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天然糸寒天製造報告
毎年12月から3月にわたって行われる糸寒天の製造報告です。
天然糸寒天製造報告 平成26年度(2014)
01 2014/12/05 初釜
02 2014/12/12 そろそろ寒波期待
03 2014/12/19 天の意向のままに
04 2014/12/25 ぼちぼち
05 2015/01/13 寒天の里山岡
06 2015/01/22 雨にけむる街
07 2015/02/04 凍っても、凍っても
08 2015/02/12 2月の空は気まぐれ
09 2015/02/18 なかなか 

01 2014/12/05 初釜

 12月になって一気に冷え込んできた。天然細寒天製造の季節到来である。去年、一昨年とここ数年は12月3日が初釜であったが今年は12月4日が初釜。ひと昔前は11月20日過ぎには初釜だったのが温暖化のせいか今では12月になってからの炊き込み開始がほとんどである。早朝には雪が降り、冷え込んできたとは言っても今日の最低気温は2℃。まだ冷え込み不足とはいうものの明日から一段と冷え込みそうなので丁度いい初釜となった。
 一晩かけて煮込んだ天草の溶液を固めたものが生天。昼過ぎにはいち早く固めたその生天のゼリー強度と融点の計測。一方で天草溶液を絞った後の糟(カス)の絞まり具合と釜の状態をみて次の炊き込み具合の調整をする。長年培ってきた頭領の腕の見せ所である。
 外では明日から突き出される生天の棚場作りが着々と進んでいる。恵那市山岡町の冬の風物詩のスタートである。

(報告/専務 森田智治)

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02 2014/12/12 そろそろ寒波期待

 初釜から早くも9日、棚場には7日分の突き出された生天が並んでいる。写真は今日突き出された生天棚場と2重結びをしてみた生天のところてん。2重結びをしてみても切れることがないほどの強度、粘度があるのがわかる。
 前日までの棚場は積まれてシートがかかったまま。12月になって冷え込んできたとはいえ今までの最低気温は−5℃が最高。凍ては1号、2号がほとんど抜けてきたもののその後はぼちぼちの凍て具合。今朝の最低気温が0℃だったこともあっていたしかたないことである。今日の午後4時過ぎの気温はまだ4℃。凍て取はまだできる気温ではないがいつ凍てがきてもいいように積まれていた棚場は開かれ凍て取の準備が始まった。
 週末から第1級の寒波がやってくると言う予報なのでさほど心配はいらないのだが寒天製造には雪は不要、冷え込みだけでいいなんて願うのはわがままというものか。

(報告/専務 森田智治)

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03 2014/12/19 天の意向のままに

 今年は例年になく、12月中旬に大寒波が度々訪れ、大雪となった。恵那山もこの時期には珍しく、雪が降り積もっていた。冷え込みも同時に厳しいので、生天は凍り易い状況だが、晴れの日が少ない為、乾かない状態が続いている。1月2月もエルニーニョ現象の影響で暖冬になる可能性があり、そうなると減産となってしまうかもしれない。
 この日は晴れていたが(気温10:30;4℃)、これまでの大雪で20センチ程度降り積もっており、なかなか乾かない状況である。このため、まだ新寒天は完成していない。ただし、棚場としてはまだ空きがあり、棚詰まりの心配はない。個別に確認していくと、1号〜3号はある程度乾燥していたが、表面にうっすらと雪が降り積もっていた。しかし下層は凍ったままで、まだ新寒天には時間がかかりそうであった。4号〜12号は全体的に凍っており、乾燥にはまだまだ時間がかかると思われた。
 天産物は自然の産物である。新寒天は天の意向のままである。

(報告/常務 森田尚宏)

