札会が8月後半に開催された(8月23日)。これまでは大阪で開催されていたが、今年より和歌山県漁協で開催となった。出品量は13,790kgで昨年と比較して119%増産となった(2016年;11,558kg)。過去5年でみると例年並に戻ったといえる(2012年13,897kg、2013年14,087kg、2014年11,352kg、2015年9,117kg、2016年11,558kg)。
 大阪で開催されていた時は見本のテングサは少量のものもあったが、今回は30kg梱包品が1本ずつ見本で出品されており、良く確認することができた。ただ1,000kg以上の出品量のテングサは30kg梱包品が3本程度あるとより概要を確認することができると感じた。赤草に関しては若干のカキやフケ、アオがあるのみで概ね良好な状態であった。僅かに湿っていたのは、湿気を吸収した為か。晒草に関しては若干クスンだ晒しもあり、もう少し綺麗に晒して頂ければと感じた。
 入札業者は4社。落札値は高値であったが、推測できる範囲内であった。来年からのテングサ相場のこともあり、そろそろ落ち着き初めて欲しいところである。

(報告/常務 森田尚宏)

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11 2017/09/06 徳島県第2回入札会

 徳島県第2回入札会が9月上旬に開催された(9月6日)。今回の徳島県第2回入札会を皮切りに、高知県入札会、愛媛県第2回入札会と三日連続で入札会が開催される。出品量は12,286.5kgで昨年(2016年)と比較して79%と減産した(2016年第2回:15,466kg)。年間出品量でも30,486kgと昨年(2016年)と比較しても84%と減産である。過去5年でみると変動はあるものの、若干減産しているといえる(2012年37,061kg、2013年31,876kg、2014年44,570kg、2015年25,668kg、2016年36,110kg)。
 テングサを確認したところ夏草の割にはカキが少なく、綺麗なテングサが多かった。しかし、生長が遅い為か春草より細い様相をもったテングサが多かった。また、各浜ともいつもより乾燥状態は良かった。ただし、等級と様相が対応していないテングサもあり、しっかりとテングサを確認して入札する必要があった。今回はオグサという草も出品され興味を引いた。オグサとは小草と表記し、陸に近い箇所に生える小さいテングサを指す。
 入札業者は7社。そろそろ値を落ち着かせたいという期待を込め、高値は高値であるが想定内の価格で入札した。しかし、結果は想定以上の高値であった。本落札値は次の高知県入札会に影響を与えることとなる。

(報告/常務 森田尚宏)

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12 2017/09/07 高知県入札会

 高知県入札会が9月上旬に開催された(9月7日)。四国3連続入札会の二日目である。出品量は8,975.8kgで昨年(2016年)と比較して84%と減産した(2016年第2回:10,683kg)。過去5年の出品量でみても減産しているといえる(2012年15,209kg、2013年30,283kg、2014年20,514kg、2015年7,729kg、2016年10,683kg)。
 テングサを確認したところ、綺麗なテングサもあったが、赤草と黄晒が混合して梱包してあったり、テングサとサル草が混合してあったりと、様相があまり良くないテングサが目立った。また晒テングサであるのに晒と表記していなかったり、晒青と表記されているにもかかわらず黄晒であったりと、今後の標記方法に懸念が残った。高知県産テングサを希望するお客様もいるので、もう少し頑張って頂ければと思った。今回はよくサンプルを確認して入札する必要があった。一方でサル草に関しては通常より、若干カキの付着が少ないように感じた。
 入札業者は6社。高知入札会は例年2回に分けて実施される。今回は三津より開始され、2回目に残りが入札された。しかし、出品量が10,000kg以下の場合、1回入札したらどうかとの意見も出た為、来年以降はその可能性が考えられた。落札価格は、徳島県第2回入札会の影響を受け、高値落札となった。

(報告/常務 森田尚宏)

赤草と晒草の混合品

テングサのサンプル全景

高知駅には高知県の3英傑が並ぶ。

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13 2017/09/08 愛媛県第2回入札会

 愛媛県第2回入札会が9月上旬に開催された(9月8日)。四国3連続入札会の最終回である。出品量は31,937kgで昨年(2016年)と比較して128%と増産した(2016年第2回:24,957kg)。年間出品量でも133,979kgと昨年(2016年)と比較しても113%と増産である。ただし、過去5年の出品量でみると減産傾向といえる(2012年85,712kg、2013年145,567kg、2014年160,075kg、2015年148,834kg、2016年118,364kg)。
 テングサを確認したところ、総じて状態は良く、カキの付着が少なかったり、然程細くなかったりしていた。晒草もよく晒されていた。ただし、一部のテングサは雨によりノリが抜け、その状態で乾燥されたものもあり、要注意なテングサもあった。
 入札業者は8社。例年、第2回入札会は落札価格が下がる傾向にあるが、先に行われた徳島県第2回入札会、高知県入札会の影響を受け、高値落札となった。本入札会で全漁連開催の入札会は終了、残りは静岡県入札会と東京都入札会のみで有る。3日間緊張続いた入札会は非常に疲労したが充実した3日間でもあった。

