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てんぐさ入札会報告
毎年6月から10月にわたって行われるてんぐさ入札会の報告です。
てんぐさ入札会報告 令和4年(2022)
00 2022/04/22 2021年(令和3年)tenngusa/寒天概況(2021年1月〜2021年12月)
01 2022/03/10 静岡県第1回入札会
02 2022/06/22 徳島県第1回入札会
03 2022/07/07 静岡県第2回入札会
04 2022/07/11 愛媛県第1回入札会
05 2022/07/14 東京都第1回入札会
06 2022/07/28 城ヶ島第1回入札会 

00 2021年(令和3年)tenngusa/寒天概況(2021年1月〜2021年12月)

《国産テングサ(2022年4月22日現在)》

 2021年の国内テングサ入札会は、3月11日の静岡県第1回入札会から始まり、11月18日の東京都第2回入札会をもって終了した。
 全国生産量は入札外数量も含めて推定313トンとなり、2020年生産量の73%(2020年全国生産量:429トン)と大幅に減産した。2017年から450トン前後で推移していたが(2016年は563トン)、2021年は大幅に減産したこととなる。
 減産の原因として、@黒潮の大蛇行、A海水の栄養塩不足(徳島県海域では春期に珪藻類が大発生、栄養塩を搾取した為、栄養塩不足となった)、B西日本地域〜東海地域での早期梅雨入りによる収穫日数の減少(九州北部地域:5/15、東海地域:5/16)等が考えられる。
 大幅な減産は入札会での落札価格に大きく影響した。特に徳島県第1回入札会の出品量は2020年比で19%であった為、購入競争が激化して落札価格が高騰した。本入札会の落札価格が、続く他の入札会での落札価格に影響を与え、結果として全国的な落札価格の高騰に繋がった。静岡県の生産量は増加したが、過去5年でみると減産傾向であった。またブランド品であることから、落札価格は高止まりの状態となった。
 2022年の生産量増加に関しては下記条件が揃うことであるが、現段階ではテングサ生長期の初期段階であり、生産量について言及は難しい。因みに今年(2022年)開催された入札会は現段階では静岡県第1回入札会のみであるが、出品量は昨年の88%であった。また4月末に開催される大分県第1回入札会は2021年第1回入札会の45%程度である。一方で千葉県産テングサは現段階では順次採取されている。

@ 胞子着床時期(1月〜3月)に海水温が13℃(〜15℃)以下となること。
A 海水の栄養塩が豊富であること。
B テングサ生長期(4月〜6月)に海水温が上昇すること。
C テングサ採取時期(4月〜8月)に天候が良いこと。

【全国産地別・生産量(入札会出品量+入札外数量)】

産地\年 令和3年
2021年
令和2年
2020年
令和元年
2019年
平成30年
2018年
平成29年
2017年
平成28年
2016年
平成27年
2015年
東京都 19 40 35 34 42 35 44
静岡県 47 41 48 69 90 110 111
三重県 1 3 4 8 11 11 8
和歌山県 22 14 19 16 14 12 9
徳島県 12 34 36 36 31 36 26
愛媛県 39 88 103 114 135 118 149
高知県 1 3 9 13 9 16 11
長崎県 4 5 5 4 6 13 20
上記産地計 145 228 259 294 338 351 378
全国生産量 313 429 458 411 471 563 486

(株)森田商店・調査より
※推定値/単位:トン(小数点以下は四捨五入)
三重県出品量(2021年)・高知県出品量(2021年)は1トン前後の為、小数点以下も表示。

《外国産テングサ(2022.4.22現在)》

 外国産テングサの2021年の年間総輸入量は1,153トンと、2020年の輸入量と比較して80%と減少した(2020年1,433トン)。2017年からの5年間でみても最も少ない。平均輸入価格は前年比83%となり、2017年からの5年間でも比較的安価となった。
 韓国産テングサの2021年総輸入量は182トンと、2020年の輸入量と比較して70%と減少した(2020年260トン)。2017年からの5年間でみれば増減を繰り返しているが少ない方といえる。輸入価格は前年比87%となり、2017年からの5年間でも比較的安価となった。これは2019年に韓国内での3年間の高値買付契約が終了し、新しい展開となった為と思われる。
 モロッコ産テングサの2021年総輸入量は637トンと、2020年の輸入量と比較して112%と増加した(2020年は569トン)。2021年の増加は2020年での輸入量が少なかった為と考えられる為、2017年からの5年間でみると増減を繰り返しているが平均的な量といえる。輸入価格は80%となり、2017年からの5年間でも比較的安価となった。
 現段階では円安傾向と原油高の影響が更に強まり、2022年の購入価格は上昇すると予測している。韓国では人件費も上昇していることから、その傾向が強まると予測する。

