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てんぐさ入札会報告
毎年6月から10月にわたって行われるてんぐさ入札会の報告です。
てんぐさ入札会報告 平成27年(2015)
00 2015/04/13 平成26年度てんぐさ概況報告
01 2015/04/16 静岡県第2回入札会
02 2015/05/21 東京都第1回入札会
03 2015/06/11 静岡県第3回入札会
04 2015/06/16 徳島県第1回入札会
05 2015/07/03 愛媛県第1回入札会
06 2015/07/09 静岡県第4回入札会
07 2015/07/16 東京都第2回入札会
08 2015/07/29 長崎県入札会
09 2015/08/18 和歌山県第1回入札会
10 2015/08/27 三重県第2回入札会
11 2015/09/02 徳島県第2回入札会
12 2015/09/03 高知県第1回入札会
13 2015/09/04 愛媛県第2回入札会
14 2015/09/17 東京都第3回入札会
15 2015/10/08 静岡県第7回入札会
16 2015/11/05 東京都第4回入札会
17 2015/11/12 静岡県第8回入札会
18 2015/11/14 平成27年度(平成27.4〜平成27.11)てんぐさ概況

00 平成26年度(平成26年4月〜平成27年11月)てんぐさ概況報告

 全国のてんぐさ入札(生産)量

以下の表は、平成25年までの年別てんぐさ生産数量(入札数量+入札外数量)です。

産地\年 平成26年 平成25年 平成24年 平成23年 平成22年 平成21年 平成20年
東京都 52 53 63 53 57 59 73
静岡県 106 117 115 101 155 219 238
三重県 8 16 15 11 18 11 26
和歌山県 12 14 14 21 13 15 25
徳島県 45 32 37 37 34 21 41
愛媛県 160 146 86 80 69 70 88
高知県 29 40 18 36 20 39 25
長崎県 13 23 21 26 15 16 13
上記産地計 425 441 369 365 381 450 529
全国生産量 510 559 481 489 442 558 673

(単位:トン)株式会社 森田商店 調べ 2015(H27)/4/13

 平成26年の全国の生産数量は入札数量と入札外数量で510トンになった。平成25年は559トンで、対前年比91%となった。
 平成26年は当初、西日本地域では増産傾向が見られ前年より安値気配でスタートしたものの、後半は天候に大きく影響され全国的に水揚げ量が減り、価格は前年を上回る結果となった。
 梅雨入りは九州南部、四国は平年並み、他地域は早く、一方梅雨開けは全地域とも平年並みであった。ところが7月以降全国的に曇りや雨の日が多く8月には台風11号、12号に加え集中豪雨があった。西日本太平洋側の8月の日照時間は1946年の統計開始以来最も少なく平年比54%(気象庁、報道発表資料「8月の天候」平成26年9月1日発表)であった。
 結果、全国的に生産量が伸びず平成26年後半、落札価格は入札会を重ねるごと上がった。ちなみに伊豆半島では平成23年来110トンほどで推移し、それ以前の5年間平均200トンレベル(平成18年〜平成22年平均224トン)から大きく減っている。
 海外の輸入品については韓国からが平成26年で376トン(平成25年850.9トン)、モロッコからが平成26年635トン(平成25年850.6トン)となっている。
 総輸入量は平成26年1,358トンと前年2,141トン、63.4%に止まっている。
 ひとえに韓国からの数量減によるが韓国産輸入価格は前年の15.28%高となっている(一年間累計の価格比較)。価格高の一因は為替の円安ウォン高12.5%である。(2013年7月平均,100ウォン=8.8円→2014年7月,平均100ウォン=9.9円)
 よって国産天草の低価格帯のものと大して変わらない状況になってきた。もちろん国産天草の中価格帯、高価格帯のものは先に示したように減産により輸入品に比較して、たとえば伊豆産など2倍〜3倍のものもある。
 また、平成26年度(平成26年12月〜平成27年2月)の天然寒天生産は細寒天(主に岐阜県)17%減、角寒天(長野県)10%減で終了した。平成24年、平成25年に続き3年連続の減産となった。
 平成26年においては天候条件では12月から1月にかけて冷えてはいたが晴天が少なく乾燥に要する日数が予定より長引き干し場が満杯になり、やむなく一時釜休みしたことによる。また、細寒天では高齢化、後継者不足より、2工場製造休止したことも大きく響いた。
 今年の天草市況は輸入てんぐさ価格については先にあげた韓国例を始めとしてモロッコなど高止まり状態である。為替の対ドルでは現在(平成27年4月)1ドルが120円前後と昨年7月の1ドル102円前後(平成26年7月月間終値平均101.7円)と17%ほどの円安になっていること、さらにモロッコの輸出規制、南アフリカの生産減による供給減があげられる。
 また、国内てんぐさにおいては、漂着品はもとよりこれから解禁採取が各地行われるが、昨年の国内生産が少なかったことも起因して入札会が待たれる状況である。

