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天然糸寒天製造報告
毎年12月から3月にわたって行われる糸寒天の製造報告です。
天然糸寒天製造報告 平成22年度(2010)
01 2010/12/02 初釜
02 2010/12/07 製造様子見
03 2010/12/14 暖かい日の北風
04 2010/12/21 冬本番?
05 2011/01/05 謹賀新年
06 2011/01/12 管直人?
07 2011/01/19 新寒天
08 2011/01/26 あとはお天気だけ!
09 2011/02/02 いい感じで!
10 2011/02/09 シアンクレール
11 2011/02/16 朝冷えて昼暖かし。

01 2010/12/02 初釜

 夏が暑い年はその年の冬は寒くなると言われ、今年はまさにその年。そして大安吉日の12月1日が今年の初釜となった。去年の初釜の12月4日に比べ3日早いスタートである。今年の天然寒天の製造工場は12工場。他の天然寒天工場では早いところでは11月28日スタート。遅いところでは12月3日スタートとまちまち。
 昨日の最低気温は0℃、今朝は−1℃。日中は10℃を越えぽかぽか陽気である。冷え込みにはまだ少し足りないがこの後の寒波に期待することにしよう。外をみれば着々と棚場ができあがり準備万端といったところか。
 ともあれ早速昨日炊き込みの生天を手にとって感触を確かめてみる。毎年初釜の炊き込みには気を使うのだが、今年も上々のできばえのようである。生天のゼリー強度、寒天研究室からの融点の結果もいい数値が得られた。
 というわけでこの冬、よりよき寒天製造を祈念して今日は釜祝い。

(報告/専務 森田智治)

棚場の準備

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02 2010/12/07 製造様子見

 12月7日、曇り。今年は冷え込むというが、日中は未だ暖かく、11時の時点で12度。本当に12月かと思うほどである。ただ、最低気温は氷点下の日も続いており、全く凍らない訳ではない。現段階では1号から5号までが天出しされており、1号から3号の上層部は凍て抜けていた状態であった。これらは見た目も白く、暖かいことが大きく影響している感じではなかった(もっとも、3日程度では寒天はあまり焼けない)。一方、4号、5号はまだ生天の状態(5号は本日天出しされたばかり)。今晩は冷え込むとの予報であったので、今後の凍てを期待した。
 釜の炊き具合の指標としては、釜から湯気が勢いよく飛び出すかどうかでみる。これをカエリというが、現段階ではなかなかカエリがこない。炊いた後の天草残渣を確認すると、パサパサしていたので、もう少し強く炊いても良いようにも思える。しかし、生天のゼリー強度や融点を確認すると特に問題はないので、難しいところである。このあたりの微妙な調整は頭領の熟練の勘と経験で判断していくのである。同じ天草配合であるにもかかわらず、やはり天産物なので、常に同じように炊くことはなかなか難しいところだ。
 他の工場では、生天の厚さを薄くして、乾燥させやすくする方法をとっているところもある(4本突きという)。乾燥期間が短くて済むので、その分、焼けにくいが、寒天にウラがついてしまった場合(寒天に若干の色が付着した状態)、除去することが困難になる。一長一短であるので、弊社としては慣れた方法でやっていくのみである。

(報告/常務 森田尚宏)

表面だけ乾燥しないように水をまく

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03 2010/12/14 暖かい日の北風

 12月14日、雨のち晴れ。日中は未だ暖かく、13時の時点で14度。最低気温は氷点下の日も続いているので、全く凍らない訳ではないが、太陽が昇るとすぐに気温が上昇する。この為、生天が凍っても表面だけだ。-5度くらいまでガツンと冷えこめば良いのだが。
 現段階では1号から11号までが天出しされている。その内、1号〜3号は上層部・中層部まで凍てが抜けていた状態で、乾燥し始めていた。しかし、下層部はまだ少し生天の状態があった。4号〜6号も同様であるが、生天の割合が多かった。7号〜9号は上層部のみ凍てが抜けている状態で、中層部・下層部はまだ生天の状態であった。10号〜11号は生天のままであった。
 全体的にみると白いので、暖かいことが大きく影響をしている感じではない。しかし、どの号数も下層部は生天の状態であるので、凍てを乗せる作業は全ての号数に実施しなくてはいけない。特に上層部のみが乾燥してくると、下層部の生天の上に布団をかぶせたような状態になり、生天が凍りにくくなってしまう。なかなか骨の折れる仕事である。
 夕刻になり、釜から湯気が立ち上り始める。釜の炊き具合を確認する為、釜場へ向かうと、今回炊いた号数のものは勢いよくカエリ(前項参照)が起こっていた。久々の気持ちの良いカエリなので頭領も満足そうであった。
 外に出ると雲が北から南へと流れていた。北風が上空に起こっているのだ。西高東低の冬型の気圧配置に向かい、今晩から冷え込むということだ。明日からの天候が期待できる。(因みに南風が吹くと暖かくなり、上空に太い飛行機雲が見えると大気中に水蒸気が多いということで雨が降る)。

