実際に弊社で行っている試験をご紹介いたします。こういった試験結果を元にして、入札時の購入量・入札価格を検討したり、お客様がご希望する天草を提供したりしております。
ただし、産地を明記することは、その産地の漁協関係者に影響を与える可能性がある為、産地A、産地B、産地C、産地Dとさせて頂きます。
また、本報は弊社内での発表であり、雑誌に投稿した論文でないことをご了承ください。
《試験目的》
・天草が生育する環境(生育地、生育時期、水温等)は様相のみならず、含有する寒天質にも影響を与えている。
・この為、異なる生育地の天草から各々ゲル状の寒天を作り、そのゼリー強度と粘度を確認し、生育地との関係を確認した。
《試験方法》
・天草を洗浄し、その様相を確認した。その後、天草に水を添加して煮熟、ゼリー強度と粘度を測定した。
《結果と考察》
・天草の様相を確認したところ、産地Cは毛先が細かく生い茂っていた。一方、産地Dはあまり毛先が細かくなく、生い茂っていない感があった。
産地C
産地D
・粘度を測定したところ、最も高かったのは産地Cの26cp(60℃)であった。続いて産地Aの16.4cp、産地Bの16cp、産地Dの13.2cpであった。
・触感を確認したところ、もっとも硬いと感じたのは産地C、最も柔らかいと感じたのは産地Bであった。
・ゼリー強度を確認したところ、最も高かったのは産地Cの747gc(20℃)であった。続いて産地Dの555gc、産地Aの528gc、和具混天の478gcであった。
・一般的に枝が太く、毛先が細かい天草から寒天質が多くとれると言われている。本試験でも最も毛先が細かかった産地Cが粘度・ゼリー強度ともに高かった。一方、あまり毛先が細かくなかった産地Dは粘度・ゼリー強度ともに低かった。
・以上より、天草の様相と含有する寒天質には関係性があり、毛先が細かい方が良質の寒天質を保有すると考えられた。因みに産地Cは例年よりも細い感があり、産地Dは例年よりも生い茂っていなかった感があったので、両産地の天草とも、例年よりは若干寒天質が落ちるのではと考えられた。
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天草の様相 |
抽出された寒天の ゼリー強度(20℃) |
抽出された寒天の 粘度(60℃) |
触感 |
産地A |
細かい |
528gc |
16.4cp |
中間の硬さ |
産地B |
細かい |
478gc |
16.0cp |
最も柔らかい |
産地C |
最も細かい |
747gc |
26.0cp |
最も硬い |
産地D |
細かくない |
555gc |
13.2cp |
中間の硬さ |
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