(報告/社長 森田庄次)

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01 2015/04/16 静岡県第2回入札会

 今年の第1回の入札会は2月20日に開催され今回早くも静岡県入札会第2回である。もっとも第1回は仁科だけの出品で11800kg。今回は八木沢と仁科で計979本24475kgの出品である。第1回と同様今年採れたものではなく全て去年採取されたものである。前日から伊豆に前乗りしていたためこの日は朝から八木沢の組合倉庫で現物見付。採り草は少なく寄り草と言われるものがほとんど。組合の人から説明を受けていたら「今天草を拾っているから見に行きませんか」と言われ、近くの海に連れて行ってもらった。波打ち際には天草がわんさか打ち寄せられていて大きな玉網(たも)で拾い集めている。こんなに天草があるのかというくらい打ち寄せられている。さすがに春とは言えまだ海水は冷たくドライスーツを着込んでの作業である。
 今年の春は雨や曇りの日が多く、ところてんのシーズンが始まるこの時期にも影響が出初めている。売れ行き不調で少し天草相場も冷え込むのではないかと業者間の会話がある中で入札会が始まった。今回ファックス入札はなく6社での入札。結果は前回の値を引き継ぎ、ほとんど下がることなく終わった。すべての商社が高値を付けたというよりは欲しいものには高値を付けた商社がいたということだったような気もするのだが。ともあれ今年も伊豆の天草は相変わらず高値が付くことになりそうである。

(報告/専務 森田智治)

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02 2015/05/21 東京都第1回入札会

 東京都第1回入札会が大田区京浜島の東京都漁連水産物流通センターで開かれた。昨年は6月に開かれたが、今年は5月と一ヶ月早く行われた。
 これは浜で多くとれたので早く開催されたというわけではなく、昨年秋に晒品が最終会に用意できず持ち越し分があったこと、(写真右手前に昨年産の晒品がならんでいる。)また一部買い受けの商社側から早く開いてほしいと言う要望があったことによる事情からであった。
 よって集荷量は7トンと例年の第一回数量の60%程度、ちなみに昨年は13トン、数量が少なく開催にはやや無理がある状況で行われた。
 応札商社は第1回ということもありいつもの10社が参加した。数量が少ないこともあり、1時30分札締めを15分切り上げ1時15分かで締め即開票に移った。
 結果、大方の商社が狙う多くの品は昨年同期を25%高の値が付く一方、そうでない品は昨年並の価格で終わった。今後の価格動向が気になる展開である。

(報告/社長 森田庄次)

右手前に昨年産の晒天草がみえる。

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03 2015/06/11 静岡県第3回入札会

  早くも静岡県入札会第3回。今回から伊豆半島東海岸の組合支所からの出品も加わり本格的に今年も入札シーズンに入った感がある。当日朝から例年のごとく稲取から須崎まで今回出品の現物と次回以降出品される荷物の確認をするため各支所を回った。写真は高台から望んだ東伊豆町稲取漁港と天草が生い茂った下田市白浜の海中風景(静岡県水産技術研究所提供)。西伊豆に比べ東伊豆地域は天草を採る海女さんが少ないことが長年の課題である。せっかく質の良い天草が繁っているのに残念なことである。
 今回の出品数349本8,718kg。昨年同時期は297本7,425kg。約15%の増である。入札商社はファックス入札3社を含め計8社。今回増産とはいえ先月の東京都の入札結果と今後の生産量を考えるとそれなりの値が付くと予想されたが、想像に違わず高値で次々落札された。伊豆の入札会は8回まで開催されるのでこのあたりが高値、そろそろ相場も落ち着き始めるのではないかと思うのだがどうなることやら。

(報告/専務 森田智治)