(報告/常務 森田尚宏)

乾燥中の寒天

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04 2010/12/21 冬本番?

 明日は冬至、いよいよ冬本番である。棚場には写真のとおり、見事なまでにきれいな寒天がならんでいる。カガミに落とされた寒天の干しあがりを今や遅しと待っている。とはいうものの初釜の第一号からいくつかは凍てが抜け寒天になっているものの、干しあがるのにはもう少し時間がかかりそうである。ここ最近夜晴れれば放射冷却で零下にまで下がるのだが、ガツンとした冷え込みがなかなか来ない。生天の状態が何日か続きやっと凍てが抜けても、今度は日中晴れ間が続かず乾燥までいかない。釜の炊き込み状態は良好なのに、外の棚場は詰まってきてしまった。
 本日の天気も曇りのち雨の予報が出ているため、昼から棚場の寒天はブルーシートが掛けられ雨に備えることとなった。この天候のため寒天の乾燥干し上げにまだまだ時間がかかると判断して今日は釜休み。他の工場の様子も似たようなもので、それぞれ工夫をこらしていても棚詰まりの状況になってきているようである。「一足早くクリスマス休みが来た」なんて冗談を言いつつも「寒天の神様、どうか山岡に冬本番の寒さをお願いします」そう祈りたくなるような陽気である。

(報告/専務 森田智治)

棚場一杯の寒天

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05 2011/01/05 謹賀新年

 クリスマスを過ぎてからようやく冷え始め、年末年始も氷点下を記録した。本来ならばこれを機とばかりに正月返上で炊き込むところ。しかし年末寒波による降雪の為、棚場に生天を広げることができず、12月29日〜1月2日は釜休みとなった。強い冷え込みを利用して製造を進めていきたいところであるが、今回は正月をゆっくり過ごすことになった。
 本日(1月5日)の最低気温は−5℃。11時の時点でも4度とかなり冷え込んだが、天気は曇り。この為、日光が当たらず凍った生天も解凍されていかなかった。生天が解凍されないと、野上げ(棚場で乾燥した寒天を集めていくこと)もされないので、棚詰まりとなってしまう。その結果、新たに炊き込むこともできなくなってしまうので、冷え込みは必要だが、一方で日中はある程度温かくなることも必要である。
 現段階では1号から5号までが野上げされており、6号〜10号は野上げ間近であった。11号〜15号は生天の間にまだ氷が残っていたが、16号〜21号は氷が解けてカガミ間近の状態であった。11号〜15号は16号〜21号より先に炊いているので、より乾燥していなければいけないが、11号〜15号を炊いた時期の気温が暖かく、突き出した時にすぐに凍らなかった為であろう。22号〜24号は氷が残っており、25号は生天の状態のままであった。
 1月からは冷え込みも強くなり、上質な寒天が製造されやすくなってきている。この為、本日から天草の配合を変更して寒天の製造を開始することにした(特別な天草の配合を希望するお客様もみえる)。天草配合の変更は炊き方も変わってくる為、慎重に炊き方を検討する必要がある。なかなか難しいが、今回は気持のよいカエリを確認することができたので、適切な炊き具合ということが分かった。一安心の瞬間である。勢いよく釜から吹き出る湯気を眺めつつ、今後も上手に炊き込んでいくことを期待した。

(報告/常務 森田尚宏)

生天の間に氷が残っている状態

氷が解凍され、カガミ間近の状態

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06 2011/01/12 管直人?

