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てんぐさ入札会報告
毎年6月から10月にわたって行われるてんぐさ入札会の報告です。
てんぐさ入札会報告 平成20年(2008)
00 2008/04/27 平成19年まとめ
01 2008/06/12 徳島県第1回入札会
02 2008/06/18 静岡県第1回入札会
03 2008/06/19 東京都第1回入札会
04 2008/07/02 静岡県第2回入札報告
05 2008/07/04 愛媛県第1回入札会
06 2008/07/10 三重県第1回入札会
07 2008/07/17 東京都第2回入札会
08 2008/07/23 静岡県第3回入札報告
09 2008/07/24 神奈川県城ヶ島漁協第1回入札会
10 2008/08/06 長崎県第1回入札会(男天−オテン、女天−メテン)
11 2008/08/07 和歌山県第1回入札会
12 2008/08/08 三重県第2回入札会
13 2008/08/20 静岡県第4回入札会;『日経マガジン』
14 2008/08/21 東京都第3回入札会
15 2008/08/28 徳島県第2回入札会
16 2008/09/03 神奈川県城ヶ島漁協第2回入札会
17 2008/09/04 高知県第1回入札会
18 2008/09/05 愛媛県第2回入札会
19 2008/10/08 静岡県第6回入札会
20 2008/10/16 東京都第4回入札会
21 2008/10/22 静岡県第7回入札会
22 2008/11/26 静岡県第8回入札会
23 2008/12/13 平成20年てんぐさ概況

00 2008/04/27 平成19年 まとめ

 全国のてんぐさ入札(生産)量

以下の表は、平成19年までの年別てんぐさ入札(生産)量です。

産地\年 平成19年 平成18年 平成17年 平成16年 平成15年
東京都 105 127 115 94 72
静岡県 286 222 180 142 106
三重県 111 100 66 54 65
和歌山県 58 47 42 29 27
徳島県 55 93 97 51 36
愛媛県 122 237 189 130 99
高知県 18 16 8 7 6
長崎県 9 24 24 7 19
上記産地計 764 866 721 514 430
全国生産量 924 1002 843 605 537

(単位:トン)株式会社 森田商店 調べ 2008/4/26

 平成19年の集計がまとまったので報告する。
 特筆は静岡県での増産が顕著で286トンとなった。ただし、この数字は本年19年に市場へ出品された数量であり、実際の採取は前年の平成18年のものも含まれている。特に西伊豆の仁科浜漁協、土肥漁協においての前年からの繰り越し分は70トン以上と推定される。
 また、表には記載されてはいないが青森県下北半島で39トンあり、例年5〜10トン程度であることを考えると、海況等増産要因があったと考えられる。
 反面、平成17年のブーム、平成18年のブーム調整価格を経て、その後の価格の下落が採取意欲減退に至り、徳島県、愛媛県のように前年の59%、51%の産地も見受けられる。

 ここで3年前、平成17年(2005)のブームの前後の需給概況を総括してみる。

天草;国産、輸入数量(2001〜2007)       (トン)

国内天草 輸入天草 合計 消費(需要)
h12(2000) 789 2,127 2,916  
h13(2001) 767 1,732 2,499  
h14(2002) 658 1,752 2,410  
h15(2003) 537 2,347 2,884  
h16(2004) 605 2,568 3,173  
h12〜h16の年平均 671 2,105 2,776 2,700
h17(2005) 843 3,753 4,596 5,000
h18(2006) 1,002 4,192 5,194 3,000
h19(2007) 924 1,316 2,240 2,700
h17〜h19の年平均 923 3,087 4,010  
h17〜h19の合計 2,769 9,261 12,030 10,700

国内天草;(株)森田商店調べ  輸入天草;財務省貿易統計より  消費(需要);(株)森田商店推定

*供給
 ブーム前の平成12年から平成16年の5年間の平均年間数量は、国内産671トン、輸入品2,105トン、合計2,776トンである。
 一方ブームの平成17年から3年間の合計数量は、国内産2,769トン、輸入品9,261トン、合計12,030トンである。

*消費(需要)
 平成17年から3年間のてんぐさ消費は、ブーム年の平成17年5,000トン、ブーム調整年の平成18年3,000トン、ブームが去った平成19年2,700トン、合計10,700トンと推定される。

*需給バランス
 都合ブーム3年間の過剰在庫として、平成20年への持ち越しが1,330トン(=12,030−10,700トン)あると想定される。
 ブーム前の5年間の年平均供給数量(国内、輸入計)が2,776トンであることを考えると平成20年では1,446トン(=2,776−1,330トン)の供給(国内、輸入計)で需給バランスがとれることになるが、今年の国内生産数量と輸入数量の合計を予想すると2,000トン超になると思われる。
 ブームにより消費底辺が拡大したといわれるが、そのとおり拡大していれば、合計で2,000トンを超えても活発な取引が期待できると思われる。
 今年は消費拡大できたかどうか、その検証の年といえるであろう。
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01 2008/06/12 徳島県第1回入札会