稲取漁港

白浜

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04 2015/06/16 徳島県第1回入札会

 徳島県第1回入札会が6月16日に開催された。昨年とほぼ同時期である。出品量は17,404kg、昨年第1回入札会と比較して53%と減産であった(H26年第1回出品量:32,631kg)。徳島県入札会は8月下旬にも開催予定だが、6月に出品されるテングサの方がカキの付着量は少なく、良質の傾向がある。この為、徳島県での良質なテングサは昨年より減産になると思われる。
 上でも述べたが、この時期に出品されるテングサはカキが少ないのが特徴である。それを念頭に置いてテングサを確認しても、今年はカキの付着が少ないと感じた。またベト(テングサに付着する泥状のもの)の付着もあまりなく、全体的に良質な天草と感じた。
 入札業者は8社。今年の入札会は始まったばかり、各社の動向を気にしながらの入札となった。今回は高値にはならず、落ち着くと予想したが、実際には静岡県入札会や東京都入札会の影響を受けてか高値落札となった。この落札値が今年の入札会の参考となっていく。

(報告/常務 森田尚宏)

テングサ保管会場

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05 2015/07/03 愛媛県第1回入札会

 全漁連天草共販の中で毎年最大数量の出品がある愛媛県入札会。瀬戸内から豊後水道にかけて42の銘柄、約119トンの出品である。去年の140トン弱の数量に比べれば15%の減産ではあるがそれでも大変な数量である。今回数量の多い3銘柄は一括応札ではなく本数を分けての切り札応札が可能との説明を受けての値付け見付である。切り札応札ができるためある程度段階を踏みながら値付けをすることになる。それでも相場を読み違えないよう様々な場合のシミュレーションをするのだがすればするほど混乱するばかり。「下手の考え休むに似たり」とはよく言ったものである。先月6月に開かれた徳島県入札会では大幅な減産のためか高値が付き、今回はその流れのままある程度高値は付くだろうと予想を立てているうちに11時札締め、いざ入札。入札商社は去年と同じ10社。
 結果発表、落札は予想通りというかそれ以上の高値がついた。去年の落札値を上回るものばかりで前年比20%以上アップといったものが続出した。2週間後に開かれる三重県入札会の数量も少ないという話が流れ、全国的に減産傾向、また円安の影響を受け外国の天草も値が上がってきているのもこの高値の要因になったのかもしれない。
 写真は帰りの松山空港で見かけたキャラクター「みきゃん」。愛媛県のマスコットキャラクターらしいのだが、最近この手のキャラクターが多いですね。

(報告/専務 森田智治)

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06 2015/07/09 静岡県第4回入札会

 出品数量427本、10,529kg。前年同時期は228本、5,578kg。増産のように思えるが今回土肥漁協組合の小下田が半分以上の231本を占めている。去年小下田からの出品は第5回だったことから、その分を差し引いて考えると実質減産とみて良さそうである。
 今回小下田の倉庫で現物を見付した後田子でも現物見付。トラの晒具合、乾燥の出来不出来、実際に行って見てみなけりゃわからない。梅雨のこの時期どうしても乾燥がイマイチなのはやむを得ないところか。
 写真はずらずらっと並んだ60銘柄の見本。本数の割に見本が多いのは生産者ごとに出品されている銘柄が多いせいでもある。
 先週の愛媛県に続き、来週の三重県、東京都入札と減産傾向が出ているため今回も高値が付くことが予想されたが思ったほどの高値落札はなく、前回値に倣った値で落ち着いた。もっとも前回まで高値が常に付いていたことを思えば今回も高値とみるべきか。下がる気配のない入札会が続く。

(報告/専務 森田智治)

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07 2015/07/16 東京都第2回入札会

 東京都第2回入札会が昨年より1ヶ月早い7月16日に開催かれた。当初、第2回入札会は6月に開催予定であったが、テングサの数量が集まらなかった為、今回の入札会となった。出品量は307本、9,184kgで昨年の第2回入札会よりも72%と減産であった(昨年出品量:12,718kg)。出品内容は伊豆大島の岡田地区と波浮地区が中心であったが、泉津地区や新島のテングサも出品された。
 第2回入札会迄の出品量は16,151kgであり、昨年と比較して63%と減産となった(昨年度は25,800kg)。第1回・第2回共に昨年より1ヶ月早く開催され、テングサの集荷が間に合わなかったこともあるが、テングサ自体の収穫量はやはり減少していると思われる。現段階で8月に予定されていた入札会は延期となっている。
 出品されているテングサを確認してみると、例年通り良質であり、カキも少なく、アオの付着を感じた物は少なかった。ただし、天赤アラメ(ケグサ混)と表示されていても、産地によってはアラメが多い物もあれば、ケグサが多い物もあった。アラメの方が一般的に高値となる為、これらの混合している割合も加味して札値を決めていく。
 出席商社は9社。全国的な高値状況とテングサ出品量の減少が影響し、高値となった。特に天赤アラメ系の価格の高騰が目立った。
 3回目の入札は集まってから開催予定だが、9月17日を予定している。