一面に寒天が広がった棚場

絞ったテングサ抽出液を固める。
湯気がもうもうと立ちこめる。

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04 2014/12/25 ぼちぼち

 先週全国各地を襲った寒波も過ぎ今日の日中はぽかぽか陽気となった。あれだけ積もった雪も今はなく棚場には太陽が照り付けている。となればぼちぼち新寒天が出来上がってきてもいいのだが、いかんせん今年は日中晴れ間の日が少なく、凍ては入るものの乾燥が進まない状態である。他の工場も同様でなかなか乾燥、野上げができない模様。話を聞けば本日25日で年内炊き込み終了という工場も出てきた。弊社工場も釜休みを挟みながら炊き込みをしてきたが今年は年内28日で炊き込み終了。年明けの天気をみて再開することとなった。もっとも炊き込みはしないもののやるべき仕事はかなりあってのんびり正月休みとはいかないのが寒天製造のつらいところである。
 写真は恵那市山岡町にある寒天研究室の建物と室内の試験風景。試験管に入れられた生天の融点を計測しているところである。逆さまにした固まった試験管の生天が水の入ったビーカーに入れられて、徐々に温度が上げられ何度で融解、試験管に気泡が入るのかを計測するわけである。融点が低ければゼリー強度も低く、融点が高ければゼリー強度も高くなるというようにほぼ両者は比例している。この日は研究室が27日から年末休暇に入るため各工場からサンプルが多く持ち込まれてんてこ舞いの忙しさであった。
 日中晴れていたせいか夕方になると一気に冷え込み始め、凍て取も早く午後4時には凍てが入った。今夜もよく冷えそうである。

(報告/専務 森田智治)

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05 2015/01/13 寒天の里山岡

 1月も半ば、一年で一番寒い時期である。とはいうもののさすが寒天の里、山岡。夜間は生天が凍結するほどに適度に冷え込み、日中は晴れて気温も上昇、凍結した生天が解凍して寒天になるほどの陽気。今日の最高気温は9℃。身体を動かすと汗ばむほどである。
 街中には山岡の観光マップの看板も見受けられ、もちろん「寒天の里」の言葉がでかでかと書かれている。時折他県ナンバーの車が停車して珍しそうに寒天が並んでいる棚場を眺める人や、写真を撮る人も見受けられる。これもこの時期ならではの光景である。
 年内に炊き込んだ寒天は乾燥が進むようにかがみに落され、順次野上げされていく。この後、精選荷造りされてようやく今年の新寒天の出来上がり。
 この日、日中晴れて気温も高かったのだが日が翳りはじめるとみるみるうちに気温が下がり、午後4時には0℃近くになるほどに冷えてきた。生天が均一に凍るように早い時刻から凍て取りが始まり、氷を掻く音が棚場に響きわたった。

(報告/専務 森田智治)

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06 2015/1/22 雨にけむる街

 ここのところ天気のすぐれない日が続いている。それなりに冷え込みはあるものの日中すっきり晴れる日がない。今日の最低気温は3℃、最高気温は6℃。寒いわけでもなく暖かいわけでもなく気温の変化の少ない日である。野上げできるものもなく棚場に半乾きの寒天が並んでいる。この日は朝から1日中雨。棚場の寒天は全て積まれて雨に濡れないようにシートが掛けられている。どこの寒天工場も同様でシートが掛かったままである。いつもは白い寒天の棚場が広がる街がこの日だけは雨にうたれるシートが掛かった街に様変わり。
 寒天製造には定休日はないのだがこの日だけは雨降りのため束の間の休息。生天を突きだす作業の天出しを済ませた後、午前中の一連の仕事を終えてひと段落。人夫さんは英気を養うべく午後から休息を取った。

(報告/専務 森田智治)

