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天然糸寒天製造報告
毎年12月から3月にわたって行われる糸寒天の製造報告です。
天然糸寒天製造報告 平成23年度(2011)
01 2011/12/04 初釜
02 2011/12/10 皆既月食
03 2011/12/16 一番星キラリ
04 2011/12/21 野上げ
05 2011/12/28 表があればその反対面は当然裏
06 2012/01/05 明けましておめでとうございます。
07 2012/01/12 順調に
08 2012/01/23 大寒
09 2012/01/30 凍てはよく入るのだが
10 2012/02/06 急ブレーキ
11 2012/02/14  
12 2012/02/22 梅一輪ほどの

01 2010/12/04 初釜

 12月、恵那市山岡に寒天製造の季節がやってきた。写真のように寒天の干し場となる棚が作られ、町のあちらこちらで目にするようになる。寒天地域ブランドならではの冬の風景が山岡の町に広がる。
 今年の弊社工場の初釜は12月3日。去年の12月1日と比べると2日遅いスタートとなった。今年の他の天然寒天工場の初釜は早いところでも12月1日。これも地球温暖化の影響か、ここ数年12月に入ってからのスタートが当たり前のようになってきた。
 今朝の最低気温は4℃。冷えてきたとはいえまだまだ暖かい朝である。恵那山山頂をみれば雪化粧どころか地肌がみえている。恵那山が白くなり本格的な冬が来るのはもう少し待たねばならない。今週末の寒波到来にまずは期待するのだが。
 ともあれ昨日の炊き込みの生天を手に取り、確認。日々の生天をみながら釜の炊き込み具合の微調整をしていくことになる。
 今年春の震災後初の天然寒天製造。より安心安全な寒天が求められるなか、それに答えるべく今シーズンの製造が始まった。今日は昔ながらの慣例にならい釜祝い。

(報告/専務 森田智治)

寒天の突き出しを待つ干し場

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02 2011/12/10 皆既月食

 週末の寒気を待って初釜から1週間、予報どおり寒気到来。初釜から溜まっていた生天に一気に凍てが入った。今朝の最低気温は-6℃。写真のように凍てが入った生天は陽射しを浴びてキラキラ光っている。他の寒天工場も同様、凍てが入った棚場が山岡の町に広がっている。そして今日の最高気温は8℃。日中になると凍った生天が融け、凍て水が落ちると寒天に変わっていく。夏場、海で採れたテングサが山に運ばれ冬になって炊かれ、冷凍解凍を繰り返し寒天になる。自然の恵みとそれを利用した人間の叡智に改めて感心してしまう。
 午後も4時過ぎになると陽が翳りはじめ暖かかった棚場も冷え込んでくる。昨日は4時前に凍てが入り始めたが今日は少し遅くなりそうである。この時期天気予報でよくいわれる「放射冷却」。まさしく夜間晴れれば暖気はどんどん夜空へ放出され、雲がかかれば日中の暖気は雲の布団に覆われ暖かいまま。できれば今夜も晴れて凍てがしっかり入ってほしいものだがどうなることやら。
 晴れれば今夜は皆既月食。冬の夜空に天体ショーが見られるのだが。

(報告/専務 森田智治)

マイナス6℃で凍てた寒天

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03 2011/12/16 一番星キラリ

 ここのところガツンとした冷え込みはないが毎日マイナスの最低気温が続いている。おかげで凍ては連日入り着々と寒天に変わっていく。またこの時期には珍しく雨も降らず乾き上がりも早くなりそうな気配。このまま雨が降らなければ野上げされる日も近そうである。
 今日の天出しした生天を手に取り写真のように二重の玉を作ってみる。(ピントが合ってないのは残念ですが)二重の玉が出来るということはそれだけ粘度があるということ。ぶら下げて自重で切れないということはそれだけ強度があるということ。まさしく糸寒天の真骨頂と言える。釜の調子も順調の証拠である。
 今日の天気は晴れ時々曇り。恵那山の上空はどんより曇り、山頂は雪化粧。山岡の街を吹き抜ける風は冷たい。凍て取りは4時前から始まり日が暮れる5時前には凍てが入った。暗くなり始めた西の空に一番星がキラリ。今夜晴れれば残っていた生天も凍てが抜けるのだが。

(報告/専務 森田智治)