(報告/常務 森田尚宏)

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08 2015/07/29 長崎県入札会

 今年の長崎県産天草入札会は7.8トンで昨年の3.8トンより多くなった。昨年は不作であり、且つ、対馬産のものが出品されなかったので数量が伸びなかった。今年は対馬産が約2トン出品されたので一応入札会らしくなった。
 なお、台風12号が7月25日、26日と九州西海域を通過し、影響が心配されたが、さほどのことは無く無難に過ぎた。
 今回の入札前に全漁連担当から三重、和歌山の今後の集荷量が極めて少なくなっている事の説明を受けた。今年は台風発生が早くから始まっていること、日本の南方海上に発生するや、うねりが押し寄せ出漁できなくなること、などが不漁の原因になっている。ちなみに平成26年12号は8月2日に九州西を通過、平成25年12号は8月18日に沖縄から中国へ行っている。
 今日の応札商社は地元2社、他地域から弊社を含め4社の計6社でおこなわれた。
 結果は各地高値で推移していること、今後、全国的に集荷量が伸びないこと、又、前日、韓国済州島約600トンの入札会、落札価格が想定通りの高値で終わった事などの情報から昨年比、10%〜15%高となった。

(報告/社長 森田庄次)

各組合分の品が1袋から3袋、
提示されている。
通常はイリコ入札会場である。

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09 2015/08/18 和歌山県第1回入札会

 和歌山県第1回入札会が昨年と同時期の8月18日に開催された。出品量は9,117kgで昨年よりも80%と減産であった(昨年出品量:11,353kg)。他地域と同様に和歌山県でも減産が続いている。
 和歌山県で出品されるマクサは紀州という名称で呼ばれ、粘度が高い物が多い。また、マクサ以外で出品されるテングサとしてオニクサやオバクサがある。特にオバクサは抽出される寒天質の強度が高く、糸寒天の製造にも使用されている。
 このように和歌山県で出品されるテングサは量は少ないが、使用目的がはっきりしたテングサが多い。更に今年は出品量が少ない為、競争が予想された。
 地区別にテングサを確認していくと、例年通りの様相(オバクサの含有量、カキの付着量)の地区もあったが、例年と異なっていたものもあった。特にある地区のテングサは、昨年ベトが付着していたが、今年は一変して様相が綺麗になっていた。更にこの地区のテングサは出品量が多かった為、特に競争が予想された。
 出席商社は5社。全国的な高値状況とテングサ出品量の減少が影響し、どの銘柄も高値となった。上記にあげた通り、出品量も多く、綺麗なテングサは、業者がテングサの確保に走り、予想以上の高額落札となった。

(報告/常務 森田尚宏)

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10 2015/08/27 三重県第2回入札会

 第2回入札会迄開催され、今年度の三重県入札会は終了致した(第1回7月14日、第2回8月27日)。第2回迄の出品量は8,167kg(第1回3,654kg、第2回4,513kg)と昨年と比較すると、103%で微増した。ただし、昨年は出品量が少なかった為、例年と比較すれば減産と言わざるをえない。
 テングサは通常、夏期になるとカキやベト、アオの付着が目立ってくる。この為、春に出品されるテングサよりもグレードが落ちることが多い。今回もその傾向があるかと予想していたが、実際は異なり、カキやベトが付着したテングサは少なく、綺麗なテングサが多かった。
 また、ある産地では数量が多かったが、様相のバラツキが見られた。上手く選別すれば、トコロテン用と寒天用と分けて使用できると思われた。
 入札会は出品量が少なかった為、FAX入札となった。価格は他入札会と同様に全国的な値上がりの影響を受け、落札値は高値となった。

(報告/常務 森田尚宏)