(報告/常務 森田尚宏)

愛媛県入札会場

松山空港にて

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14 2017/10/12 静岡県第7回入札会

 去年同様9月開催予定の第6回入札会が数量不足のため中止。今回第7回入札会とはいうものの実質6回目の入札会である。今回の出品数量は560本、14トン弱。去年同時期は586本、若干少なめといえば少なめ。入札商社はファックス入札2社を含め8社。
 今回560本出品の内、422本が八木沢支所の天草。全体量の75パーセントを占めている。八木沢の天草は晒、トラ晒で出品されるがこの区分が実に多い。晒、トラ晒の中に採り草、寄り草の区分。またそれぞれに1等から3等まで、その間に乙などという等級区分まで入ってきて種々雑多である。見本だけ見ているとどれだけの違いがあるかわからなくなってしまう。例年八木沢の天草入札は春先に1回、この時期にもう1回出品されるのが通例だが、今年に限って春先の出品はなくこの時期だけの出品。泣いても笑っても欲しいものは今回落札しなくては品ぞろえができない。
 今年はずっと高値の相場が続いていたことと品数を揃えるためそれなりの値が付くことを考慮して応札。結果は予想通り高値続出。去年も高値と感じた落札値のまたその上をいく結果となった。
 弊社は必要量以上なのか以下なのかわからないまでもそれなりの数量を落札。チャンスの神様は前髪のみ、過ぎ去った後に後ろ髪をつかもうとしても後の祭り、なのか。次回11月に開催される最終回の入札会が答えを教えてくれる。
 写真は八木沢港から見た冠雪前の富士山。風格気品がありますね。

(報告/専務 森田智治)

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15 2017/11/09 静岡県第8回入札会

 11月7日は立冬。冬と呼ぶのにはまだ早い気がするが、朝晩には確かに風に寒さを感じる時期になった。
 今回の第8回で静岡県入札会は今年最後の入札会となる。出品本数は548本。去年の同時期は508本。今回のほうが若干多めだが年間累計では去年103トンに対し今年は86トン、17パーセントの減となった。
 今回は6組合支所からの出品で、最終回ということもあってか様々な種類の天草が出品された。春に採取されたもの、夏に採取されたものであろうもの、また選別によって撥ね出されたもの。見本を見ながら現物を想像するのも一興といえば一興。結果は春草であろうものには前回同様高値が付き、それに引っ張られたわけでもないだろうが他の天草もそれなりに高値が付いた。結局今年の静岡県入札会はずっと高値で推移したことになる。
 入札会が終わった後、組合関係者と入札商社との懇親会が開かれ、組合の方からは減産だったためか高値が付いたこと。黒潮の蛇行によって様々な海産物に影響が出ていることなどの報告があった。また入札商社からは、組合によっては時期によって等級のばらつきがみられることから等級の統一化を要望する声がでた。
 写真は下田駅前にある黒船「サスケハナ号」の何分の一のレプリカ。こんな蒸気船が突然現れたらそりゃあ当時の人は驚くでしょうね。

(報告/森田智治)

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16 2017/11/16 東京都第3回入札会

 東京都第3回入札会が11月中旬(11月16日)に開催され、本年度の東京都入札会は終了した。出品量は10,675kg(356本)で昨年の第3回入札会と比較して29%の増産である(2016年第3回入札会8,285kg)。年間出品量でも30,789kgと昨年と比較して26%増産である(2016年24,362k)。ただし過去5年でみると今年も出品量は少ない方である(2012年54,956kg、2013年43,903、2014年43,210kg、2015年36,163、2016年24,362kg)。
 この時期に出品されるテングサは夏草が多い。この為、カキが多く付着する傾向があり、テングサをよく確認する必要がある。実際にカキが多い傾向ではあったが、割合カキの状態が少ない産地もあった。アオの付着は少なく、黒潮の蛇行はあるものの、海の状態は改めて良いと感じた。
 一方でテングサの等級分類としては若干曖昧であり、上1等と分類されていても他産地であれば1等レベル、2等下と分類されていても割合状態の良いテングサもあった。ある産地の1等テングサではカキが多く付着している俵もあり、入札会場で1等と別1等の2種類に分類された。落札価格はそれ相応の価格がついている。
 入札業者は10社。アラメは東京都以外の産地で出品されないこと、アラメが減産していることから、高値落札となった。しかし、夏草ということもあり、高値は高値であるが若干落ち着きを見せ始めた価格であった。本入札会をもって今年度のテングサ入札会は終了した。