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07 2015/02/04 凍っても、凍っても

 2月になり、そろそろ最後の釜炊き日を検討する時期になった。12月に生天を検討していたと思っていたら、いつの間にか最後の釜の検討段階になった。天然寒天の製造期間は3ヶ月と短い。寒天は天候次第、いつの間にかシーズンが終わってしまったということにもなりかねず、要注意だ。
 今シーズンを振り返ると、12月は例年になく大寒波が度々訪れ大雪、新年明けてからも1週間以上晴天が続かず、なかなか乾燥が進まず。冷え込みが強い為、凍てが通るのであるが、凍っても、凍っても、乾燥する時間があまり無かったように思った。他の工場も同様のようで、山岡全体として減産となりそうな予感である。
 この日は晴れていたが、明日は天候が崩れるとの予報なので、乾燥間近の寒天は、早々に積み上げてビニール袋をかぶせておいた(濡れてしまわないようにする為)。乾燥が進んでいない寒天は日没ギリギリまで広げておいた。
 テングサは3日間水に浸した後、良く洗浄してから釜に入れて炊き込む。本日、洗った後のテングサを確認すると、状態が良く、できあがる生天も状態が良くなるのではと感じた。翌日に生天の融点とゼリー強度を確認したところ、融点:92.1℃、ゼリー強度:1020gcと、やはり状態は良いと判断できた。テングサの絞りの状態も、若干重いが、状態は良いと判断できた。
 因みに、一週間ほど前にテングサの絞り残渣を確認したところ、具合良く煮えていた。良い生天になるのではと予想していたが、やはり融点やゼリー強度、絞り状態は良く、生天は良い状態と判断できた(融点:92.4℃、ゼリー強度:1090gc、絞り:重。若干、ゼリー強度が硬いと判断される)。
 テングサは同じ産地でも、性状は均一でなく、炊き加減が難しい。しかし、水洗い後のテングサや絞り残渣を確認すれば、有る程度生天の状況が予測できる。逆に言えば、水洗い後のテングサをよく確認すれば炊き加減の調整に役立つと感じた。
 棚場では4朝程度の空きがあり、また野上げ間近の寒天(30号〜34号)も有り、棚詰まりはあまりならない。個別に見て行くと、35号?38号は最下層が湿っているが、あと少しで野上げの状況であった。39号〜42号は60%乾燥しており、野上げには3日〜4日程度かかるか。43号は内部が凍っている為、5日程度はかかりそうだ。44号〜45号はまだ天出ししてから日がたっていない。凍ては通っているが、まだ内部は凍っている。46号は天出ししたばかりである。
 前にも記載したが、天産物は自然の産物である。新寒天は天の意向のままである。

(報告/常務 森田尚宏)

テングサを洗浄する機械へ入れる@

テングサを洗浄する機械へ入れるA

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08 2015/02/12 2月の空は気まぐれ

 2月も半ば、徐々にではあるが日に日に陽ざしが強くなってきているのを感じる。日が照れば日中暖かく日が翳れば寒く、2月の天気はその日その日で季節が変わる。今日は朝から曇りながら最低気温はそれでも−5℃。日中の最高気温は10℃近くまで上がり春を感じさせる日となった。昨日天出しされた生天は写真のように早くも凍てが入っている。凍ては連日入るほどの冷え込みはあるもののここ数日晴れの日が少なく野上げされる寒天も少なくなってきている。棚場の空きと下旬の天候を予測しながら炊き込み終了の日を決めることになる。
 明日からはまた第1級の寒波到来らしく冬に逆戻り。三寒四温を繰り返しながら季節は変わっていく。天然寒天製造の終わる時期が近づいてきた。

(報告/専務 森田智治)

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09 2015/2/18 なかなか

 本日は釜炊き最終日である。晴れてはいるが東の空には黒い雲が有り、天候急変が予測された。11時の時点で4℃と割合暖かかったが、暫くすると冷たい風が吹き始め、ミゾレが降り出した。このような天候急変が今年は多く、寒天製造が難しかった。
 本日炊き込まれる洗浄後のテングサ(62号の原料)を確認したところ、初めに炊き込むテングサの状態は良いように感じた。一方で次に炊き込むテングサ(ケグサ中心)は細かい様に感じた。今回のテングサで炊き込むと、釜の火を止めた後に大きなカエリが起きた(カエリ:釜の火を止めた後に水蒸気が勢いよく漏れる現象)。大きなカエリが起きたこと、融点は91.2℃であることを判断すると、良質の生天と判断できた。
 また、昨日炊いたテングサ(61号)の残渣は、割合良く煮えている箇所もあったが、テングサの形が残っている箇所もあり、全体的には僅かだが煮えが足りないようにも感じた。生天のゼリー強度を確認してみると830gc、融点は90.3℃、絞りは若干軽かったとのこと。やはり煮えが弱かった為か、できあがった生天も弱いと思われた。前回でも報告したが、やはり炊く前のテングサや炊いた後のテングサ残渣を確認すれば、大凡の生天の状態が予測できるといえる。
 この時期になると暖かくなり始め、2月上旬まで凍っていた棚場の土も、現在では溶けて水たまりができ始めている。棚場では1朝程度の空きがあり、本日、最終の炊き込みなので特に棚場は問題ない。42号〜44号は野上げ間近であり、45号〜46号は若干湿っていたのみであった。一方で47号〜49号は全体的に湿っており、50号〜57号は殆ど乾燥しておらず、下層が凍っていた。58号〜59号はまだ下層まで凍てが通っていなかった。
 この時期になってくると日が強くなってくるので、寒天の焼けにも注意したいところである。

(報告/常務 森田尚宏)

今日も午後から天気が悪くなるか。

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