 1月に入りようやく例年通りの冷え込みになってきた。今朝の最低気温は−6℃。前日に天出しした生天が一日で凍てが入りもう凍っている状態である。1ヶ月前はなかなか凍てが入らず苦労していたのに雲泥の差である。棚場では乾いた寒天が野上げされ少し棚場に余裕ができそうである。ところが野上げされたあとの棚場に残った寒天をみてみれば、ほとんど凍ったままの「オニ氷」状態。ここ数日、日中は晴れ間があまりなく凍ったまま、溶ける様子がない。溶けない→乾燥には尚、ほど遠い。乾尚遠(菅直人)。どこかの漫才師の謎掛けみたいだな、などと冗談を言ってる場合ではないのだが。今日も夕方4時前から凍て取りが始まり、暗くなる頃にはしっかり凍てが入った。
 今日の天気も薄日が射すものの曇り空、たまに雪がちらつく一日。棚場一杯に広がった寒天風景を、通りがかった車から降りて写真を撮っていく一般の人の姿も時折見かけられる。と思えばしっかりした機材を下ろして撮影許可を求めてきた人もいた。聞けば在名テレビ局の撮影スタッフで「いい風景なので撮りたい」とのこと。その後取材の話があるのかと思ったが数分撮影しただけであっという間に去っていってしまった。たぶん放送されることはないだろうなぁ。

(報告/専務 森田智治)

「オニ氷」状態の棚場の寒天

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07 2011/01/19 新寒天

 できました。新寒天。1月になってからぼつぼつ野上げされた寒天が20sに梱包され、倉庫に積まれているのを見ると感慨深い物があります。なかなか凍てが入らず苦労していたのに、できあがってみれば白くぴかぴかと光沢があって綺麗な物です。ボジョレー・ヌーボーならぬヤマオカ・ヌーボーというべきか。もっともワインのように年月とともに熟成されて、より美味くなるなんてことはないのだけど。
 ところで先週に引き続き寒い日が続いている。毎日最低気温は−5℃前後を記録して凍てはしっかり入り棚場に並んだ寒天は壮観。とはいうものの平野部でも積雪を記録し、各地に混乱を招いた先日の雪はここ山岡でも影響がでている。晴れ間が時折のぞくものの毎日のように雪が降り、広げた寒天が乾かないどころか逆に濡れてしまう。今朝も一時雪が降りあっという間に一面白くなってしまった。なんとか乾いた寒天を野上げしたあとは濡れた寒天、凍ったままの寒天としばらく野上げは休止状態になってしまった。
 明日は大寒。一年で一番寒い時とはいえもう少しお日様が照らないものかとうらめしく思ってしまう。せめてもの救いは凍て取りが順調で夕方4時頃から取り始め、暗くなる頃にはしっかり入ってしまうことくらいか。

(報告/専務 森田智治)

棚場一面に並んだ凍りついた寒天

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08 2011/01/26 あとはお天気だけ!

 1月になってからかなり冷え込んでおり、本日は11時の時点で−2℃。16時の時点でも−1℃であり、最高気温は0℃前後ではないかと感じられるほど冷え込んでいる。しかし、天候は雪、棚場に寒天を広げて乾燥させることができない。ここ数日はこのような天気が多く、寒天の乾燥が進まず棚詰まり傾向である。他の工場でも同様で、やはり寒すぎるのも考え物である。そのような状況でも少しずつ新天は製造されており、お客様へ納品準備に取りかかっている。
 棚場の状況というと、やはり寒すぎる為、凍ては入っているが氷が残っている寒天が多い。晴れて日光が氷を溶かしていくのを待つのみである。各々を確認すると25号〜29号がほぼ乾燥しており、あと少しで野上げの状態である。30号〜41号は凍てが入っているが氷が残っている状態である。42号は本日の午前に天出しをされた生天である。
 16時30分にもなると釜場から湯気がもうもうと立ち上がり始めてくる。天草が炊かれているのである。釜からは火を止める前から湯気が強く吹いたり止まったりしていた。釜の中でゆっくり天草が対流しているのではと考えられた。今回はよくカエるのではと思っていたら、やはり綺麗にカエった。炊き方は良さそうなので後は天候が良くなるだけである。

(報告/常務 森田尚宏)

雪の棚場

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09 2011/02/02 いい感じで!