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11 2015/09/2 徳島県第2回入札会

 第2回入札会まで開催され、今年度の徳島県入札会は終了致した(第1回:6/16、第2回:9/2)。出品量は25,668kgと30,000kgを下回り、例年よりも大幅な減産となった(H26年44,570kg、H25年31,876kg、H24年37,064kg)。昨年と比較すると58%であった。
 三重県入札会でも報告したが、テングサは通常、夏期になるとカキやベト、アオの付着が目立ってくる。この為、春に出品されるテングサよりもグレードが落ちることが多い。今回もその傾向があるかと予想していたが、実際は異なり、カキやベトが付着したテングサは少なく、綺麗なテングサが多かった。今年は全国的に夏期に生育したテングサの様相が良いかもしれない。
 ある産地のテングサは、出品量が少なかったが、ノリが良く出そうな様相な上に状態もかなり綺麗であった。出品量が多ければ、お客様に積極的に紹介できるのにと思うと、残念であった。一方で、乾燥状態が不十分な産地のテングサもあったり、袋毎に晒具合が異なっている晒テングサもあったりした。
 入札業者は7社。和歌山県入札会での高値落札と出品量の減少が影響し、落札値は予想よりもかなり高値となった。

(報告/常務 森田尚宏)

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12 2015/09/3 高知県第1回入札会

 高知県入札会が昨年と同時期の9月3日に開催された。出品量は7,729kgと10,000kgを下回り、例年よりも大幅な減産となった(H26年20,514kg、H25年30,283kg、H24年15,209kg)。昨年と比較すると38%である(H26年:20,514kg)。
 現在、テングサは全国的にも減産しており、また安価な海外産テングサが円安の影響で高値となっており、各社、希望数量の確保に奔走している。こういった状況から、8月中旬に開催された和歌山県入札会が高騰し、続く三重県入札会、徳島県入札会も高騰した。高知県入札会も直前の徳島県入札会の影響を受けることは容易に予想された。
 高知県入札会では赤草だけでなく、晒されたテングサやオバクサやオニクサも多く出品される。晒しの色も黄晒もあれば青晒もある為、各社の好みが現れる入札会でもある。
 入札業者は6社。出品量が大幅に減産したことや、高値であった徳島県入札会の翌日であったことから、落札値は高値となった。また、例年は2回に分けて入札を実施するが、今回は1回のみの入札となった。

(報告/常務 森田尚宏)

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13 2015/09/04 愛媛県第2回入札会

 四国三県3日連続入札会最終日。徳島、高知と去年に比べ生産量減の中での入札会となって迎えた愛媛県入札会である。愛媛県第2回に限っていえば去年は20トンの生産量に比べ今回は30トンと増産。とは言え年間数量で第1回の数量と合算してみれば去年は160トン、今年は148トンと7パーセントの減である。四国三県の年間入札数量を比較しても去年の224トンに比べ今年は180トンと約20パーセントの減。当然徳島、高知の落札値を受け高値が予想された。
 第2回の出品は夏以降に採取されたものがほとんどで第1回のものに比べ多少品質的に落ちるものが多く、いつもなら第1回に比べやや低めの応札になるのだが今回はそうも言っていられない。特に徳島、高知の入札会で思うように落札できなかった商社はこの愛媛の入札会に掛けることになる。他人事のように書いているが弊社も狙いを定めて入札。入札商社は8社。11時半札締め、12時過ぎに結果発表。やはり高値続出。今年の第1回の落札値を上回る結果となった。
 9月に入ってところてんシーズンも終わり、寒天の製造も見えてきたこの時期、需要が大幅に増えたわけでもなく供給が大幅に減ったために起きたこの3日間の入札会であったと思いつつ帰途に就いた。
見本が並んだいつもの入札会場の写真と松山空港で見かけたシャンパンタワーならぬ「みかんタワー」の写真。いろいろ考えるものですね。

(報告/専務 森田智治)