二重結びの生天…糸寒天の真骨頂

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04 2011/12/21 野上げ

 曇のち晴。12月初旬は暖かい日が続いたが、中旬ともなると冷え込み始め、本日は11時時点で9℃。棚場を歩いていても、吹く風が冷たい。生天も良く凍っている。18時頃になれば凍てが入る日も多くなり、寒天製造業者としては嬉しい気候だ。ただ夜間は雲が出て冷え切らないことも多く、理想的な気候とまではいかない。あと2℃から3℃冷え込んで欲しいところである。
 日が高く昇ると日光により生天の氷が溶けはじめる。棚場に立つといつものようにシトシトと水が滴れる音が聞こえてくる。この音を聞くと冬の静けさを感じると共に寒天ができあがっていくなと思う。
 寒天にとって良い季候の為、昨年よりも速いペースで寒天が製造されていく。本日迄で1号と2号が野上げされている。他の号数の寒天も、野上げ間近なものが多い。全体的にシビやウラ、ヤケ、といったものは出ておらず、本年は良質の寒天ができそうな予感がする。棚場は空きが十分ある為、棚詰まりの心配はなさそうだ。
 各々の寒天はといえば、既に述べた通り、1号と2号は野上げされている。3号から5号も野上げ可能な段階で、6号と7号は後2、3日もあれば野上げできそうだ。8号と9号は10%から30%程度しか乾燥していない為、野上げには1週間程かかりそうだ。10号から12号は下層の生天の凍てが抜けていない為、まだカガミの状態となっていない。13号は上層のみ凍てが抜けている状態な為、カガミにはもう少し時間がかかりそうだ。14号以降はまだほとんど凍てが抜けていなかった。
 16時になると4℃まで下がり、今夜も凍てがよくのりそうだ。しかし、明日から天候が悪くなる予報である為、一時乾燥は中断せざるを得ない。

(報告/常務 森田尚宏)

野上げ

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05 2011/12/28 表があればその反対面は当然裏

 25日は天気予報通りのクリスマス寒波到来。東海地方平野部でも積雪を記録するほどの寒波で山岡の町は文字通りホワイトクリスマス、雪化粧で真っ白になった。その後27日の最低気温は−10度、今朝28日は−9度と一日で凍てが抜けるほどの冷え込みが続いている。野上げも順調に進み、棚詰まりのため何日も釜休みをした天候不順の去年との違いに驚くばかり。
 ところで糸寒天にも表と裏があるのをご存知でしょうか。簡単に言えば、天出しされた生天の上部が表になり簾に面した下側が裏になるという、ただそれだけのことで、出来上がった時の見た目だけの違いです。ちょうど板海苔と同じと考えてもらえばわかりやすいかもしれません。そして「凍てが入った」というのは生天の上側(表になる側)が凍り始めたということ。「凍てが抜けた」というのは生天の下側(裏になる側)まで凍ったということになります。こうなるとあとは寒天になるのを待つだけです。
 今日の凍て取りは4時前から始まり、4時過ぎには凍てが入り始めた。連日の冷え込みと晴天で寒天日和なのだが年内炊き込みは明日まで。その後正月休みをはさんで3日後を再開予定としている。

(報告/専務 森田智治)

凍て取り作業真っ最中

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06 2012/01/05 明けましておめでとうございます。

 新年が明けた。天気も良いので、心機一転、製造にも気合いが入る。今は寒天製造の最盛期、冷え込みも強いので、この機を逃さず、どんどん製造していきたいところだ。
 今日は風が無い為、あまり寒さを感じないが、11時の時点で1℃と冷え込んでいる。16時の時点でも1℃であり、凍てとりも早々に開始できた。一方で乾燥も着々と進んでいるので、その横では野上げ作業が実施されている。棚場の空きも十分にあり、シビやヤケ、ウラのついた寒天も確認されていないので、なかなか順調に製造ができている。冷え込みが強すぎて、氷った生天が溶けにくいことが少々の不安の種と言うこところか。
 一つ一つの号数を確認していく。10号までは野上げされており、11号から16号もほぼ乾燥していて野上げ可能な状態だ。17号から22号は氷りが溶けているものの、50%程度しか乾燥しておらず、野上げには時間がかかりそうだ。23号から27号はカガミにはなっているが、まだまだ氷が残っており、乾燥にはさらに時間がかかりそうだ。
 一方で釜の炊き加減は苦慮しており、なかなかテングサのカエリが良くない。テングサが絡まって釜の底に滞っている為か、粘りが強すぎる為か、検討をつけるのが難しい。カエリが良くない場合、櫂で直接テングサをかき混ぜる為、問題ないが今後の検討材料だ。原料のテングサの価格上昇が寒天相場に影響を与えているところも、気になるところだ。