 今年最初のてんぐさ入札会が徳島で開かれた。年初から今までのてんぐさ、寒天状況は非常にきびしい市場動向にあるといえる。
 冬期の寒天製造では、寒天ブーム後の需要の低迷と寒天製造に不適な天候が災いして例年の20%程の減産をしている。また、一方ところてんの方では、春からの天候がいまひとつ暖かくないのが大きく響き、消費が伸びていない。原油を初めとして、小麦などの穀物、もろもろの商品の世界的な値上がり状態にあり、生活必要商品が優先購買され天草関係は二の次で消費は減っていると思われる。これらのことからてんぐさ在庫は末端製造業者、流通業者段階では例年より多くなっている。
 そのような中で今年のてんぐさ動向を左右する重要な入札会である。
 出品量は今年は29トン(h18年の40トン、h19年36トン)と減っている。倉庫内では片側しか荷物が埋まってなくて反対側はまったく空の状態である(右写真)。今年の相場状況はきびしくなることが事前に生産者側に伝わっていて減産になった。
 また、買付業者は8社(h19、9社)で昨年より1社減である。
 見附開始は午前9時から、入札締め切りは午前11時。
 開票前に、主催者側の全漁連と徳島県漁連の担当者から、徳島の今後と今年の各地の予定を含めた挨拶があった。全漁連は機構の一部、改革があり直接の担当は九州、佐賀県、鳥栖海苔流通センターの所長さんが務めることが紹介された。同様に静岡県でも機構改革があり別途報告を受けている。漁業系統組織も昨今の構造改革で新しい展開になってきたことを感じる。
 その後、入札会場で即、開票され発表された。
 入札の結果は、昨年価格の流れの中にとどまった。また、落札商社の内訳は出席8社の内3社が落札、特に中位以下の物には1社のみに集中落札した。このことは買付商社の中で、相場の思いが収斂されていないことを物語っている。
 来週は静岡県、東京都と2箇所で続いて行われる予定で、相場が次第に固まっていくことになる。

(報告/社長 森田庄次)

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02 2007/06/18 静岡県第1回入札会

 今年度の静岡県第1回入札会は例年通り6月中旬に開催された。入札量は819本,20397kgで、その内、H19年度持越分が323本,8075kgあった。この為、実質収穫量は496本,12322kgで昨年のこの時期より若干減少していた(昨年は517本,12883kg)。沼津事業所の方が入札会の開会の際に述べたように、昨年の入札値が一昨年の入札値より下がった為、収穫意欲にも影響しているのではと考えられた(今年度より伊豆漁協は合併し、賀茂出張所は沼津に統合)。
 伊豆には前日入りし、いつも通り各漁協をまわって現状確認をした。春に採取された天草(春草)は色が鮮やかであるが、夏に向かって色が黒っぽくなり(夏草)カキもつき始めてくる。この為、この時期に出品される草は綺麗なものが多いが、漁協によっては春草も夏草も一括して出品するところもある。この為、色やカキのつき具合にバラツキがあるといった状況も良く把握しておかなければいけない。
「青」として出品されている草を確認したところ、ある漁協の青草は「一等」程度のマクサも混合していた。採取者が分類せずに青草として漁協に納品する為、良質のマクサも混合されるとのことであるが、こういった情報は入札値を考えるときに有効である。寄草(海岸に打ち上げられた天草)も上々の草もあり、H19年度産の天草は今年度の天草よりも綺麗なものもあった。
 同時に2回目以降に出品される予定の天草も出品量と天草の状態も確認する。天草によっては3回目以降に地元販売店が高値で購入を希望しているという情報もあり、購入するならば2回目までが良いものもあった。
 全体的な傾向としては、潜って採取する人や船自体が少なくなっているとのことで、採草が減っていく懸念が考えられた。また船からマンガを引いて採取する人もいる為、沖草という分類がなくなって一括して岡草となっていく漁協もあった。
 入札は午後13:30より行われた。業者は9社であり、内3社がFAX入札であった。入札方式は落札価格と落札者のみの発表であった為、各社の動向を把握しにくかったが、入札値は期待したほどは下がっていなかった。値が下がりすぎずに徐々に天草業界に活気が戻っていくことを期待して静岡県入札会は始まった。

(報告/研究室長 森田尚宏)

天草採取風景(須崎)

天草改良風景(須崎)

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03 2008/06/19 東京都第1回入札会

 例年通り、東京都漁連水産物流センターで6月中旬に開催された。今年度の入札本数は463本で、昨年度のこの時期と比較すると半分程度であった(昨年度:941本=第1回入札本数+第2回入札本数)。倉庫を見てもガランとしていて若干寂しい物がある。
 しかし天草自体はカキが付着している物が少なく、少量であるが良質な物が多かった。また、通常、細かい天草として認識されている産地の物が若干太くなっていたり、太い天草として認識されている産地の物が細くなっていたりしていた。例えば価格面では「毛草」と「アラメ」では「アラメ」の方が若干高いが、「毛草」でも「アラメ混じり」として十分に使用可能な物もあった。「毛草」や「アラメ」、1等や2等の基準は採取者でまちまちであり明確な基準がない為である。これらを把握しつつ、同業者の動向を気にしながら入札値を決めていく。
 入札は静岡県入札と同じく13:30から行われた。参加社は11社であった。業界自体の値が下がり気味な一方で、敷札は1等全てにあった。前年度よりは敷札は下がっていたが、それでも不調におわったものもあった。入札値は、最終的には静岡県入札の影響と今回の量の少なさ等を考慮してが、値幅の下げは期待したほどではなかった。今回の東京都・静岡県入札がさらに後の入札の価格に影響を及ぼしそうである。