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14 2015/09/17 東京都第3回入札会

 第3回入札会が9月17日に開催された。出品量は11,784kg、昨年の第3回入札会(2014.10.16)と比較して68%と減産であった。本年度の入札会は残り1回の予定(2015.11.5予定)、出品量は9,000kg程度と見込まれている。第3回入札会迄の出品量は27,935kgの為、今年度の年間出品量は36,935kg(予定)となる。これは昨年度の年間出品量と比較して85%と減産となる。
 各テングサを確認すると大凡これまで通りの様相であった。例えば、同じアラメでも産地により若干細いテングサがあったり、青混という銘柄でも特にアオが混合していなかったりしていた。一方で晒は若干バラツキがあり、綺麗に晒されているテングサもあれば、ノリが抜けているように晒されているテングサもあった。
 入札業者は10社。東京都産のテングサは他の産地のテングサとは性質が異なる為、代替が効かなく、もともと競争が激しい。更に減産である為、競争が激化し、東京都産のテングサを確保したい業者が購入意欲をのぞかせた。以上の背景より、これまでの高値にもかかわらず、落札価格は前回入札会よりも更に高値がついた。

(報告/常務 森田尚宏)

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15 2015/10/08 静岡県第7回入札会

 回を重ねること7回、これだけ開かれるのは静岡県入札会だけである。今回の数量は736本、18,135kg。去年の第7回の956本に比べれば少ないようだが1年間通してみれば3600本あまり、89.5トンと去年とさして変わらない。全国的に今年は減産傾向にあるなか伊豆半島だけはどうも特別のようである。とはいえ10年ほど前までは伊豆半島で年間200トンの生産量があったことを思えばマクロ的に言えば減産傾向には違いない。結局何を言っているのかわかりにくいかもしれませんが全国的に減産傾向にある中、伊豆の生産量は頑張っているということです。
 今回出品の約85パーセントを占めるのが土肥漁協の八木沢。そのうち採り草と言われるものは20パーセントあまり。ほとんどが寄り草と言われるものである。いつものように八木沢の倉庫で現物見付。その後松崎町の雲見支所に寄って下田の入札会場に移動。
 先月の東京都の入札結果からすれば今回も高値予想ではあるのだがこの時期どの商社が何を狙っているのかを考えての応札。入札商社は7社。結果はほとんどが高値のまま。11月の最終回入札会も推して知るべし、か。
 写真は松崎雲見漁港から見た富士山。どどーんとしてますね。北海道では台風被害が出ているのに伊豆ではスカッと秋晴れ。日本も狭いようで広い。

(報告/専務 森田智治)

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16 2015/11/05 東京都第4回入札会

 第4回東京都入札会が開かれた。
 例年10月中に東京都分は行われているのを新島、式根島などの島の晒生産が遅れ気味なのを考慮して11月に行うことになった。
 これで5月に早く第1回を行った結果今年は東京都としては4回開催されることとなった。
 しかし、夏の長雨で浜での水揚げ量が少なく今回は277本8トン程度に落ち着いた。東京都累計では36.1トンなり、昨年比83.7%であった。
 そのうち組合別にみると伊豆大島波浮港組合(この組合は荒目草が多く出される)は昨年399本が今年184本と半分以下の46%、また、品種別では荒目晒1等品が昨年416本のところ今年は244本、59%と極端に落ちた。
 漁連倉庫にある写真でわかるように赤草はほとんど無い状態、また晒草は見えるものの毛晒が主体である。
 結果、落札価格は荒目赤1等品は第1回の@1,600/kgから第3回の@2,200/kgと@600/kg、37.5%高、又、天晒荒目1等品は第1回@1,900/kgから最終回@2,550/kgと@650/kg、34.2%高となった。(価格はいずれも平均価格)
 入札会終了後、生産者組合と買い受け商社の情報交換、懇親会がもたれた。
 来年も数量さえ揃えば今年同様5月開催、そして最終回は11月に開く予定が話された。また、今年の各地天草入札会の高値報告、外国産(モロッコ、韓国)の入手困難なこと、為替の円安による高値入荷のことが報告された。
 あと来週の静岡県伊豆の入札会で今年の天草入札会すべて終了となる。

(報告/社長 森田庄次)