(報告/常務 森田尚宏)

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17 2017/11/26 平成29年度(平成29.4〜平成29.11)てんぐさ概況

 全国のてんぐさ入札(生産)量

平成29年は入札数量、*の東京、高知、長崎は一部入札外数量を含む。**は推定値。
平成28以前は生産数量(入札数量+入札外数量)です。

産地\年 平成29年 平成28年 平成27年 平成26年 平成25年 平成24年 平成23年
東京都 * 39 35 44 52 53 63 53
静岡県 86 110 111 106 117 115 101
三重県 11 11 8 8 16 15 11
和歌山県 14 12 9 12 14 14 21
徳島県 30 36 26 45 32 37 37
愛媛県 134 118 149 160 146 86 80
高知県 * 9 16 11 29 40 18 36
長崎県 * 6 13 20 13 23 21 26
上記産地計 329 351 378 425 441 369 365
全国生産量 ** 438 563 486 510 559 481 489

(単位:トン)株式会社 森田商店 調べ h29(2017).11.26

 今年のてんぐさ入札会は平成29年11月16日の東京都第3回入札会で終了した。
 全国の生産数量は入札数量と入札外数量で推定438トンになった。平成28年は563トンで、対前年77.8%となった。
 昨年高値で各地入札会が終了しているので今年の価格は各産地の集荷量次第でどのような方向になるか各浜の様子が注目されていた。2月、4月の静岡県伊豆地区では昨年の採取ものの入札会があり比較的抑えた価格で推移していた。そんな中、今年採取品で一番早くから始まる九州大分で5月、集荷量は昨年並みであったが、落札価格は昨年終わりの高値とほぼ同等価格となった。
 一方、当初5月入札予定の東京都伊豆諸島においては集荷量不足のため6月に伸びることになった。
 その間、徳島県では10%強減産となり昨年同期を大幅に上回る価格が付けられた。次いでの6月の東京都伊豆諸島も毛草を除く他の高価格の品は軒並み高値落札なり、これが今年の相場を方向づける結果となった。
 伊豆諸島の数量減は本年1月、2月の海水温の着床適正温度13℃以下のところが2℃から3℃、高く逆に4月の成長時期には黒潮の南下の影響で2℃低いのが響いたと思われる。 
 以後の愛媛県、三重県、長崎県と高値だった昨年価格を上乗せる状態となった。
 8月になると韓国は済州島の入札情報が飛び込んできた。
 それは現地価格で1kg昨年5,500ウォンが、今年10,300ウォンと実に87%高のニュースであった。この価格は国内一次問屋には1kgあたり1,300円前後になり国内各地の天草価格をさらに押し上げる結果となった。為替はH28年9月100ウォン=9.15¥(8/24〜9/24終値平均)のところH29年9月100ウォン=9.74¥(同期間、値)と円安になっているのもさらに影響している。
 まさに12年前、平成17年(2005年)の天草ブームの再来と思わせる異常価格となっていった。天草は国内市場だけでなく海外輸入品が大きく影響する見本のようなものであった。
 天草の一番の輸入先はモロッコである。モロッコ国内の2011年から続く輸出規制(1,200トン)の第2期終了年の2016年は10月末で1,111トン12月末までに1,150トンのところが、今年も輸出規制がかかり2017年10月末で476トンと半減している。年末にかけてある程度増えると思われるが、価格は29.6%(輸入統計表より)上昇している。
 一方、韓国からは2016年10月までの348トンが今年同期で368トンと微増している。
 このような状況に日本食料新聞では2017年9月6日一面に「天草の高値続く」として記事を掲載している。
 さらに国内では東日本、北日本の記録的長雨が続き、また台風21号は10月22日から23日にかけ関東に上陸、天草主産地の千葉県房総半島に海域のみならず、採取の漁港、漁船にも大きな被害をもたらした。昨年は千葉県産が200トン(相対取引が主)ほどと他県を大きく凌ぐ最高量があったのが今年はその半分以下の数量で、特に7月以降はほとんど収穫されていない状況である。
 結果、昨年の高値を更新した今年の国内、天草価格は値上がり始める前の平成26年(2014年)の価格と比べると各産地共、軒並み150%〜200%になった
 この一年の動きは正に天草価格の大変革のはじまりになるかもしれない。高値から就業者、採取人口の減少に歯止めがかかり逆に増えれば別であるが、自然現象、このおおもとは地球温暖化であり、海水温の上昇による磯焼けをはじめとする各種要因による天草収穫減は今後も続くことを認識しなければならない。
 全国数量確定値は平成30年3月末に報告できる。

(報告/社長 森田庄次)

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