【年間輸入量】

令和3年
2021年
令和2年
2020年
令和元年
2019年
平成30年
2018年
平成29年
2017年
輸入総量 1,153 1,433 1,731 1,627 1,630
韓国 182 260 181 271 535
モロッコ 637 569 802 681 519

財務省貿易統計より(単位:トン)

《寒天(2022.4.22現在)》

 天然糸寒天の製造期間は主に12月〜2月であり、天候に大きく左右される(夜間の冷え込みと昼間の日照時間が重要 ※1)。今期は12月上旬の冷え込みが弱かった為、製造開始が遅れた上、年末から大雪が度々発生して、日照時間も減少した。この結果、天然糸寒天の製造期間が短くなり、減産となった。年間生産量(※2)も2021年で91トン(推定)となり、2020年と比較して87%と減産した(2020年104トン(推定))。
 角寒天も65トン(推定)となり、2020年生産量と比較して87%と減産した(2020年75トン(推定))。これも糸寒天と同様天候の影響を受けた為と考えられる。
 2021年寒天輸入量は1,603トンとなり、2020年輸入量と比較して102%と略同量であった(2020年1,578トン)。平均輸入価格は前年比101%となり、略同価格であった。
 現段階では、円安傾向と原油高の影響が更に強まり、テングサ同様に2022年の購入価格は上昇すると予測している。韓国では人件費も上昇していることから、その傾向が強まると予測する。

※1:冷凍乾燥を繰り返して製造する為。
※2:冷凍庫を保有している工場は夏期も生産する。

国産寒天:(株)森田商店・調査より
輸入寒天:財務省貿易統計より

01 2022/03/10 静岡県第1回入札会

 静岡県第1回入札会が昨年と同時期の3月上旬に開催された(3月10日)。本入札会が2022年入札会の最初であり、静岡県入札会の動向を決定づける。一方で静岡県テングサはブランドテングサとして有名な為、全国の動向までは決定づけない。
 出品量は6,075kgと、昨年同時期と比較して88%の減産した(2021年入札会:6,875kg)。過去5年で見ても最も少ない量である(※)。漁師の方々に話を伺っても、岩礁にテングサは付着していないとのことであった。今年は気温が低かった為、胞子の付着を期待したところであったが残念である。
 通常通り、前日に伊豆に入って各産地のテングサ状態を確認した。今回は小下田と仁科である。ある銘柄のテングサは綺麗に晒加工が実施されており、異物も少なかった。これは寄草も同様であった。この産地はこれまでも相応の値段で落札されており、それが採取業者の採取意欲と選別意欲の向上に繋がっているようだ。アオが付着した銘柄も綺麗に晒せば使用可能と思われた。工夫すればいろいろ使用方法は見つかるものだ。
 入札業者は7社。内、FAX入札は3社。このコロナ禍において景気下がっている感があったが、伊豆産テングサはブランドとして有名であり、更に減産している為、極端に価格が下がることはないと思われた。実際、開票されると、これまでの落札価格を踏まえた価格となった。

※1:2016年17,225kg、2017年15,950kg、2018年8,650kg、2019年7,200kg、2020年6,751kg、2021年6,875kg

(報告/社長 森田尚宏)

堂ケ島・夕景

八木沢・テングサ採取地


堂ケ島


仁科はスルメイカが有名

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02 2022/06/22 徳島県第1回入札会

 徳島県第1回入札会が昨年と同時期の6月中旬に開催された(6月22日)。本入札会が全漁連主催の入札会では最初となり、3月の静岡県入札会と同様、2022年の入札会の方向性が決まる。
 出品量は5014.2kgと、昨年同時期と比較して14%増産した(2021年入札会:4,377kg)。しかし例年は20トン前後出品されている為(※)、今回も昨年に引き続き激減しているといえる。
 徳島県入札会は南部地域から多く出品される傾向にあるが、今年は北部地域からの出品が目立った。また北部地域はカキが多く付着する傾向にあるが、今年は付着が少なく、綺麗な様相であった。漁協の方の話では海水温が高い傾向があるとのこと。出品量において、南部が少なく北部が多いということは、南部の海水温がテングサにとって高く、北部の海水温がテングサにとって適温であった可能性がある。また、カキ付着についても海水温が影響を与えている可能性がある。
 入札業者は8社。今年も昨年同様、出品量が激減した為、競争は激化することが予想された。実際、落札価格は高騰したが、上げ幅は予想以上で、昨年の落札価格から更に上積みされた形となった。特にカキの付着が少なく、出品量の多い北部地域の購入競争が激化してかなり高騰した。今回の落札価格が続く愛媛県入札会影響を与えると思われる。