(報告/研究室長 森田尚宏)

出品量が例年よりかなり少ない

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04 2008/07/02 静岡県第2回入札報告

 第2回の静岡県漁連天草入札会が静岡県下田市で開かれた。
 入札業者は出席7社、FAX入札2社の計9社、欠席2社。出品本数は1,179本、29,468kg。
 ちなみに第1回の819本と合わせると計1,998本。去年の第1回、2回の合計は1,865本。今年もほぼ去年並みと予想される。ここ数年の伊豆の特徴は西海岸の天草の出品割合が増えてきたことである。今回も9割近くがそれに該当する。
 入札会場に到着後会場前の廊下に並べられた見本を見ながら最終確認を行う。第1回の入札時前に各漁協を回って今回の出品天草を事前に見ておいた時と違いがないかを確かめるわけである。
 一部の天草に前回同様最低価格が設けられた。前回はその値以上で落札され、今回もそれに倣う形で落札された。結果その値を基準に考え落ち着いた入札となった。業者間の会話からもう相場は落ち着いているという声が聞かれたのもうなずける。
 2日後には愛媛県の入札がひかえている。
 梅雨の合間の晴天、もう夏がそこまで来ていると感じさせる昼下がりの下田の街。

(報告/専務 森田智治)

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05 2008/07/04 愛媛県第1回入札会

 一昨日の伊豆の入札会が続き7月4日松山市で第1回愛媛県天草入札会が開かれた。
 出席商社は11社。出品数量は80,380kg。去年は115,133kgだったことを思えば約3割減である。6月にあった徳島県の入札では前年の約2割減の28,637kg。それでも高騰することなく相場が落ち着いているということは我々またはその先のメーカーに余剰在庫があるということだろう。業者間の会話からもそれはみてとれる。
 愛媛県の入札見本は必ず本品が1本出されることになっている。袋の上だけでなく中まで見ようと思えば見ることができるし、乾燥状態も確かめることができる。特に「トラ晒し」「晒し」は全体を見ないと判断を誤ってしまうから注意が必要とされる。また入札は2回に分けて行われ1回目の入札発表の後、時間を少しあけて2回目の入札が行われる。1回目と2回目の間に落札したものとできなかったものの確認とこれから欲しいものの再検討ができる。
 10時に全漁連九州事業所の方から入札説明があり12時半に第1回入札締め切り、13時発表。その後13時45分第2回入札締め切り、14時15分発表と進んだ。結果はまず予想通り落ち着いた落札値がついた。
 来週は三重県の入札が控えている。
 帰る途中で四国地方は梅雨が明けた模様とのニュースがはいってきた。もうそんな時期なのか、どおりで今日は暑かったわけだと妙に納得。

(報告/専務 森田智治)

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06 2008/07/10 三重県第1回入札会

 例年通り、7月上旬に松阪市の三重県漁連ノリ流通センターで天草入札会が開催された。昨年は例年の2倍の110トンが出品され、倉庫一杯に天草が保管されていたが、今年は20トンとかなり少ない。他地域と同様、昨年の入札価格が低かったことが採取意欲に響いたと考えられる。
 ノリ流通センターには午前中に入り、出品される天草を確認した。確認内容はカキの付き具合や「アオ」の混入具合、乾燥の度合い等である。乾燥度合いは寒天への歩留まりへ影響を与える為、重要である。特にこの時期は湿気が多く、天草も湿る傾向にある為、よく確認する必要がある。結果、カキの付き具合、「アオ」の混入度合いは特に問題なかった。また乾燥の度合いも良く乾燥されており、問題はなかった。因みにここで出品される天草は圧縮されていない為、他の入札会と比較すると天草の様子が分かりやすい。
 入札は13:00より参加社11社で開始された。入札方式は他地域と異なり、1品毎に端末でキーを打ちながら実施する。1品の入札値が次の入札値に影響を与えてしまう為、随時対応が必要となる。結果としては昨年よりも平均値は上がり、予想していたよりも高値となった。この値は来年の出品量へ関わってきそうである。弊社は適度な量を購入することができた為、良い結果となったといえた。

(報告/研究室長 森田尚宏)

出品される天草を確認する

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07 2008/07/17 東京都第2回入札会

 いつも通り、第2回入札会は東京都漁連水産物流センターで7月中旬に開催された。今回の出品本数は336本で、昨年度のこの時期と比較すると70%程度であった(昨年度:480本)。第一回と同様に倉庫を見てもガランとしていて若干寂しい物があった。
 天草の傾向としては通常どおり、細かい天草として認識されている産地の物は細かく、太い天草として認識されている産地の物は太かった。またカキが付着している物が少なく、少量であるが良質な物が多い一方、梅雨時と言うこともあり全体的に湿り気が多い傾向にあった。採取時期は春に収穫した物から直近に収穫したものまでまたがっていたが、天草自体の色や状態は特に異なっていなかった。
 入札は13:30から9社によって行われた。前回同様に敷札があったが、業界自体の値が下がり気味なことを受け、低めに設定されていた。入値は予想通り下がり気味であったが、特に不調に終わったものはなかった。弊社はほぼ期待通りの値で天草を購入することができ、結果良好な入札と言えた。

(報告/研究室長 森田尚宏)