カイテンの動画

※カイテン:カガミの状態のママでは均一に乾燥しにくい。この為、簀の上下を逆さまにして均一に乾燥していく作業。


(報告/常務 森田尚宏)

凍てとり


カイテン機器

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07 2012/01/12 順調に

 本日も良い天候。朝の最低気温が−8℃、日中の15:00で風も無く5℃と暖かい。快晴でもあり、気持ちのいい季候だ。夜間に凍った生天は日中に解凍され、どんどん乾燥され、野上げされていく。理想的だ。棚詰まりの心配もなさそうだ。
 17号〜22号は先週までは50%程度しか乾燥していなかったが、今週に入り、これらの号数は全て野上げされた。23号〜27号も先週までは氷りがかなり残っていたが、これももう野上げ間近だ。
 28号〜29号は70%程度乾燥しているが、この調子でいけば来週には野上げが間近となるであろう。30号〜34号もまだ氷が残っており、特に33号〜34号はまだ凍てが抜け切っていない状況だが、これらもすぐに凍てが入り、どんどん乾燥して行くであろう。
 新しく製造されていく寒天はその都度、ゼリー強度と粘度を確認していく。これまで通りのゼリー強度と粘度で安心する。それと共に、使用する方により好みのゼリー強度と粘度が微妙に異なるので、各号数のゼリー強度と粘度を把握して行かなくてはいけない。

(報告/常務 森田尚宏)

野上げ


乾燥中の寒天

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08 2012/01/23 大寒

 一年で一番寒い二十四節季の大寒。今年は1月20日がその日にあたる。その名の通りぶるぶる震える日が続いている、はずがまったくその逆、暖かい日が続いている。今日の日中の気温は7℃。風がないため少し体を動かすだけで汗ばむほどの陽気。正月明けまであった雪もいつの間にかなくなっている。
 棚場を回れば写真のようにまだ凍てがぬけていない生天がいっぱい並んでいる。つい1週間ほど前ならすぐに凍てがぬけていたのにその違いに驚くばかりである。おまけに凍てが抜けた寒天もここ数日は日中の晴れ間が少なく乾燥が遅れ、野上げが滞り始めてきた。
 この冬、日中は晴れて夜間は冷え込み、寒天の製造に適した陽気が続いていたがここにきてちょっと様子が違ってきた。そうそううまくはいかないものです。今日は夕方4時をまわっても気温はまだ5℃。とても凍てが入る気温ではない。とはいえ大寒の名のとおり1級の寒気団がそこまできているようなのでそれほど心配はないのだけれど。
 人が生活するには冬は暖かい方が過ごしやすいのに、こと寒天の製造となると冷え込んだ冬がいい、なんて人間は自分勝手なわがままな生き物だと痛感する次第。

(報告/専務 森田智治)

大寒時期なのに生天が並ぶ棚場

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09 2012/01/30 凍てはよく入るのだが

 本日は天気が不安定だ。晴れていたと思えば、雪が降り始め、また晴れる。今週は天候が崩れるとの予報だから、その前兆か。
 今は1月の下旬、心なしか太陽の光は柔らかい気がする。しかし、気温は15時の時点で2℃と本日の冷え込みも厳しい。このところもずっと冷え込みが厳しく、よく凍ては入るが、なかなか解凍されず、棚詰まりが起こり始めている。冷え込みが厳しければ、ヤケやシビといった現象が起こらず、綺麗な寒天ができあがっていく。これは良いのだが、棚詰まりは生天を干すことができず、寒天自体の製造もストップしてしまう。夜から明け方にかけて冷え込み、日中は割合暖かいというのが理想だが、なかなか贅沢なことなのか。棚詰まり問題は他の工場でも同様のようである。
 現在、野上げ間近な寒天は32号くらいで、35号〜41号は50%〜80%乾燥しているのみである。乾燥には3日〜5日は必要ではないだろうか。42号〜46号は氷が寒天の間に残っており、乾燥には5日〜7日程度か。47号〜49号は凍てがヌケているが、かなり氷が寒天の間に残っており、1週間〜2週間程度は乾燥に必要であろう。
 明後日から2月、2月中旬にもなれば寒天の製造は終了となるので、今がラストスパートだ。