※:2017年18,200kg、2018年16,117kg、2019年21,866kg、2020年22,960kg、2021年4,377kg

(報告/社長 森田尚宏)

徳島県産テングサ
出品量が少ない為、平積となっている。

徳島県漁連・外観
梅雨の合間の晴れ間

鳴門海峡から西を望む。
徳島県北部にあたる地域は穏やかな海域

大鳴門橋と鳴門海峡
徳島県北部にあたる地域は穏やかな海域であるが鳴門海峡はかなり海流が強い。

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03 2022/07/07 静岡県第2回入札会

 静岡県第2回入札会が昨年と同時期の7月上旬に開催された(7月7日)。出品量は7,392kgと昨年同時期と比較して12%減産した(2021年入札会:8,365kg)。
 7月上旬迄の累計出品量も13,467kgと昨年と比較して12%減算している(2021年入札会:15,240kg)。過去5年でみると、2017年〜2019年は20,000kg以上出品されていた為、ここ数年は激減しているといえる(※)。
 今回も前日に各産地(小下田、仁科、須崎、稲取)を見させて頂いた。晒加工品はいつも通り良く選別されてカキや異物も少なく、晒具合も上々であった。赤草も良く選別が行き届いていた。選別されている現場を見させて頂いたところ、やはり良く選別されており、これが両品に繋がるのだと感じた。また、等級付けもテングサの状態により漁協の方が正確に付けられている為、入札する業者も検討しやすい。三者(採取業者/漁協/入札業者)の調和がうまくとれているのではと感じた。
 入札業者は6社。内、FAX入札は1社。徳島県の大減産に見られるように、全国的に減産の懸念が考えられた。伊豆テングサもそれに該当しており、更に伊豆産テングサはブランドとして有名であるので、価格が下がることはなかなか難しいと思われた。実際、落札価格はこれまでの落札価格を参考にした価格となった。

※2017年45,225kg、2018年25,490kg、2019年25,400kg、2020年13,047kg、2021年15,240kg

(報告/社長 森田尚宏)

沢田公園から仁科の海を望む。

須崎漁港

須崎の方々のテングサ選別作業

東伊豆の海岸線(外浦・須崎方面)

白浜海岸から稲取方面を望む

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04 2022/07/11 愛媛県第1回入札会

 愛媛県第1回入札会が昨年と同時期の7月上旬に開催された(7月11日)。出品量は52,505kgと昨年同時期と比較して169%と増産している(2021年入札会:31,093kg)。全国的な減産傾向の中での増産、それも50,000kgを超えたことは喜ばしいことである。愛媛県は四国の中では北の方であり、徳島県でも北方地域が増産した為、同様の要因(黒潮の流れ等)があるかもしれない。ただし、過去5年で比較すると少ない方であり(※)、これまでとは根本的に環境が異なっている可能性がある。
 今回はFAX入札の為、テングサの様相はサンプルと動画で確認することとなった。この方法でもテングサの様相をよく把握できる為、漁連の方々の対応には感謝するところである。
 実際に確認すると、やはり瀬戸内海側のテングサは内海の特徴、豊後水道側のテングサは外海寄の特徴を持っていた。また、等級が上の銘柄はよく選別されており、フケや異物、雨アタリ等の混入が少なかった。静岡県入札会同様、等級と実際の様相が合致すると入札業者も入札しやすい。因みにトラ晒については赤の含有率が各銘柄で異なっていた為、相応の価格で入札することとなる。
 入札業者は7社。今回の愛媛県入札会は増産したが、徳島県入札会の落札価格から影響を受ける。徳島県入札会は2年連続の大減産で高騰した為、愛媛県入札会では増産しつつも落札価格は昨年並みと予想された。実際、開票されるとやはり落札価格は昨年並みであった。