天草を確認する

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08 2008/07/23 静岡県第3回入札報告

 原油が高い、小麦粉も高い、それに付随して様々な価格が上がっている。おまけに大暑のこの時季、気温までぐんぐん上がっている。梅雨も明け、夏の陽射しが照りつける下田で第3回静岡県漁連入札が行われた。
 昼前に入札会場に到着、早速ずらりと並んだ見本を汗を流しながら見付する。静岡県の入札会は年に7回前後行われるが、毎回同じものが出品されるとは限らない。今回は全体で895本、22,366kgの出品。その中で土肥漁協八木沢支所の出品が多い。
 八木沢の天草は採ったままの「赤草」ではなく浜で「晒」または「トラ晒」にされてから出品されるのが特徴。そのため品種銘柄が多種多様になる。採り草なのか寄り草なのか、晒かトラ晒か、トラ晒でも赤トラか青トラか青赤トラか、はたまたそれが1等なのか2等なのか3等なのか、わけがわからなくなってしまうほど多い。とはいえ価格と必要量のバランスを考え入念に見付をして入札。結果全体量の約4割を弊社が落札。相場でいえば前回同様かやや上がったところで落ち着いた。
 下田の駅にむかう途中、気が付けばいつのまにかの蝉時雨。この暑さでところてん需要が増えればいいなと思いつつ帰途についた。

(報告/専務 森田智治)

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09 2008/07/24 神奈川県城ヶ島漁協第1回入札会

 今回は昨年度と比べて収穫量が少なく、なかなか集まらなかった為、入札時期が昨年と比べて半月ほど遅れた(7月24日)。出品量は58本1740kgと例年よりかなり入札量が少ない(昨年度:3580kg)。天草相場の下落がやはりここでも収穫量の減少に影響を与えていると思われた。地元の漁師の中には今回の天草相場の様子を見て次回への出品を検討している方もいた。
 城ヶ島に入ってからは風情のある港町を通って漁協に入る。漁協に入るといつも通り入札時間まで倉庫に保管されている天草を確認する。いつもよりアラメの割合が多く、カキの量も少ない。「青」と出品されている天草もさほど青くなっていない。総じて今回出品される天草は良質であった。因みにアラメは他の地域では船で採取することが多いが、城ヶ島では岩場に生息しているアラメを採取しているとのこと。採取している方は、年を召した方が多い為、将来的な採取量の減少が懸念される。
 入札は6社(内FAX入札は4社)で実施され、当社が落札した。落札値は昨年度よりは若干高めになったが、良質の草を購入することができたので、まずますの結果と言えた。

(報告/研究室長 森田尚宏)

城ヶ島の港

採取後の手入れ

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10 2008/08/06 長崎県第1回入札会(男天−オテン、女天−メテン)

 長崎県の天草産地は五島列島になる。南から北へ福江島、久賀島、奈留島、若松島、中通島となる。離れてさらに北へ平戸島、生月島がある。九州でも福江島、三井楽産のものは第1級の評価を得ている。
 寒天分が多く、粘りがあるのが特徴でところてん用としては非常に良いてんぐさである。難点をいえば他の産地、伊豆、紀伊半島、四国の徳島、高知などとくらべ煮えやすく濾過しづらいことがある。
 この点を踏まえてところてんの製造では火の加減、煮塾時間の調節、圧力釜の場合であれば圧力の調節をしながら天草を煮ることが肝要である。
 また、長崎県では男天(オテン)、女天(メテン)と呼ぶ習慣がある。
 多く採取されるのは「まくさ」であり三井楽ではあえて男天、女天とは称しないが、久賀島ではドラクサが採れるのでこれを男天という。それに対して一般的なもの「まくさ」を女天と称している。
 このドラクサは「まくさ」に比較して枝葉の繁茂状態が密になっていて区別される(右写真)。
 他地域ではこの男天をサル(地域不定)、マツクサ(三重)、芝草(和歌山)、ワタクサ(伊豆)などと称している。
 特徴はゼリー強度が女天400〜500gcにくらべ、高く800gc以上になるものもある。ただ、寒天分は低い。
 また、同じドラクサ呼称の中にはゼリー強度の200gc程度のものもあるので注意を要する。寒天製造には男天、ドラクサを常に必要として配合する釜元もある。
 入札は応札社5社、7トン(昨年も7トン)で落札価格は昨年並みで終わった。

(報告/社長 森田庄次)

左が男天、右が女天

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11 2008/08/07 和歌山県第1回入札会

 大阪海苔会館で和歌山県第1回入札会が開かれた。
 例年6月に第1回、8月に第2回が開かれるが今年は収穫時期が遅れたことと量的に少なかったため今回2回分まとめて行われることとなった。去年は2回の入札会で計約56の出品、今回は約25。半分以下である。とはいうもののブーム前の収穫量に戻ったといった方が正しいのかもしれない。
 徳島、愛媛、三重などいずれも去年より集荷量が減少。和歌山もそれに倣うかたちになったのは採取意欲の減退なのか成育状態がよくなかったのか、どちらにせよ需要と供給のバランスがこれでとられていくことになる。
 出席業者は7社。並べられた見本を見ながらじっくり検討。和歌山県は「マクサ」の他に「芝草」「鬼草」「ムシリ」「ドラ」「夏草」等、組合によって様々な名前で色々な銘柄が出品されるので見付が重要になる。また今回は6月に入札会が開かれなかったため、春に採られたものと夏に採られたものが混在している可能性がある。漁連の人の話を参考にしながらそれも加味して見なければいけない。
 1品ずつ入札値を紙に書いてまとめて入札。しっかりした値が付き去年よりも高い値がついたものも多々あった。今回弊社は約半分の数量12強を落札した。
 暦の上では立秋。晴れ間がのぞく曇り空の大阪。相変わらず暑い日々。