(報告/常務 森田尚宏)

野上げ直前の寒天


凍ての入った生天

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10 2012/02/06 急ブレーキ

 時が経つのは早いもので今年もはや2月、如月である。きさらぎの名のとおり着更着、重ね着しなければいけないほどの寒さ、大寒波が先週末にやってきた。最低気温は2月3日4日で−14℃、−10℃を記録。立春だというのにここ何年来の寒さである。そのためか先週から太陽の姿を見ることがなく、どんよりした日が続いている。凍てはしっかり入ってその点は安心。問題はその後、解凍、乾燥へと進まない。棚場を回ればどれも凍ては抜けているのだが半端なくガチガチの氷状態。野上げできるものがほとんどなく釜休みをせざるを得なくなってきた。1月末まで順調すぎるほど順調にきていたのに残念至極。ここにきて急ブレーキがかかってきた。他の寒天工場も同様で遅かれ早かれ休みをとるようである。
 今日は朝から一日雨。気温は上がることもなく下がることもなく、ずっと4℃のまま。鬼氷状態の棚場の寒天は溶けることもなく写真のようにブルーシートがかけられ積まれたままである。
 倉庫を見ればシーズン当初原料の天草がいっぱいあったのが今ではがらがら、天然寒天製造も終盤にさしかかってきたことを感じさせる。今年はまだまだ冷え込みが続きそうだが少しずつ強くなってきた日差しにいつまで炊くことができるか、頭を悩ますことになる。

(報告/専務 森田智治)

雨よけの為にブルーシートで覆う。

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11 2012/02/14

 2月中旬となり、そろそろテングサの炊込終了時期を考え始める。この頃になると日差しも強くなり、日中乾燥させると赤く焼けたような寒天ができ始めるからだ。今年は寒く、今後もしばらく続きそうな為、例年より少し遅めの時期まで炊いてもよさそうである。他の工場もそのような判断をしていると考えられる。
 本日の天候は雨。雨だと温かいのだが、12時の時点で3℃と低い。やはり寒い日々が続いていることがうかがえる。ただ、雨では寒天を製造することができない為、本日の天日干しは実施せず、ビニルシートをかぶせて雨で濡れないようにした。乾燥が遅れてしまうが、棚詰まりとならないよう、生産調整をしている為、棚には余裕がある。
 各々の寒天を見ると44号〜48号は野上げ間近であり、白く綺麗である。49号〜51号は50%〜80%程度乾燥しており、野上げにはあと3日〜5日程度かかりそうである。52号〜55号は10%程度の乾燥の為、野上げにはあと1週間程度、56号〜59号は凍てがヌケているが内部に氷が残っている為、野上げに1週間〜2週間はかかるであろう。
 先にも述べたとおり、今日は雨。釜炊きしかできないので、人夫さんたちは束の間の休みをもらい、ゆっくりと休養している。

(報告/常務 森田尚宏)

釜場の外観
(釜からの湯煙が見える)

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12 2012/02/22 梅一輪ほどの

 この2月は週間単位で天候がめまぐるしく変化している。ここ数日は天候不順で棚詰まりを起こしていた初旬とうって変わった天候、梅一輪ほどの暖かさである。夜はよく冷え、日中はよく晴れ気温も上がり、順調すぎるほどに寒天ができあがってくる。明日の雨の天気予報に備えて写真のように野上げできるものはどんどん野上げされていく。柔らかい日差しが降り注ぐ午後、体を動かせば汗ばむほどの陽気で、春が近づいてきたことを教えてくれる日になった。
 今年の炊き込み終了は当初2月20日を考えていたが例年にない冷え込みで2日延長して今日22日となった。去年の炊き込み終了は20日で今年は去年より2日間長く、製造日数では去年より3日間の増になった。まだまだ炊けそうな気もするが他の天然寒天工場は早いところで20日、遅いところでは2月いっぱいまで炊くところもありそれぞれである。
 炊き込みは終了したとはいえ製造がこれで終わったわけでなく、凍て取りから野上げ荷作り、棚場の片付けまでまだまだやらなくてはいけない仕事が山ほど残っている。忙しい日々が続くがまずは今年も無事に炊き込みができたことに感謝。

(報告/専務 森田智治)

野上げが進む寒天の干場

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