赤草が12本のみ。
他は晒天草(毛草主体)が
265本ある。

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17 2015/11/12 静岡県第8回入札会

 今年最後の天草入札会。最後は例年のごとく静岡県入札会である。出品本数716本、17724kg。今年一年の累計は約107トン。最終集計を待たねばならないが去年とほぼ同じ、または微増である。今回の出品の約9割以上を仁科と小下田の組合で占めている。朝、まず小下田の組合倉庫で現物見付。晒、トラ晒の状況、寄草にはドラ草や他の海藻が入っていないか確認。入札会場にある見本だけではわからないことが現物を見ることで見えてくる。その後、仁科でも現物見付。こちらでは倉庫で荷造りの真っ最中でもあり、荷造り前の現物をより確認できた。
 入札商社はファックス入札を含め8社。この時期買付商社にしてみればまだ買い足りないもの、充分手当できているもの、値によっては買っておいた方がいいものと様々なことを考えての入札会となる。結果は夏以降に採れた東海岸の一部のもので下げはあったものの他はやはりと言うべきか高値が付いた。先週の東京都の入札結果の流れのまま、変わらずである。
 入札会の後、生産者漁協組合の人と入札商社との懇親会があった。商社からは荷造り梱包の大きさの統一の要望、漁協からは天草の冷凍保管の試験などの意見交換があった。また来季から新たに入札商社が1社加わることが発表された。

(報告/専務 森田智治)

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18 2015/11/14 平成27年度(平成27.4〜平成27.11)てんぐさ概況

 全国のてんぐさ入札(生産)量

平成27年は入札数量、*の高知、長崎は一部入札外数量を含む。**は推定値。
平成26以前は生産数量(入札数量+入札外数量)です。

産地\年 平成27年 平成26年 平成25年 平成24年 平成23年 平成22年 平成21年
東京都 42 52 53 63 53 57 59
静岡県 107 106 117 115 101 155 219
三重県 8 8 16 15 11 18 11
和歌山県 9 12 14 14 21 13 15
徳島県 26 45 32 37 37 34 21
愛媛県 149 160 146 86 80 69 70
高知県 * 9 29 40 18 36 20 39
長崎県 * 16 13 23 21 26 15 16
上記産地計 366 425 441 369 365 381 450
全国生産量 ** 460 510 559 481 489 442 558

(単位:トン)株式会社 森田商店 調べ h27(2015).11.14

  今年のてんぐさ入札会は平成27年11月12日の静岡県第8回入札会で終了した。
 最終回は西海岸の仁科浜と小下田の組合が主で18トンの出品であった。全国の生産数量は入札数量と入札外数量で推定460トンになった。平成26年は510トンで、対前年90%となり10%の減産となった。2年続きの減産で今年は500トンを切る結果となった。
 今年は当初西日本地域では減産予想がされたが、東日本地域である東京都伊豆諸島、静岡県伊豆半島、千葉県房総半島では増産傾向にあるように見られた。
 しかし、6月以降梅雨と台風の発生の多さにより急激な減産となった。
 気象庁発表の今年本土台風接近数(本土いずれかの気象官署に台風の中心が300km以内に入った台風)は5月から8月にかけて4個とされ、丁度天草の収穫時期であり、台風が発生するとうねりが海岸に打ち寄せ出漁できなくなる。ちなみに平成26年は3個、平成25年は1個、平成24年4個である。
 結果入札量では3年、4年前と同様300トン台に落ち、相対取引の入札外数量を含めても500トン切れとなった。
 平成27年春からの入札会価格は前年比15%〜30%高でスタート、減産傾向が顕著となった8月18日和歌山県の入札からさらに高騰、前年の50%〜60%高の値をつける品も出た。その後も高値が相次ぎ11月5日東京都第4回入札会の天晒荒1等品では1kgあたり2,568円までの値が付いた。これは寒天、天草ブームのあった平成17年、その翌年平成18年以来約10年ぶりの価格である。
 また、海外動向では韓国からが平成27年9月末で285トン(平成26年9月末210トン)モロッコからが平成27年9月末で549トン(平成26年9月末541トン)となっている。今年の総輸入量は9月末までで1,224トンである。平成26年9月まででは1,037トン、平成26年年間計では1,358トンであった。
 平成27年9月までの総輸入数量(韓国75トン増、チリ70トン増)は増えているが、価格は現地価格の上昇により対前年比、韓国16%高、モロッコ27%高となった。韓国については一昨年と比較すれば40%高である。
 平成28年春からの国内天草浜価格を推し量るに、モロッコ天草の輸出規制(平成23年から)が続く現状の海外情勢であれば、若干の下げはあるものの今年の価格でほぼ移行していくと推察される。
 価格面ではすくなからず浜の生産意欲は維持できると思われので、数量増は作柄と採取時期の海況状況によるところとなる。
 全国数量確定値は平成28年3月末に報告できる。

(報告/社長 森田庄次)

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