(報告/専務 森田智治)


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12 2008/08/08 三重県第2回入札会

 一昨日の長崎、昨日の和歌山に引き続いて三重県の第2回入札会がおこなわれた。
 3日連続ということと、数量が5600kgと少ないことからFAX入札となった。前もって応札希望のてんぐさ見本を送付してもらいそれで判断して札入れとなる。
 今回は大口が浜島産(初回)であり、上天2920kg、混天432kg合計3352kgと出品全量の60%ほどのウエイトを占めている。
 浜島上天の見本をみれば良い部分もあり、また混天に近い下クラスの部分もありで総荷を見ない分だけ評価するのに判断に苦しむ場面である。
 見本を取り出した漁連の担当者に聞けば3ヶ所くらいから標準となるよう採って送ってあるからと言う話であるからまずは納得する。
 今年はこの分をいれて25トンと極端に減少してしまった。ちなみに過去5年間(平成19年111トン、平成18年100トン、平成17年66トン、平成16年54トン、平成65トン)の最低となった。
 今年は三重県、和歌山県は作柄不良の中、3年前のブームの反動も加わり減産となった。
 FAX応札社、9社で行われ、落札価格は三重県第1回の横並びから少し上回るものも出て終わった。
 11日の青森県のエゴ草入札会が予定されていて以後お盆休みに入る。

(報告/社長 森田庄次)

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13 2008/08/20 静岡県第4回入札会;『日経マガジン』8/17, p.14「伊豆のプライド・ところてん」

 お盆明けのてんぐさの入札会が静岡県の第4回として8月20日に行われた。エゴ草の入札会は青森で11日、19日と行われたが、いまでは寒天、ところてん原料より新潟県での「えご」博多の「おきうと」原料としての使用になっているので、この稿では省く。
 今回、静岡県のてんぐさ入札会では約9トンで今年のいままでの同県累計は81トンとなった。昨年同期の累計は125トンで35%減である。(県漁連共販数で単協販売数は省く。)
 さらに詳細にみると東海岸では今年12.3トン、昨年は31.2トンと60%以上の減産である。
 ちなみに東海岸は伊豆地区でも上クラスといわれ、東伊豆町稲取産、下田市の白浜産、須崎産、南伊豆町下流産が入る。原因は採取する生産者の減少と不作と両方があいまって結果といえる。
 「日経マガジン」8月17日版、p14〜p15に「伊豆のプライド・ところてん」として日経新聞社の河尻記者が記述しているところから一部引用する。
 弊社社長も取材を受けた記事である(右写真)。
──テングサ問屋の森田商店(愛知県武豊町)によると「伊豆のテングサは寒天成分が多い。なかでも荒海にもまれた稲取産は太くて硬い最高級品。」入札でも高値を付ける。──
とある。
 段落のなか、「寒天ブームの功罪」として前段は伊豆の観光地化、漁師の高齢化も加わり1960年前半に伊豆半島全体で1000トンを超えていたのが昨今では150トンとしている。
 さらに2005年の寒天、ところてんブームにより爆発的な消費増がてんぐさ価格の3倍からの大暴騰、翌年の急落と大きく動き浜での生産に急ブレーキがかかった。
 記事中、引用すると
──多年生のテングサは毎年採らないと勢いが衰え他の海藻に負けてしまう。出漁が減り各地で漁場が荒廃しつつある」(静岡県水産技術研究所伊豆分場、高木康次主任研究員)──
との文章がみえる。
 安定価格が維持でき、てんぐさ漁場の荒廃だけは避けたいものである。
 ところで入札会は応札商社8社、内2社はFAXで対応、価格は前回より少し上をいく銘柄が出た。

(報告/社長 森田庄次)

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14 2008/08/21 東京都第3回入札会

 昨日に引き続いて東京都伊豆諸島の入札会が開かれた。数量は416本12.5トン、応札商社は9社。ここのところ毎回400本12トン前後の集荷量で入札会開催が危ぶまれる状況ではあるが、なんとか開かれている。
 今回三宅島から生産者のY氏が来て価格の成り行きを見守っている。Yさんから最近の三宅島の様子を聞く事ができた。周知のごとく三宅島は平成12年(2000)夏に噴火、全島民避難して平成17年(2005)2月に帰島するまで無人状態であり、その間、てんぐさは皆無であった。
 平成17年以後ぼつぼつ再開されてきてはいるけれど、噴火前は100人以上生産者がいたものの今年は20人ほどということである。
 年齢層は70歳台が多くなっている。また採取地域は今では全島どこでも採取可能であるが、主だった浜は神着となっている。西海岸の阿古地区は泥流で埋もれてしまって育っていない話である。島の東南にある坪田地区も採っていないようである。
 またボンベ使用はなく素潜り漁のみで、6m以深は採取禁止と決まっていて、資源保護につとめているとの言葉もあった。昨今の油価格の高騰は魚を追う漁業よりはましではあるが、少しでも高値をしていることを要望していた。
 写真は三宅島のアラメ晒の1等品(手前、青PPバンド)と特等品(1等上、奥、黄PPバンド)である。晒しすぎにならず、うまく仕上がったものを特等品(1等上)として出品していて今後もその方針を維持するよう要望した。価格差は今年の場合4〜5%程である。
 全体の落札価格は小高く終始した。