 2月に入っても相変わらず冷え込んでいる。本日の最低気温は−8℃、外での作業は手足の指先が冷え込んで厳しいところである。それでも太陽が昇り始めると暖かさを感じはじめ、気温も上がってくる。11時の時点で6℃、凍った生天は解凍され、ポタポタと水が滴る音が聞こえてくる。本日のような陽気が続き、どんどん野上げされていって欲しいところだ。
 現在、棚場は空きが3釜分程度しか無いが、ほとんどがカガミの状態(※)となっているので、棚詰まりにはならないであろう。各々を見ても27号から40号までは80%程度乾燥が進んでおり、野上げ間近だ。41号から45号はまだ凍りが残っている状態であるが、これくらいの陽気が続けば、順調に乾燥は進むであろう。
 本日発表された長期予報によれば来週から気温が上がりそうだとのこと。乾燥には良いが、朝晩が冷え込まなければ、凍てが入りにくくなる。ヤケた寒天もできやすくなってくる。この時期になると、こういった天気への対策も検討し始めなければいけない。もう寒天製造のラストスパートだ。

※カガミ:生天の乾燥がかなり進み、より乾燥させやすくする為に簀を斜めにして日光に当てやすくする状態を指す。

(報告/常務 森田尚宏)

天出風景

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10 2010/02/09 シアンクレール

 梅一輪、一輪ほどの暖かさ。2月に入り朝晩は冷え込むものの、少しずつ春の陽射しが差し込むようになってきた。風は優しく霞がかかったような空。唐の詩人なら一献また一献といくのかもしれないが寒天製造ではそうはいかない。さいわいこの2月上旬は朝晩しっかり冷え込んで凍てはよく入り、日中は晴れて乾燥野上げがよくすすんだ。おかげで写真のとおり空きの棚場がかなりでき、余裕ができてきた。
 今度はいつまで炊き込みができるかという問題に直面することになる。この週末は全国的に寒波襲来、平野部でも雪が積もるとの予報。よしよし、ではその次の寒波は? これがわからないから困る。他の天然寒天工場は早いところでは15、16日頃、遅いところでは21日頃を炊き込み終了としている模様。当工場では20日頃を終了と考えているがまだまだ迷うところである。まさしく「思案暮れーる」である。
 ちなみに我が家の梅はまだまだ堅いつぼみのまま。春はもう少し先か。

(報告/専務 森田智治)

空きが多くなった干場

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11 2011/02/16 朝冷えて昼暖かし。

 本日は晴れ。気づけば、もう2月の中旬だ。日差しが柔らかく、ポカポカと春の陽気を感じさせる天気。棚場の気温は12:00の時点で12℃と暖かい。川の流れる音に合わせて、生天が溶けてポタポタと水分が落ちる音が聞こえてくる。なんだか、のんびりした気持ちにもなってくる。
 しかし、明け方の気温は氷点下を記録しており、凍てがまだまだ入る。本日も最低気温は-7℃と上々の冷え込みだ。この天気が続いて欲しいところだが、ずっとこの寒さが続くわけではないので、そろそろ釜上げの日を決定しなければいけない。天草の準備は炊く4日前から必要だからである。今年は20日まで炊くこととしたので、本日(16日)、最後の天草の準備を実施した。
 棚場の寒天はどんどん野上げされており、十分に空きがあった。個々を確認していくと、49号〜52号はかなり乾燥しており、野上げ間近だ。一方で53号〜58号は上層が乾いているが下層はまだ凍てが入っていなかった。冷えこんではいるのだが、日中がそれ以上に暖かいので、凍てが入る前に上層が早く乾いてしまうのであろう。59号〜60号はまだ内部に氷が残っていたが、下層は凍てが入っていなかった。61号は本日つきだした生天である。
 本日の炊き込みは16:30、釜の火を止めるのは17:10頃となる。最終とはいえ、まだまだ気を抜いてはいけない。

(報告/常務 森田尚宏)

暖かい日の野上げ

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