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06 2026/05/27 太平洋沿岸域のテングサ生産量の変動についてU
(株)森田商店 代表取締役社長 森田尚宏
テングサは寒天やトコロテンの原料となる重要な水産資源である。生育域は南北半球の温帯〜亜熱帯であり全国的に生育しているが(※1)、国内水産資源としてのテングサは千葉県から長崎県にかけての、いわゆる太平洋ベルト地帯で多く採取されている。採取されたテングサは各地域の漁連・漁協が主となって入札会が開催され、落札されていく。
近年、テングサの生産量は減産し続けており、入札会出品量と入札外数量を合計した全国生産量も2025年は推定234トン(表1)と過去8年(2017年〜)で2番目に少ない量であった。減産の原因は様々な要因があるが、2017年8月から2025年4月に発生していた黒潮大蛇行(※2,※3,※4)が大きな影響を与えたといわれている。
本稿では太平洋沿岸域の国産テングサに焦点を絞り、海域毎に生産量変動を解析し、黒潮潮流との関連性を考察した。海域はこれまでの生産量変動から「T:西日本(高知県・東部/和歌山県・南西部)」「U:西日本(瀬戸内海/大阪湾)」「V:西日本(豊後水道)」「W:東海」「X:東日本1」「Y:東日本2」の6種類に分類した(図1)。解析の結果、各海域とも特徴的な変動をしていた。
「T:西日本(高知県・東部/和歌山県・南西部)」海域は黒潮大蛇行の発生後、約1年後に減産し始め、3年〜4年後に大減産した(図2)。この海域は黒潮大蛇行の南下開始海域付近(潮岬;※2,※3)であることから、黒潮大蛇行の影響を強く受けた可能性がある。黒潮大蛇行は2025年4月に終息したが(※4)、2025年の生産量は増産しなかった(図2)。これは終息後も暫く影響を受けていた可能性がある。
「V:西日本(豊後水道)」と「W:東海」海域は黒潮大蛇行が開始した翌年の2018年から減産しているが、「T:西日本(高知県・東部/和歌山県・南西部)」海域程、減産していない(図.6,図.8)。この海域は黒潮大蛇行の南下開始海域付近(潮岬;※2,※3)から若干の距離があることから、「T:西日本(高知県・東部/和歌山県・南西部)」海域程は影響を受けなかった可能性がある。一方、黒潮大蛇行が終息した2025年には生産量が増産に転じていることから(図.6,図.8))、早い段階で黒潮大蛇行の影響が小さくなった可能性がある。
「X:東日本1」海域と「Y:東日本2」海域は黒潮大蛇行の変動(開始時期や終息時期)と関係なく生産量は変動している(図10,図12)。これらの海域は黒潮大蛇行の南下開始海域付近(潮岬;※2,※3)から距離がある為、大蛇行の影響を強く受けていない可能性が考えられる。一方、2023年北日本で黒潮続流の極端な北上が報告されていることから(※5)、「X:東日本1」海域と「Y:東日本2」海域は潮流が変化していた可能性が考えられる。
テングサ生産量と黒潮の関連性を立証するには更なる研究が必要となる。本稿を読まれた方が海洋環境と生産量の関係に興味を持ち、水産資源保護・増産の一環として今後の研究課題として頂ければ幸いである。
(報告/社長 森田尚宏)
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