(報告/社長 森田庄次)


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15 2008/08/28 徳島県第2回入札会

 お盆も明け、暑さも峠を越した感がある8月28日、徳島県第2回入札会が開かれた。
 出品数量は12トン強、第1回と合わせても41トン。去年の55トンと比べれば約25パーセント減である。平成17年、18年の90トン以上採れた年の半分以下。これをブーム後の相場下落による生産意欲の減退の表れとみるか他の要因とみるか判断に苦しむところである。県漁連担当の人の話では、ここ数年温暖化のせいか海水温が上がり、魚介類の生態系が少しずつ変わってきているとのこと。天草もその例にもれず、今まで採取していた場所で採れなくなってきたらしい。ここ1、2年はそれでも需要供給のバランスがとれるかもしれないが、その先どうなるか心配なところである。
 今回出席商社は過去例をみないほど少なく3社。これは他の商社が今までの入札で予定数量を買い付けた為欠席(すなわち相場は下がっている)とみるか、はたまた出席商社はまだ要り様だから出席した(相場は下がらずしっかりしている)とみるか考慮しなければいけない。
 札締め切りは10時30分。即発表。3社のみの入札の為あっという間に終了。落札値は第1回の相場を引き継ぎしっかりした値がついた。写真は左半分が第1回入札分、右が今回第2回分。
 帰りの新幹線は愛知県三河地方で降ったゲリラ的集中豪雨のためダイヤが大幅に乱れた。やれやれ、やはり異常気象なのかもしれない。

(報告/専務 森田智治)


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16 2008/09/03 神奈川県城ヶ島漁協第2回入札会

 今年は昨年度と比べて収穫量が少ない傾向がある。今回の城ヶ島の出品量も52本1,560kgと第一回同様、例年よりかなり入札量が少なかった(昨年度2回目:2,490kg)。相場の下落が収穫量の減少に影響を与えていると思われる。
 城ヶ島に入ってからはいつも通り風情のある港町を通って漁協に入った。9月になったとはいえ、残暑がかなり厳しい。ただ、そんな炎天下の中でも地元の採取者の方々は日陰にはいらず天草を手入れしていた。聞けば日向でないと天草が乾かないからだという。頭が下がる思いであった。
 漁協に入るといつも通り入札時間まで倉庫に保管されている天草を確認した。今回出品される天草は全体的に割合マクサの量が多く感じられた。また前回よりも若干カキが付いていたように思われたが、これは海水温が高い時期的なものであると思われた。
 入札は6社で実施され、当社が落札した。落札値は前回よりも安値で購入することができ、まずまずの結果と言えた。

(報告/研究室長 森田尚宏)

城ヶ島の港

城ヶ島の海

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17 2008/09/04 高知県第1回入札会

 昨年は徳島第2回の翌日に続いて高知県の入札会が開かれたが、今年は9月になってからの開催となった。その代わり愛媛の第2回入札会と連続することになった。
 名古屋小牧空港7時20分発、高知龍馬空港に8時20分着で予定を組む。入札会場の高知水産会館、高知漁連には9時15分程に到着する。
 さっそく漁連担当者に挨拶して見本が並べられているのを見る。ここは見本入札で各品目1袋ずつ並べてある(写真)。
 今年は25トン強と昨年の18トンを上回る数量となった。高知県では海岸線は長く東の室戸岬から西の足摺岬までである。近年の漁業組合合併で高知県漁協と窪津漁協(高知県西部)となっているが、大半は室戸中心で、支部区分では高岡、椎名、三津、加えて室戸岬となる。
 今年は椎名漁協の作柄が良好で今回は14トンある。椎名組合の人の話によれば、未だ選り分け前のてんぐさが5トンほどあり、それは来年送りにするとのことであり、最近になく多かったことが分かる。
 一方、応札者は5社、しかし各社ともに今までの入札会でかなり手当が進んでいて、積極的に買い付けようとする雰囲気は見られない。
 そんな中で2回に分け、最初は椎名漁協分のみを行う。直ちに落札発表を受けてやはり買付希望以外の品も落札した業者もあり、弱気ムードが入札場に漂う。
 8月の後半から韓国済州島のてんぐさ入札会状況も流会が続いているのも品のだぶつき感を反映している。
 2回目も続いて行われて、結果、収穫時期として上等としていわれている春の一番草としては割安な値が付いた。

(報告/社長 森田庄次)