※2017年102,042kg、2018年91,925kg、2019年82,966kg、2020年68,342kg、2021年31,093kg

(報告/社長 森田尚宏)

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05 2022/07/14 東京都第1回入札会

 東京都第1回入札会が昨年と同時期の7月上旬に開催された(7月14日)。出品量は6,832kgと昨年同時期と比較して91%と若干減産した(2021年入札会:7,500kg)。しかし、2017年から2020年かけては10,000kg以上出品されている為(※1)、実際のところ、かなり減産しているといえる。
 黒潮蛇行の中心が東へ移行したことや(※2)、四国北部地域での増産と南部地域での減産を勘案すると、やはり海水温変化や栄養塩変化が原因ではないかと考えられる。
 こういった状況に対し、漁連では近年の減産に対する意見交換会が開かれ、藻場対策や種苗生産等が話し合われたとのこと。また東京都漁連では2020年〜2022年迄の伊豆諸島の海水温について纏め、検討されていた。こういった活動が将来結実していけばと切に願う。
 入札会場では実際のテングサを確認した。この時期に採取されたテングサはカキの付着が少なく、歩留まりが良い。更に採取業者の方々が綺麗に選別している為、アオという銘柄であってもアオの含有率が少ないテングサが多い。
 また、伊豆大島の中でも岡田地区と波浮地区ではテングサの様相が異なる。岡田地区は伊豆半島の対岸で比較的穏やかな海域(伊豆大島の中では)、一方で波浮地区は外洋に面する海流や波が強い海域である。この為、同じケグサという銘柄であっても、岡田地区より波浮地区の方が太いテングサが多く含有する傾向にある。特に優劣はなく、各々適した使用方法があり、必要に応じて入札していく。
 入札業者は8社。東京都産テングサは伊豆諸島を産地とする為、伊豆ブランド品である(※3)。この為、ブランド価格になる傾向があるが、更に今回の減産が購入競争を加速させると考えられた。実際、開票されると静岡県入札会(伊豆入札会)と同等以上の高額落札となった。この傾向は出品量が増加するまで続くのではと懸念された。

※1:2017年11,881kg、2018年14,263kg、2019年13,104kg、2020年16,350kg、2021年7,500kg、2022年6,832kg

※2:東京都島しょ農林水産総合センターHP

※3:一般的な伊豆ブランドとして、令制国における伊豆国(伊豆諸島と伊豆半島)が多く使用される。

(報告/社長 森田尚宏)

保管されているテングサ

入札会場

青混となっていても、アオの含有量は少ない。

波浮は外洋環境の為、ケグサでも太めが多い。

岡田は比較的穏やかな海域の為、ケグサが主体となる。

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06 2022/07/28 城ヶ島第1回入札会

 城ヶ島第1回入札会が7月末に開催された(7月28日)。出品量は1,702kgと昨年同時期と比較して80%と減産した(2021年入札会:2,126kg)。2017年からの出品量でみると20,000kg以上のことが多かった為(※1)、例年より減産しているといえる。
 城ヶ島は伊豆大島と海域が近く、様相もアラメで似ている。しかし、出品量は伊豆大島産テングサ(東京都産テングサ)程は減産しなかった。海域で見れば、城ヶ島海域・伊豆大島海域共に外洋系の環境であるが、城ヶ島は房総半島と伊豆半島に挟まれている。黒潮の影響が異なり、結果として出品量に影響が現れたかもしれない。
 城ヶ島産テングサはアラメであると前述したが、若干ケグサも混合している。本テングサを使用してトコロテンを製造するとアラメ特有の硬さのみでなく、ケグサ特有の粘りも若干現れる。このような特徴を好まれる方には使いやすいテングサであろう。
 入札業者は5社。例年は現地でテングサを確認するが、今回はFAXで入札した。入札価格は伊豆大島産テングサ(東京都産テングサ)の落札価格が参考にされるが、今年の伊豆大島産テングサの入札会(東京都入札会;7/14)は出品量が少なく高騰した。この為、城ヶ島産テングサもそれに準じると考えられ、実際、昨年度の入札価格よりも高い値で落札された。

※1:2017年2,360kg、2018年780kg、2019年2,514kg、2020年3,044kg、2021年2,126kg、2022年1,702kg

(報告/社長 森田尚宏)

城ヶ島と伊豆大島の位置関係

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