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18 2008/09/05 愛媛県第2回入札会

 昨日の高知県の入札会を終えてバスにて松山に向かう。四国は東西南北、十文字に高速道路ができていて、バスで各県都市間の移動が楽になっている。
 午後4時高知駅発で松山市内に6時半過ぎ着、2時間半のバス車中である。高知からは愛媛に向かったのは全漁連のN氏の他、弊社を含め2社である。
 当日参加者は4社、昨年もその程度であり今頃として普通である。
 出品量は7トン弱でこれも昨年並みである。愛媛第1回の比較して見本の並んでいるのも閑散としている(写真)。
 今回、晒品が1トンほどあり、その中味の検品が重要になっている。というのも第1回の半晒の品で見本と現品が大きく相違していたので、その旨クレームを出し、その後の指導が充分してあるかどうか、結果に反映されているかどうか、その話を聞くのも一つある。
 晒品は赤草に比べ価格が高い上、品質、外観で価格差が大きく出る。同じ産地の赤草であれば1割から2割程度の価格差が、晒品となると雨にうたれて変色したり、一部寒天分が逃げた晒、蒸れて仕上がりの色に鮮やかさが無くなってしまったものなど、5割近く価格差が出るのも珍しくない。
 出品見本が現品を代表していることが重要である。
 聞けば、一部生産者が下等品を混入したのではなく集荷組合の担当者が等級区分を正確にしなかったとの説明を漁連の販売部長A氏から受ける。
 見本入札では見本を基準に考えて札値を決めていくので、当然のことながら検査体制をしっかり行うように再度要望した。
 今回の晒品の見本は良いようである。
 入札結果は昨日の高知の相場にならっての価格となり、それ以上の大きな変化はみられなかった。
 今日の愛媛県で全漁連共販の入札会は終了となり、後は静岡県、東京都の分を残すのみとなった。

(報告/社長 森田庄次)


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19 2008/10/08 静岡県第6回入札会

 10月8日静岡県漁連第6回入札会が開かれた(第5回は中止となったため実質静岡県漁連としては5回目の入札)。先月9月に行われた高知県、愛媛県の入札会で全漁連共販の入札会は終了、残すは静岡県、東京都のみとなった。入札も終盤に入ってきた。
 ところで今まで静岡県漁連の入札は加茂出張所で行われていたが、今回は同じ下田市にある伊豆漁業協同組合(旧下田市漁協組合)で行われた。漁業組合も改革再編と変革の時をむかえているのかもしれない。事前に連絡を受けていてもいつもどおり加茂出張所に出向き、そこで会場の変更に気づいた商社も何社かあった。それにしても無意識に加茂出張所に行ってしまうなんて、習慣とは恐ろしいものですね。
 今回の出品は83品種、970本、約24トン。とにかく種類が多い。特にこの時期は様々な天草が混在して出品されることがある。春草か、夏草かで随分評価が変わってくる。付着物、青、スミ付きなど一つひとつ丁寧に見付をしなければいけない。
 出席商社は7社、ファックス入札2社の計9社で入札。途中休憩をはさみ2回に分けて結果発表。全体に下がることなくしっかりとした値がついた。
 港内にある伊豆漁業協同組合から入札を終えて外に出れば海風が心地良い。秋の気配を感じさせる風。

(報告/専務 森田智治)

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20 2008/10/16 東京都第4回入札会

 東京都の最後の入札会が開かれた。今年の予定では計6回の予定であったが、第1回目予定の5月と、第5回目の9月がいずれも集荷数量が少なく中止となり今日の4回目入札に至った。今回910本27トン、これで数量計は昨年86トン、今年64トン(いずれも入札上場数量)と26%減となった。
 しかし今の時点、心太天草の販売が終了していての910本は過剰数量の感があり。さらにこのあと静岡県の土肥漁協、八木沢、小下田での予定数量が2500本62トンあるとの話もあり、このことも踏まえると荷余り感がある。
 結果は漁連の引き札より下回ったものも一部出て終了した。この残荷は各商社と個別対応して販売されることとなった。
 入札会終了後、生産者組合員と各商社との懇談会において意見交換がなされた(写真)。
 3年前の寒天ブームでは差し引きマイナス面が多く、いわく心天、寒天市場の一時的拡大に伴いシェアーの地図の塗り替えから大手販売店のチャネルが増えたこと、使用天草の産地特性を問わなくなってきたこと、またプラス面としては、産地の表示が正確になされ始めたなどが話された。
 一方、産地側からは水温の上昇に伴う磯焼け傾向にあり収量減予想にあるとの報告がなされた。
 買付商社、生産者ともにたずさえて上品質のものの提供、販売量の増加ができるよう一般消費者へ広報を努力していくようなことなど確認しあった。

(報告/社長 森田庄次)


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21 2008/10/22 静岡県第7回入札会

 前回同様伊豆漁業組合で第7回入札会が開かれた。応札商社はファックス応札3社を含め計9社。今回の出品は土肥漁協の八木沢支所の天草のみ。とはいうものの1625本、40トン強の数量。八木沢の天草は第3回の入札会でも20トン弱出品され、今回はそれ以上の数量である。同じ土肥漁協の小下田支所も第2回入札会で約15トンの出品、次回第8回入札会では20トン強の出品が予定されている。いったい土肥の海にはどれだけの天草が生い茂っているのか。土肥の海は天草だらけじゃないかと思ってしまうほどである。海の中を覗けば天草がみんなでフラダンスを踊っている姿を想像してしまう(そんなわけないんだけどね)。
 閑話休題、今回同じ品種銘柄の本数が多いため、本数を切って何口かに分けて入札されたものがいくつもあった。一つの見本に何枚もエフが付けられているのはそのため(写真下)。
 すでに今年の予定数量を買い付けした商社がほとんどのため、これだけの数量をだれが落札するのか? いくらの値がつくのか? 疑心暗鬼のなか入札が行われた。結果、同じ品種銘柄でも高いもの、低いもののバラつきがでて悲喜こもごもの落札となった。
 下田を出るころにはまだ日は高く明るかったのが熱海を過ぎたころにはもう夕暮れ。秋の日は釣瓶落としとはよく言ったもの。

(報告/専務 森田智治)

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22 2008/11/26 静岡県第8回入札会

 第8回目(第5回中止)の入札が当初11月19日を荷が揃わないということで、1週間延ばして行われた。土肥漁協小下田支所分が約900本22.5トン、予定されていたものの結局出品されずに、今回仁科浜と一部残払いの686本17トンでの開催となった。
 出席5社、FAX入札2社、欠席2社で午後1時半からのスタートとなった。品目は26品目で少なく(写真)、ものの30分ほどで終了した。
 結果は本年最後の入札会ということもあり、未だ買付前の商社の札は前回より高く、充分買付し終わった商社の札は安く入り、落札された。
 昨年から落札価格と落札商社のみの発表方式に切り替わったのが、すくなからず影響していたと思われる。というのも、各商社の札値が発表されない分だけ、自分の思った値、極端に安く入れても、また逆に高く入れて2番札と離れていても、結果のみの発表であるが故に、さほど気にならないという心理が働いていたと考えられる。
 結果はともかく今の発表方式で決まっていることであり、それに対応して各社の入札値がはいり、それで落札価格がきまり、ときどきの価格のフレの大きさは次第に収斂していくことになる。
 入札会終了後、各組合の代表の人と、商社の懇談会がもたれ意見交換がなされた。
 商社側からは今年夏場のところてん、寒天の販売動向が報告された。そのなかでは一部好調なところはあるにせよ、全体に不振勝ちであること、特に今秋から急激に蔓延し始めた金融恐慌ともいえる経済実態がこの業界にも反映されていることが話された。
 漁協側からは今までの単協組合の稲取漁協、下田市漁協、南伊豆漁協、仁科浜漁協、安良里漁協、土肥漁協が合併して今年10月に伊豆漁協として発足したこと、来年度には未合併の松崎漁協、田子漁協も合併予定されていることが報告された。
 生産者と買付商社、需要家の製造業者が互いに情報交換して安定した良質な原料、製品作りがなされるよう努力していくことに注力することが重要である。

(報告/社長 森田庄次)


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23 2008/12/13 平成20年てんぐさ概況

 全国のてんぐさ入札(生産)量

平成20年は入札数量、平成19年以前は生産数量(入札数量+入札外数量)です。

産地\年 平成20年 平成19年 平成18年 平成17年 平成16年
東京都 64 105 127 115 94
静岡県 172 286 222 180 142
三重県 26 111 100 66 54
和歌山県 25 58 47 42 29
徳島県 41 55 93 97 51
愛媛県 87 122 237 189 130
高知県 25 18 16 8 7
長崎県 7 9 24 24 7
上記産地計 447 764 866 721 514
全国生産量 集計中 924 1002 843 605

(単位:トン)株式会社 森田商店 調べ 2008/12/11

 今年のてんぐさ入札会は11月26日、静岡県第8回入札会をもってすべて終了した。各地の入札数量は上記表のようにおしなべて昨年より減少した。
 価格低迷が生産意欲減退となり如実に数量減となって現れた。三重県の26トンと対前年比23%(77%減)を始めとして東京都、静岡県が各64トン、172トンと同じく60%となっている。
 入札数量判明分では447トン対前年比58.5%で全国生産量を推定するに上記表以外の県*1を加えて550トンほどと思われる。
 一方輸入てんぐさにおいては平成20年10月までの1年間の移動平均は1,351トン、(平成19年1年間では1,316トン)である。(財務省、日本貿易統計)
 今期、最初に需給バランスとして想定したことを(弊社webサイトh20てんぐさ入札会報告;00―2008/04/27 平成19年まとめ)ふりかえってみる。
 H20年の供給量;繰り越し1,330トン*2+国内生産550トン+輸入数量1,351トン=3,231トンとなる。
 これはブーム前の5年間(h12〜h16)の年間平均供給量(国内、輸入計)2,776トントン*3を455トン(3,231トン-2,776トン)上回る。加えて韓国にもh19、h20の2年間の生産量の内、韓国内寒天製造用以外日本向けとして500〜600トンほど滞貨していると聞く。
 一方消費の方は8月の後半からところてん需要は急激に減退したこと、寒天では今年の前半は諸物価高騰のあおりうけ、不要不急の範ちゅうのものとして需要の低下を招き、年後半では金融危機のからの不景気風にふかれ消費減の模様になったと想定される。
 結果、供給過多からてんぐさ価格に終始大きな動きは無かった。3年前のてんぐさブームはブームでしかなく恒常的な消費拡大に至らなかったといえる。
 今後は円高、ドル安、ウォン安の為替の動向も注視する必要がある。向こう1年は業界にとって、いつになくきびしくなることを認識せざるを得ない。
 なお、てんぐさ生産量の最終集計は平成21年5月に報告予定である。

*1;青森県、千葉県、神奈川県、愛知県、兵庫県、大分県など
*2,*3;「弊社webサイトh20てんぐさ入札会報告;00―2008/04/27平成19年まとめ」より

(報告/社長 森田庄次)

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